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ビートと差音

周波数の異なる2つの純音を同時に聴くと、ウナリやビートが生じることはよく知られている。これとは別に、ある条件(2つの純音の周波数の差が低周波数側の周波数より十分小さく、かつ差の周波数が約 50 Hz 以上の可聴域にある場合)を満たせば差の周波数の純音がかすかに聴こえる。これを差音とよび古くから知られている現象だが、オーディオファンにはあまり知られていないようである。 以前にもこの問題を取り上げたことがあるが、もう一度取り上げる。

前半は、差音の存在を感覚的に知ってもらうための問答で、実はここで取り上げた問答の10倍くらいの投稿があったが本筋に関係のない話はすべて省略した。 後半は、その原因が何かについてを明らかにする実験の投稿を取り上げている。以前の議論ではその原因が、スピーカーなどの再生装置にあるのか、定説である人間の耳で発生する主観音なのかを実験的に明らかにできなかったが今回の結果からやはり主観音であることが確かめられた。差音は音が伝達する径路にある非線形により生じると考えられているが、最後の部分にアンプの非線形によって生じる相互変調歪みのデーターを掲載しておく。

なお、話題のきっかけはチェロやピアノなどの低音が出る楽器の最低音がミッシングファンディメンタルズという心理現象によって聴こえるのではないかという議論に引き続くものである。

ミッシング ファンディメンタルズ 投稿者:BM 投稿日:2010年 9月 8日(水)16時54分20秒  

この現象の話になって、なかなか議論が付かなかった事が有ります。普通、差音と言いますけど、ミッシング ファンディメンタルズも同じ現象だと思います。150Hzと100Hzを同時に鳴らすと50Hzの差音も聴こえると言う物です。実際に差音が発生しているとする意見(私はそうなのですが)と、実際には音圧が無いのに人には聴こえるとする意見が有ります、さてさてどうでしょう? 私はウナリの延長と考えてます、原理は差音も同じで二つの音程の差によって発生します。20Hz以下の2Hzとか4Hz程度だと音の強弱としてウナリと聴こえ、その差が20Hzを超えて来ると、音の強弱には聴こえなくて、その差の周波数の音として聴こえると言う事です・・・

ウナリと差音 投稿者:志賀 投稿日:2010年 9月 8日(水)22時50分13秒  

このテーマについては以前サンプル音も交えてかなり突っ込んだ議論をしています。

http://www38.tok2.com/home/shigaarch/OldBBS/48beat.html

ここにまとめてあります。この問題は理屈でどちらが正しいかではなく、適当な2音を選べば、ウナリの他に差音に相当する別の音が聴こえる場合があるということで、あくまで主観的な話です。

http://www38.tok2.com/home/shigaarch/beatsounds.html

ここにサンプル音源がいろいろ入れてありますが、例えば 2.の1000Hz+1100Hz の混合音を聞くと100Hzのウナリとは別に100Hzくらいの低音が聴こえませんか? 私には聴こえるんですが。

さらに面白い例が、


http://www.sfu.ca/sonic-studio/handbook/Combination_Tones.html

この英語のサイトで聴けます。

Re:ウナリと差音 投稿者:志賀 投稿日:2010年 9月 9日(木)16時14分17秒 BMさん

>ウナリと差音が両方聴こえると言うのは初めて聞きました。

話として初耳だということですか?

それとも、実際に聴いてみてわかったということですか?

REウナリと差音 投稿者:BM 投稿日:2010年 9月 9日(木)17時16分55秒  

ウナリと人が感じるのは、10Hz以下位だと思っています、楽器の調弦(チューニング)の時とかに感じる2Hzとか数Hzの物ですが、100Hzのウナリと言う表現は聞いた事が無かったものでして。しかも発生原理が同じだとして、周波数の低い物がウナリで、その周波数が高くなると音として感じて差音と成ると思っていますので、差音とウナリが同時に聴こえると言う事が不思議に感じたのです

Re:ウナリと差音 投稿者:志賀 投稿日:2010年 9月 9日(木)17時51分58秒
BMさん

私の質問に直接答えてもらえませんか?

