午前8時00分 (ノースタワー崩壊迄2時間28分) |
ノースタワー107階、レストラン「Windows on the World」 |
「おはようございます、Ms. Thompson。」
Doris Engのあいさつは、その日の天気のように晴れやかだった。
Ms. Thompsonは思い出す。
Liz Thompsonがこの町で一番高いビルの最上階で朝食を取るために、やって来たときのことである。
多分、Ms. Engは清々しい天気にムードを合わせたのだろう。
濃いブルーの九月の空がどの窓からも見えていた。
その朝、そこで朝食を取った2人の人々によると、見慣れた顔ぶれが、Ms. Engが担当する、窓際のテーブルに席を取った。
「Lower Manhattan Cultural Council」の執行役員、Ms. Thompsonは、ちょうどタワーをリースしたばかりの、「Silverstein Properties」の役員、Geoffrey Whartonと一緒に食事をしていた。
隣のテーブルには「Port Authority of New York and New Jersey」の副検査官、Michael Nestorが、調査官の一人、Richard Tierneyが座っていた。
三番目のテーブルには、毎週火曜日にやってくる証券ディーラと、そのグループの六人が座っていた。
Ms. Engは、そのうちの一人、Emeric Harveyの相手をしていた。
前の晩、支配人の一人、Jules Roinnelが、殆ど入手不可能な、「The Producers」のチケットを二枚、Ms. Engに、渡し、Mr. Harveyに差し上げるようにといったのである。
自由の女神が見える窓際の席に座ったのは、「the Port Authority」の新任の執行役員、Neil D. Levinでした。
彼は、今まで一度も、ここで、食事をしたことがなかった。
しかし、前日、彼の秘書が、テーブルをとり、銀行家の友人と食事をするのを待っていたのである。
Mr. Levinの妻、Christy Fererは云っている。
Mr. Nestorの記憶では、ウエイターのJan Maciejewskiは、その間、部屋の中を掃いたり、コーヒーを注いだり、オーダーをとっていた。
Mr. Maciejewskiは107階で働く従業員の一人だった。
「Windows」の従業員72人の殆どは106階にいて、「Risk Waters Group」が開いている情報技術会議にアテンドしていた。
主催者の話では、すでに87人が到着しており、中には、Merrill LynchとUBS Warburgの上級役員もいた。
多くの人が、宴会室でコーヒーやスモークサーモンを楽しんでいた。
少し離れた、Horizon Suiteでは、展示者の何人かはブースに入っていた。
その朝、撮られた写真には二つの展示者が写っている。
Bloomberg L.P.のPeter Alderman と William Kellyは、マルチスクリーンコンピューターディスプレイを装備したテーブルの横で同僚としゃべっており、Data Synapseの二人の副社長、Stuart Lee とGarth Feeneyは、彼らの会社のソフトを走らせている。
Mr. Levinのアシスタントは、107階下のロビーで、朝食に招いたゲストを待っていた。
しかし、ゲストがついたとき、Ms. Fererの不勉強のせいで、幸運にも、ゲストとMr. Levinのアシスタントは、エレベーターを乗り間違えたため、ロビーへ戻り、次のエレベーターを待たなければならなかった。
Mr. Levinは、上の階で新聞を読んでいたのを、Mr. Nestorが覚えている。
彼と、Mr. Tierneyは、彼らのボス、Mr. Levinが、誰と朝食を共にするのかと、少し興味があった。
しかし、Mr. Nestorは、下のフロアでミーティングあったので、Mr. Levinのテーブルに立ちより、挨拶をした後、エレベーターへと向かった。
後から来た、Ms. Thompson、Mr. Whartonとともに、Mr. Nestorが、エレベーターを止め、素早く飛び乗ったのをMs. Thompsonは覚えている
そして扉が閉まり、レストラン「Windows on the World」を後にした最期の人を乗せたエレベーターは下降し始めた。
そのとき時刻は午前8時44分だった。