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話は前後するが、西暦2000年9月30日、陛下と出会う前のブラック隊員は、ピノコという死霊と出会っている。彼女との出会いは、その後のブラックの死霊さん付き合いを大きく変える事となった。
※当時のメールより抜粋※
自分の腹の中に入ってしまった崇り神さん(総称・仮称)を一人、味方につけました。崇り神さん(総称)たちは大概、俺の腹の中で「白いコロナ」を浴びたり、水を飲んだり飯を食ったりする事で、物凄く話し掛けやすくなります。
味方につけた子の場合、胃袋の中のその子に話しかけると、口から出て来て、対話をしたがります。小さな女の子の姿をしていました。一度、俺の腹の中から出て来たのですが、
「その穴、あたしが埋めるの!」と言って、俺の心臓の上の穴に、サッサと入ってしまいました。
「ピノコって呼んで好い?」と聞きましたが、何度か迷った後、「ピノコで好いよ」と合意が成立、呼び名はピノコに決定しました。
ピノコは俺の口を通して、話をします。身の上話を少し聞いたら、「好きな男の子が先に死んでしまった」と言います。そこで、大槻ケンヂのソロアルバム『わたくしだから』の「生きてあげようかな」や「プカプカ」を聞かせると、ピノコは「『プカプカ』が流行ってた頃、丁度そういう女の子だったんだ。」と言います。「今更行く所も無いし、ブラックさんを守る方が向いている」と言って、俺を他の死霊さんたちから守って、尚且つ崇り神さんからの乗っ取りを阻止してくれます。
ピノコは、70年代のアングラ芸術(寺山修司や美輪明宏、横尾忠則など)と漫画(「がきデカ」や「ブラックジャック」)が大好きで、俺の絵を気に入ってくれました。話も合うし、70年代の女の子だから、やっぱり強いです。
母が延々と自分の話をし続けている間、俺の口には崇り神が入り続けてました。母もチェーンスモーカーなので、煙草の煙が喉を痛くしているのか、崇り神が入ろうとしているのか、見分けがつかなくなる程でしたが、度々トイレに立っては、ピノコに追い払ってもらいました。
ピノコの協力のお陰で、もう一人、巨大な元・崇り神さん(総称・仮称)の「マンボウさん」が味方になってくれました。暖かい手触りで、全長二〜三メートルはありそうな、優しそうなマンボウさん(どこかの水族館にいて、ストレスが辛かったそうです。)も、
「お空の海で泳ぐより、ブラックを守る方が、自分の仕事ではないかと思うので。」と言い、自分が行きたい場所へ行く事よりも、合田の背中の穴を埋める方を選んでくれました。合田にも遂に、対・死霊の強い味方が出来ました。傍目には多重人格にしか見えませんが、乗っ取られる危険を免れ、尚且つ、崇り神さん(総称・仮称)対策が、色々と出来ます。
※抜粋ここまで※
ところが、このマンボウさんが海産物系の死霊を沢山呼んでしまい、部屋が死霊で溢れ変える事態にまでなったのでした。当時のブラックの除霊技ではとても対処できない量でした。
◆用語解説◆
白いコロナ
ブラック隊員の部屋が死霊さんで一杯になった時、ブラック隊員が即興で作り出した、ヒーリング波動。祟り神・死霊を宥める作用がある。温泉と混ぜて使うと「コロナ温泉」と呼ばれ、死霊さんヒーリングにもってこいの波動になる。生きている人間に適用する場合は、風邪の治療くらいだが。
体の穴
生きている人間は失恋などの辛い目に合うと、精神的肉体(図解・ヒーリングを参照)に穴が開きます。死霊さんはそういった穴に入って活動する事が出来ます。
崇り神
恨めしや系の死霊さん。何故か、生きてる人間の口に入りたがる。赤の他人にとりついてまで、生前の恨み・辛みをはらそうと、支離滅裂な破壊的行動をとる。生前の当人と関係無い人たちに平気で祟るという、傍迷惑な思考パターンを持つ一方、説得に応じて使い魔になってくれる場合もある。蛇状の姿をしたザコから、等身大の人間や、巨大なスジコ状態のものまで、サイズは様々。絶望したままで死んだ芸術家などは、存在感の強い祟り神と化す事が多い。 |