(1)例のサンプル音源(1000Hz+1100Hz)を実際に聴いたのですか?
(2)聴いたとき、2種類の音が聴こえませんでしたか?

この2つです。議論はその答えを聞いてからにしましょう。


Re: Re ウナリと差音 投稿者:志賀 投稿日:2010年 9月10日(金)17時19分9秒 BMさん

>私のPCにはモニターを付けていませんので、聞けないのです。ウナリと言う現象は周波数の低い物と思っていましたのと、可聴域にはいると音として聴こえる物と考えていた物でして、不思議に思ったのです。他意はありません・・・

それは残念です。モニター無しでどうしてパソコンを操作されるのかちょっと不思議ですが、モニターがなくてもパソコンのイヤフォンジャックからでも、出来ればUSBインターフェースを使い密閉型のイヤフォンかヘッドフォンを使えば聴けると思うんですが?

これで、1000Hz+1100Hz の混合音を聴けば、1050 Hz付近の音が100Hzで変調されたビート音と100Hzの純音(差音)の2種類の音が聴けるはずです。ただし差音の方はかなりレベルが低いのでボリュームを上げて注意して聴かないと分からないかもしれません。また、個人差があるので、聴こえない人もいるかもしれません。

いずれにせよ、以下に書いたことを納得してもらうには実際に体験してもらうのが一番だと思いちょっとこだわったのです。

で、ウナリと差音ですが、これは別物です。確かに高い周波数のビート音をウナリというと日本語のニュアンスとしてはちょっとなじめないかもしれませんが、物理的には同じことで、オシロスコープで波形を見れば周波数にかかわらず同じように見えます。この場合スペクトルアナライザーで周波数成分を見ると、1000 Hzと1100 Hz の2成分しか存在しません。一方の差音は実音なので100 Hz の成分が存在するはずです。この差音が生じるためには、音が伝わる径路に非線形性(歪み)が存在する必要がありますが、やっかいなのは、この非線形性が聴覚器官内にある場合です。この場合は、音源には歪みがなく従って、差音が存在しなくても、感覚的には2種類の音が聴こえることがあり得るわけです。一方、スピーカーやイヤフォン、測定用マイクにも大なり小なり非線形性があるので、仮に2種類の音が聴こえてもその原因を特定するのが難しく、議論が分かれることになるんだと思います。

なお、耳で聴く場合、2種類の音として聴こえるためには、ウナリの周波数が低すぎても高すぎても差音との区別がつきにくく、サンプル音源の1000Hz+1100Hz辺りが比較的区別しやすいと思います。

Re: 相互変調歪み成分? 投稿者:志賀 投稿日:2010年 9月14日(火)06時14分3秒 BMさん

>>・・・ビートの周波数が可聴域以下でも以上でも物理的には同じだといったつもりです。これと差音(正確には相互変調歪み成分)は別物だといっているわけです。
>
> このお考えですと、差音はビート音では無くて相互変調歪み成分とお考えなのですね?

はい、そういうことです。これは私の考えというより、波動物理の基礎で、教科書に載っているような話です。三角関数の計算が出来ればすぐ分かることです。すでに何度も答えていますのでこの件についてはお仕舞いにしましょう。

ちなみに、相互変調歪みの理論はちょっと難しく、普通の教科書では丁寧には書いていまいかもしれません。私のHPで解説しています。

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/distortion.htm#distortion

>ではビート音だけでは可聴域でも差音として聴こえないと言う事でしょうか?

