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2003年12月26日。
ブラック隊員宅では、ここ数日おでんを食べている。
この家で食べるのは、ブラック隊員とその母の二人だけであるから、鍋一杯のおでんは数日間の食料となるのである。冬になるとおでんを食べるのが、この家の習わしだ。
最初に作った分は、具が汁を吸ってしまい、それなりに美味だが失敗作であった。翌日からは、汁気を増やし、具も足した。
「粗食が一番じゃ」が口癖の陛下が、喜ばぬわけはない。
「わしは餅の入ったのが好きじゃ。」「じゃがいももうまいのう」「大根をもっと食べたい」等など、陛下は元気に仰っていたのだが、ふとお言葉が止まった。
ブラック隊員はその時、里芋を口にほおばっていた。
陛下は、里芋のうまさに涙を流しておられたのである。
「庶民はよいのう、こんなに旨い物を食えて。(涙)」
里芋は、通常おでんには入れないが、母が気をきかせて新たに投入したのであった。
陛下は、生前の暮らしを思い出されたのであろうか、或いは、百年近くに渡る修行生活の辛さをしみじみと思ったのか、しばらく里芋を食べながらさめざめと泣いていた。
死霊ライフ初めての涙であろう。この夜、陛下は手放しで泣いた。
2003.12/26 |