| 午前9時05分(ノースタワー
崩壊迄54分) |
| サウスタワー、78階、スカイロビーのエレベーター |
Mary Josは、直通エレベーターの外のスカイロビーのフロアで、気を失ったまま、どれほどの間、そこに倒れていたか、はっきり分からない
彼女が最初に思い出すのは、背中と顔に焼け焦げるような熱さを感じたときのことだ。
多分、火災にあったのだ。
本能的に、彼女は、炎をもみ消すために床を転げまわった。
彼女は部屋の中央とエレベーターシャフトから炎が上がっているのを見た。
恐ろしい光景だった。
濃い黒煙の下に、雲のように飛散する漆喰の破片を見て、彼女は、何か大変なことが起こっているのに気がついた。
数分前には、ビルから出るべきか、職場に戻るべきかを、決めかねて、オフィスの従業員で一杯だった78階のスカイロビーが、今は、身動きしない人体で一杯になっていた。
天井、壁、窓、スカイロビーのインフォメーションキオスク、エレベーターの周囲に貼り付けられていた大理石。
2番目のハイジャックされた飛行機が左の翼端を78階にぶつけたとき、すべてが打ち壊された。
目撃者の話では、その瞬間、閃光が走り、熱気の突風と衝撃波がすべてを襲ったという。
死んだような沈黙の中で、火傷をし、出血したMary Josは、ただ夫のことだけを考えていた。
「死にたくない」 と、彼女は思い出して云った。
二つのアタックの間の16分間では、サウスタワーの人々には、プラザの向こう側に見た、ノースタワーの恐怖を教訓にして、そのときどう行動するかを決める時間がほとんどなかった。
彼らの行動を図表にすることは、生と死の地図を見ることである。
生存者の話では、2番目の飛行機がヒットする迄、スカイロビーのムードはよくなかった
通りを歩くより、自分達のビルのほうが安全だというアナウンスに安心し、そして、それが本当は、そうではなかったという怖さ。
この重大な時期に、トレーディングデスクでマーケットが開くのを待つべきか、それとも、階下でコーヒーカップを握っているべきかで、判断に神経をすり減らす人々。
「Keefe, Bruyette & Woods」では、投資銀行部門の殆ど全員が、席におらずに、生存し、エクイティートレーダーの殆どは職場に残って死んでしまった。
そのうちの一人、Stephen Mulderryは、兄、Peterに話している。
ノースタワーの中の炎が、窓から見えること、さらに、ビルの管理室からのサウスタワーは安全だという、言葉。
やがて、電話機のランプが点滅し、「さあ、仕事だ、マーケットが開く、」 と、彼が話し、ベルがなるのを聞いた、とPeter
Mulderryは思い出す。
2機目が衝突するときまで、78階スカイロビーでは、上へ行くべきか下へ行くべきか、意見は拮抗していました。
100階にある、「Aon Corporation」で働くKelly
Reyherは、ローカルエレベーターに乗り、上へ向かった。
すぐに、事務所へ戻れると考え、Palm Pilotを取り行こうとしたのだった。
「Aon Corporation」の従業員、Judy Wein と Gigi Singerは、103階の事務所へ、ポケットブックを取りに行くかどうかでもめていた
しかし、同僚のHoward L. Kestenbaumが、そんなこと忘れるように云い、家までの電車賃を渡そうとしていた。
オフィスワーカー達が、帰宅して再会する、愛する人達について、神経質に語るときでさえ、軽いユーモアがあった。
「私、馬一頭と猫二匹飼ってるのよ」 Karen E.
Hagerty、34歳は、エレベータースポットから出る時に、冗談を云った。
衝突の瞬間、目撃者によれば、50人から200人の人で騒然としていたロビーは、沈黙と暗黒に襲われ、死者で一杯になった。
ごく僅かの人が、窪みにもたれかかっていて生き残った。
エレベーターが混雑していて戻ってきた人は死んだ。
Ms. Weinはというと、彼女の身体は叩きのめされ、右腕は折れ、肋骨が3本折れ、肺に突き刺さっていた。
ある意味で彼女は、幸運だった。
彼女の周囲にいた人たちはひどい怪我をし、死んでいたか、それに近い状態だった。
Ms. Weinは、大声を上げ、彼女のボス、Mr. Kestenbaumを探した。
しかし、彼を見つけたとき、彼は、無表情で、身動きせず、物も言わなかった。
Aon社の同僚、Ed Nichollsが、Ms. Hagertyを見つけたとき、家に二匹の猫がいる、と冗談を言っていた彼女には命の気配がなかった。
他のAon社の同僚、Richard Gabrielle
は、床に押さえつけられ、彼の両足は上から落ちてきた大理石によって、打ち砕かれているのが明らかだった。
Ms. Weinが、石を取り除こうとしたとき、Mr.
Gabrielleは痛さに悲鳴を上げ、彼女に止めるように云った。 とMs.
Weinが云っている。
しばらくして、動けるものは動き出した。
Ms. Weinは、Vijayashanker Paramsothy と Ms. Singer を見つけたが、二人とも瀕死の重傷だった。
Palm Pilotを取りに行く途中だった、Kelly Reyherは、腕とブリーフケースを使って、エレベーターをこじ開けようとした。
燃えているエレベーターから這い出した彼は、50フィート先にDonna
Spiraを見つける。
彼女の腕は折れ、髪の毛は焦げていた。Donna
Spiraは、まだ歩けた。
鼻と口をハンカチーフで覆った、不思議な男性が現れ、消火器を探していた。
Judy Weinは思い出す。
「彼は階段を指差し、多くの命を救ったアナウンスをしたのです。」
「歩けるものは、今のうちに立ち上がって歩くんだ。」
「他のもを助けられそうなものは、助けを求めているものを探して、頭を低くするんだ。」
二つか三つのグループになり、生存者は階段へ向かう戦いを始めた。
少し降りたところで、通路を塞ぐ障害物を持ち上げ、小さな通り道を開け、滑りぬけられるようにした。
このグループの数分あとに、Ling
Youngがいた。彼女は、衝突のとき、スカイロビーにいて助かったのだった。
彼女も言っている。
「階段はこっちだ」 と叫ぶ赤いパンダナの男の声に導かれた。
彼は彼女を階段へ引きずった。
そのとき、彼女はすぐに気がついたのだが、彼は背中に女性を背負っていた。
空気が少し綺麗な場所まで来ると、彼は彼女を下ろし、また、上のほうへ戻っていった。
Ms. Youngは云った。
「State Department of Taxation and Finance」で働く、Mrs.
Josと、その同僚、Sankara VelamuriとDiane Urbanは、もう二人の重傷の友人、Dianne Gladstone と
Yeshavant Tembeを助けようとした。
しかし、その後、これらの5人は死ぬことになった。
2番目の飛行機が激突した時、スカイロビーで待っていた多くの人のうち、12人が生き残ったことが分かっている。