ビート音だけといわれますが、そのような音源をどうして作りますか? システムの歪みにより差音(相互変調歪み成分)も大なり小なり同時に発生します。ともかくビートと差音は別物だということです。これを体験するため、1000Hz+1100Hz の混合音を注意深く聴くことをお薦めしているわけです。

http://www38.tok2.com/home/shigaarch/beatsounds.html

大きく聴こえるのは平均1050Hz のビート音で、1050Hzの純粋のサイン波と比べるとちょっと濁った音と感じると思います。それに加えて、低音成分(100 Hz) の音がかすかに聴こえませんか? 以前の議論のまとめに書いてありますが、これは私だけでなく他にも明確に聴こえるという人がいましたよ。

さらに、これに 103Hz -30dB の音を混ぜると(1000Hz+1100Hz+103Hz(-30dB)の混合音)、低音成分(差音)に約 3Hzのビートが生じるので、この低音成分は間違いなく100Hzであり、私の空耳ではないと思います。

問題はこの100Hz 成分が、スピーカーやイヤフォンの歪み(非線形)のみによるのか、聴覚器官の特性なのか、この実験だけでは結論が出せないということです。ただ、

http://tenjin.coara.or.jp/~tomoyaz/higaax06.html#060304

こんな報告があるので、後者の寄与もあるようですね。

Re: 相互変調歪み成分? 投稿者:志賀 投稿日:2010年 9月14日(火)15時19分0秒 BMさん

> 志賀さんが始め書かれたのは1050 Hz付近の音が100Hzで変調されたビート音と100Hzの差音が聴こえると書かれたので不思議に思ったのです。ただもっと差が広がり差音の周波数が高く成ると中間の周波数のビート音は聴こえ難くなり差音だけが聴こえるとも言われています。

この部分も「いわれています」ではなく体験できます。

http://www.sfu.ca/sonic-studio/handbook/Combination_Tones.html

このサイトの最後の部分、Sound Example をクリックしてして聴いてみて下さい。これを聴いてもらえばよく分かると思いますが、この音は同じ振幅の2つのサイン波の混合音で、最初は2音とも500Hzから出発して、一方は500Hzのまま、片一方は1000Hz まで直線的に周波数を上げています。大きく聴こえるのがビート音で、最初の内はまさにウナリとして聴こえますが差が大きくなると1つの音と聴こえるかもしれません。それとは別にスライドバーが1/3 から2/3 くらいの位置で小さいながら別の音が聴こえ、その音程が徐々に上がっていくのが分かりますか? これが私が差音(f1-f2)といっている音です。

まず、この音を体験してみて下さい。聴こえなければこの議論は打ち切りです。聴こえない音の原因を議論しても仕方がないですので。


Re: 相互変調歪み成分? 投稿者:BM 投稿日:2010年 9月14日(火)16時48分49秒 志賀さん

>スライドバーが1/3〜2/3 の間で、

と言われると言う事は200Hz〜300Hz位の上昇していく差音が志賀さんにはハッキリ聴き取れると言う事ですね?

私にも聴こえました・・・差音ですね。

追記ですが、人の耳って、その音程を意識していないとなかなか聞き取り憎いと感じました、初めに聴いたときは、どこかで差音が数回発生すると思って聴いていました、それが考えてみると連続的に上昇していく差音だと思い、再度聴くと、シッカリと私にも聞き取れました。

Re: 相互変調歪み成分? 投稿者:志賀 投稿日:2010年 9月14日(火)19時59分26秒 BMさん
BMさん

聴こえましたか!


そうです。それが以前から差音といっている成分です。正確にいうと2つのサイン波から生じる相互変調歪み成分です。

ということで、ビート音と差音は別物だということは納得されたのですね。

問題はそれがどこで生じるかです。私が作った音源は1000Hz+1100Hzですが、これはパソコンでGeneWaveを使って作り、同じパソコン内でWaveSpectraでスペクトルをとると差音である100Hz はほとんど観測されません。つまり、電気回路では100Hz成分は発生していません。しかし、この音をスピーカーで発生させマイクで収録しWaveSpectraでFFT解析するとかなりの100Hz 成分が観測されます。従って、差音(相互変調歪み成分)はスピーカーかマイクのどこかで発生しているわけです。耳で聴く場合は、マイクの歪みか関係しないので、スピーカーで発生した歪み成分を聴いている可能性は高いと思いますが、聴覚器官内で発生するという説もあるのでどこに原因があるかを断定するのは難しいわけです。

