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2006年2月15日、ブラック隊員は家出をした。
母親との関係が最悪だったのだ。母親は、何が起こっても、何もかもの愚痴や罵詈雑言をブラック隊員にぶちまけてしまう。感情が爆発しようが怒りで狂おうが、何もかもをブラック隊員の顔に向かって直接ぶつけてしまう。ブラック隊員は、その状況を四年間、我慢していたのだ。このままでは自分の精神が参ってしまうと考えたブラック隊員は、三月になったら家出をしようと計画を立て、友人たちに協力を要請した。
ところが、それとは関係なく、母親との関係は悪化する一方。
きっかけは、ジーコ内山監督の撮影している新作映画「天才馬鹿」に関係していた。ジーコ内山自ら、スキンヘッド一夫多妻男を演じるハーレムシーンがあり、そのロケ地がないというので、ブラック隊員は、自分の実家の二階ではどうかと提案した。母親に交渉すると、あっさり承諾してもらえた。んが、母が後からやっぱり嫌だというか、ジーコ監督の悪口・罵詈雑言をブラック隊員に、これでもかとばかりに浴びせるのだ。
結局、その辺の事情を説明する為にジーコ監督に連絡をとると、ロケの話は白紙に戻そうという事になった。それを母に伝えると、母は安心して昼寝をした。
チャンス到来!今家を出なければ、次はいつ出られるか予測などつかない。幸い、以前から荷物をまとめてあったので、それらをかついで家を出る。パソコンのモニタにメモを貼った。
「家を出ます。探さないで下さい。」
心臓がバクバク言う。重い荷物を持ってタクシーを止め、市役所へ行ってもらう。
命がけで転出の手続きをする。待ち時間がやけに長く感じられる。手続きが済んで、東京行きの電車に乗り、携帯電話の電源を切る。
高円寺についてみると、駅を改装中でコインロッカーがひとつも使えない状態だ。仕方なく、公衆電話を探しながら、ジーコ邸へ歩いて向かう。公衆電話はどれもこれも壊れていたりして、使えないものばかりだった。ジーコ邸にかなり近づいた場所でようやく、公衆電話からジーコ監督に電話が出来た。
「ジーコさん、家から逃げました!」
「凄いねえ!」
「とりあえず、荷物だけ預かってもらえないですか?夜はネットカフェで寝ます。」
「ああ、いいよー。」
それから、色々と顛末があって、杉並区の福祉センターの職員の皆さんのご協力のもと、ようやく高円寺南のアパートに落ち着いた。
そして、今日。玄関に本田美奈子さんがいるので、こっちに入っていいよと言うと、そろそろと入ってきた。
「そんなに怖がらなくても悪い事はしないよ。安心して。美奈子ちゃんは、今、背後霊さんをやろうとしているんだよね?でもね、エネルギー足りないから、取り込み方だけ教えるね。そこの座布団に座ってごらん。背中から天の川が流れ込むって、考えるだけ。それだけ。」
「ああ!本当にエネルギーが背中から入ってくる!」
「一緒に紅茶飲む?」
「はい!」
美奈子さんは、死霊さんの食べ方をまだ知らなかった。ブラック隊員は、紅茶のカップをコピーして、美奈子さんに手渡した。
「紅茶美味しい!」
「美奈子ちゃん、死んでから一回も食べてないでしょう?そんなに痩せているしねえ。でもね、死んだら肉体がないから、何でも食べられるし、全部エネルギーになっちゃうから、体が太る事はないんだよ。だから、これからは一緒にお食事しようね?」
「はい!」
「このポテトチップ食べる?」
「はい!あ、美味しい!あれ?これ減らないし、どんどん増えていく!」
「それがコピーのいいところなんだよね。どう?食べるとエネルギーになる感じでしょ?」
一緒にテレビを見ていたら、丁度、本田美奈子さんの地元で回顧写真展が開催されるというニュースが流れた。
「美奈子ちゃん、大勢に愛されてよかったね!」
「はい!」
美奈子さんは、背後霊として働く為にも、ヒーリングを覚えた方がいいと、死霊ヒーラーズたちから助言をもらい、今はその特訓中だという。死霊ヒーラー本田美奈子の誕生まで、きっとあとわずかだろう。
2006.3/17 |