目次

ニューヨーク・世界貿易センタービル
「最後の102分間」
The New York Times より

午前9時02分(ノースタワー崩壊迄57分)
サウスタワー、81階、富士銀行、崩壊迄、57分

「はい、元気です」シカゴからかかってきた電話に、Stanley Praimnathは話した。

彼は実際に、サウスタワーのロビーに避難していた、しかし、警備員は、彼に、オフィスへ帰るように云った。

今、また、彼は、富士銀行の彼の机にいた。

「元気です」 彼は繰り返して云った。

水平線上に灰色の物体があった。

自由の女神の横を通り過ぎる飛行機だった。

United Airlinesのジェットの機体がどんどん大きくなり、胴体の赤い線が見えるほどだった。

そして飛行機は旋回し、彼の方へまっすぐ向かってきた。

もう一つの飛行機だった。

「おお、神様」 彼は、金属机の下へ、もぐりこみ、叫んだ。

9時02分54秒に、ジェット旅客機の先端が、直接、Mr. Praimnathのフロアに突っ込んだ。彼の机から約130フィートだった。

火の玉が燃え上がり、スチールの備品とアルミニウムの機体が引きちぎられ、白熱した榴霰弾になった。

コンピューターや机は、爆風で、窓のところまで飛ばされ、電源ケーブルの束は引きちぎられた

サウスタワーは、かがみこむように、ハドソン川の方向へゆっくりと揺れ、鉄骨の強度を試すような動きを見せて元へ戻りった。

いずれのタワーでも、階段は押しつぶされ、ノースタワーでは、爆風により、衝突直後に分断されたか、または、塞がれてしまった。

しかし、サウスタワーの78階から84階にかけてのインパクトゾーンでは、階段が重い昇降機の陰になっていた。

したがって、これらのフロアで使われていた、二つの階段室はビルのコアとしてよりも、防御線に近い形で建造されていた。

そのうち、北西の階段室が、使える状態だった。

USA Today の今月のレポートでも、使用可能だった階段室は機械に守られていたのではないかと示唆している。

階段は使えたものの、Stanley Praimnathにとって、事情は全く違っていた。

彼は、机の下にもぐりこみ、きらきら光る飛行機の破片のアルミニュームがドアに突き刺さっているのを見た。

飛行機は斜めに突っ込んだため、六つの階を突き破っている。

上の三つの階のうちの84階には「Euro Brokers」のオフィスがあった。

その会社のディーリングフロアはほとんど全滅だった。

飛行機が衝突した中心部だったが、その場所でさえ、何人かは生き残った。

Robert Coll, Dave Vera, Ronald DiFrancesco と Kevin York 達である。

数分以内に、かれらは、最も近い階段へと向かった。

彼らを誘導したのは84階の火災監視員Brian Clarkで、彼は懐中電燈とホイッスルを持っていた。

階段室には細かい粉が混じった薄い煙が漂っていた。

Mr. Clarkは思い出す。

かれらが81階に近づいたとき、彼らは、スリムな男の人と、小太りの女性に会った。

女性は、「下へは行けないよ」 と叫んだ。

「上へ行かなきゃ、下は煙と炎で一杯よ」

この判断がすべてを変えてしまった。

何百人もの人が同じ結論を出した。

しかし、階段室の煙と破片が障害になったというよりも、恐怖心が障害になっていたのである。

この階段こそが、サウスタワーの、一番上の階から、一番下の階へ通じる唯一のルートだったのである。

早い時期に、この階段を見つけておれば、誰でも自由になれたのであった。

飛行機の衝突直後、81階のフロアに立ち、絶好の機会を前にして、生存者への道を選ぶのは、容易ではなかった。

Mr. Clark は、同僚の顔を懐中電燈を照らし、「上か下か?」と尋ねて選択肢を討論した。

討論は81階からの大声により中断された。

「助けてくれ!助けてくれ!」Mr. Praimnathが叫んだ

「逃げられないんだ、置いていかないでくれ」

討論は打ち切られ、階段にいたグループは別々の方向へ向かった。

Mr. Clarkは思い出す。

Mr. Coll, Mr. York と Mr. Vera はスリムな男の人と、小太りの女性とともに、階上へ向かった。

Mr. Coll, Mr. Yorkは、女性の腕を取って、女性を助けた。

「行くんだ、行けるんだから、俺達がついてるんだ」

Mr. Clark と Mr. DiFrancescoは、助けを呼んでいる男のほうへ向かった。

Mr. Praimnathは、懐中電灯の光を見つけ、ひっくり返った机や、上から落ちた天井板を乗り越えて、その方向へ這っていった。

数分前まで、ここは富士銀行の貸付部門や、休憩所やコンピューター室があった場所だ。

とうとう、彼は、懐中電灯を持った男との間を隔てている、壊れた壁までたどり着く。

彼らは、両側から、壁を打ち破った。

Mr. Praimnathの手には釘が突き刺さった。

彼は真っ暗な中で壁を叩いた。

何とか、二人は、お互いに相手が見えるようになった。

しかし、二人は隔てられたままだ。

Mr. Clarkは手や左足から血を流しているMr. Praimnathに云った。

「ジャンプするんだ」「他に方法はない」

Mr. Praimnathは飛び上がり、Mr. Clarkは障害物を越えられるように、彼を持ち上げた。

彼らは階段のほうへ走り、階下へ向かった。

階段には壊れた壁板が散らばっていた。

階段室の壁の割れ目からは、炎が流れ込んでいた。

壊れたパイプからは水が吹き出していた。

彼らは、Mr. Clarkに、女性が警告した、濃い煙のある場所を通り抜けた。

たぶん、風向きが変わっていたのだ、それとも、煙は最初ほどひどくなかったのか。

ともかく、階段はクリアで、サウスタワーが衝突されたあと30分はクリアだったと思われる。

一方、Mr. DiFrancescoは空気を求めて回り道をしていた。

10階ほど上へ上がったとき、階上へ向かう最初のグループを見つけた。

彼らは、階段室から動けなかった。扉が開かなかったのだ。

Mr. DiFrancesco を含め、人々は濃い煙で息切れし、横になっていた。

「他の人は、みんな眠り始めていた」 と彼は云った。

「もう一度、妻と子供に会わなきゃならないんだ。」 

と考え、起き上がるなり、下へ駆け下りた

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