そこで、この解決策を提案します。1000Hzの純音と1100Hzの純音を、近くに置いた2つのスピーカーで別々に発生させ、少し離れた位置で聴きます。この場合は、スピーカー内では相互変調歪み成分は発生しないので、もしそれでも差音が聴ければ差音は耳の中で発生しており、聴こえなくなれば、2つの音を同じスピーカーで再生したときのみ、スピーカー内で発生していると結論出来るはずです。残念ながら、この実験はこちらではすぐ出来ないので、どなたか試みて頂けると有難いのですが。、


> 追記ですが、人の耳って、その音程を意識していないとなかなか聞き取り憎いと感じました、初めに聴いたときは、どこかで差音が数回発生すると思って聴いていました、それが考えてみると連続的に上昇していく差音だと思い、再度聴くと、シッカリと私にも聞き取れました。

大いにあり得ることです。音の聴こえ方というのは、先入観により大きく支配されるということの証拠ともいえますね。

以上のやりとりで、BMさんが納得されたかどうかわかりませんが、ともかく差音が聴こえたようなのでそれで良しとししておきます。以下はその原因が再生装置側にあるのか、聴覚器官の内部で生じているのかという議論です。

差音の測定 投稿者:WT 投稿日:2010年 9月16日(木)18時17分14秒  
 
差音は測定できるのか、をやってみました。方法は志賀さんがご提示されていた、「1000Hzの純音と1100Hzの純音を、近くに置いた2つのスピーカーで別々に発生させ、少し離れた位置で聴きます」です。これをさらに測定用マイクロフォン(ベイリンガーECM8000)で受けて16bit,44,1kHzで記録し、このデータをFFTにかけてみました。それが下のグラフになります。

wavegeneでLに1000Hz、Rに1100Hzを作成し(レベルは-6db)、CD-Rに焼きこみます。それをスピーカーで再生してみました。音圧レベルはどのくらいか測定していませんが、手持ちのスピーカーの能率が約102dB/mで、パワーアンプのメーターで0.1wを指していましたから90dB程度であると思います。スピーカーの間隔はセンターからセンターが2mです。聴取位置は2,5mほどの所です(測定点も同じ)。

 耳でははっきりと100Hzが聞こえます。しかしこれを録音してFFTにかけると100Hzは観測できませんでした。念のために測定点(SPより2,5m離れた点からさらに100Hzの4分の1波長離れた4,2mの点でも測定しましたが、やはりFFTには100Hzが検出できませんでした。

聴取位置を前後に動かすと差音である100Hzの音も大きくなったり小さくなったりして聞こえます。その100Hzが最も大きく聞こえる点から少しづつ後ろに下がり、次の最も大きく聞こえる点までの距離を大雑把に測りましたら約34センチメートルでした。

したがって、「差音は耳の中で発生している」と結論付けて良いと考えます。

2SP測定 予備実験

差音とうなりの定義  投稿者:WT 投稿日:2010年 9月16日(木)18時34分19秒  

私も差音とうなりについては違いがよくわかりませんでしたが、「超音波差音の脳波測定による知覚現象の解析」

http://www.risk.tsukuba.ac.jp/riskhp08/200620910.pdf#search='

という論文の中に「うなりは、周波数がわずかに異なる二つの純音が同時に鳴ると、それらの音の平均周波数の音が大きくなったり小さくなったり聞こえる現象のことである。つまり、周波数がわずかに異なる二つの音が鳴っているとき、各々の基音の周波数の差に相当する周期で音の強弱が聞かれる現象である。それに対して差音は、周波数の違う二つの音が同程度の十分な音量で鳴っているとき、その周波数の差に相当する周波数が聞こえる現象のことである。」とありました。文科系の人間にもわかりやすい定義なので、助かりました。

