除霊戦隊ストレンヂラヴ

♂STORY♂

♂第34話♂陛下、里芋に泣く♂

2003年12月26日。

ブラック隊員宅では、ここ数日おでんを食べている。

この家で食べるのは、ブラック隊員とその母の二人だけであるから、鍋一杯のおでんは数日間の食料となるのである。冬になるとおでんを食べるのが、この家の習わしだ。

最初に作った分は、具が汁を吸ってしまい、それなりに美味だが失敗作であった。翌日からは、汁気を増やし、具も足した。

「粗食が一番じゃ」が口癖の陛下が、喜ばぬわけはない。

「わしは餅の入ったのが好きじゃ。」「じゃがいももうまいのう」「大根をもっと食べたい」等など、陛下は元気に仰っていたのだが、ふとお言葉が止まった。

ブラック隊員はその時、里芋を口にほおばっていた。

陛下は、里芋のうまさに涙を流しておられたのである。

「庶民はよいのう、こんなに旨い物を食えて。(涙)」

里芋は、通常おでんには入れないが、母が気をきかせて新たに投入したのであった。

陛下は、生前の暮らしを思い出されたのであろうか、或いは、百年近くに渡る修行生活の辛さをしみじみと思ったのか、しばらく里芋を食べながらさめざめと泣いていた。

死霊ライフ初めての涙であろう。この夜、陛下は手放しで泣いた。

2003.12/26

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