Re: 差音の測定 投稿者:志賀 投稿日:2010年 9月16日(木)20時02分7秒  
WTさん

>・・・耳でははっきりと100Hzが聞こえます。しかしこれを録音してFFTにかけると100Hzは観測できませんでした。念のために測定点(SPより2,5m離れた点からさらに100Hzの4分の1波長離れた4,2mの点でも測定しましたが、やはりFFTには100Hzが検出できませんでした。

>したがって、「差音は耳の中で発生している」と結論付けて良いと考えます。

これはこれは、よく測定して頂きました。ありがとうございます。

上の結論でいいと思いますが、一つ質問と、出来れば追加実験をお願いしたいのです。

質問は、聴こえる100 Hz の音は、平均1050 Hz のビート入りの音(大きな音量の音で、ビートが入っているかどうかはあまりはっきりしないと思います)に加えて、小さいながら100Hzくらいとおぼしき音が別に聴こえるということですね?

もう一つ、お願いですが、2つの周波数の音を別々でなく、混合した信号を2つのスピーカーに同時に加えたとき、先の別々に加えたときの音と比べ、聴感とFFTスペクトルに差が有るかということを調べてほしいのです。この場合は、差音がスピーカー内で生じる可能性も大きので、もし100 Hzの音がさらに大きくなればスピーカーで生じる差音がどの程度寄与するするのか、ほとんど耳の中で発生していると考えていいのか確認が出来ると思うのです。一つのスピーカでもいいんですが条件を整えるため2つのスピーカーを使った方がいいと思います。

出来れば、最初の実験で100Hz付近に小さいながらピークが見えますね。これは、マイクの非直線性から生じた可能性がありますが、この辺りも注意して調べて下さい。

Re: 差音の測定 投稿者:WT 投稿日:2010年 9月16日(木)22時00分4秒  
志賀さん

>質問は、聴こえる100 Hz の音は、平均1050 Hz のビート入りの音(大きな音量の音で、ビートが入っているかどうかはあまりはっきりしないと思います)に加えて、小さいながら100Hzくらいとおぼしき音が別に聴こえるということですね?

はい、間違いありません。事前に1000Hzと1100Hzをミックスしたモノラル信号と、それらを左右に振り分けた音をヘッドフォンで聞き比べて、振り分けた信号には聞こえない100Hzの信号がモノミックスの信号では聞こえることを確認できましたから。あと普段でも正弦波を聴くことは多いので、周波数とその聞こえ方はだいたいわかっているつもりです。

>2つの周波数の音を別々でなく、混合した信号を2つのスピーカーに同時に加えたとき、先の別々に加えたときの音と比べ、聴感とFFTスペクトルに差が有るかということを調べてほしいのです。

実はwavegeneでこのテスト信号を作成した時に左右に振り分けないモノミックス信号を作ってましたし、測定もしました。ただ残念ながらリアルタイムでWavespectraで確認しただけで記録しませんでした。残しておけばよかったですね。データとして残してないのであまり細かい差異は覚えてないんですが、先の測定結果とほとんど変わらない感じでした。100Hzに突出したピークは認められなかった、と思います。気がついていたらデータを残したと思いますので。

Re: 差音の測定 投稿者:志賀 投稿日:2010年 9月16日(木)22時37分10秒  
WTさん

早速のお返事ありがとうございます。以下は、その内容についてのコメントです。

>>質問は、聴こえる100 Hz の音は、平均1050 Hz のビート入りの音(大きな音量の音で、ビートが入っているかどうかはあまりはっきりしないと思います)に加えて、小さいながら100Hzくらいとおぼしき音が別に聴こえるということですね?
>

> はい、間違いありません。事前に1000Hzと1100Hzをミックスしたモノラル信号と、それらを左右に振り分けた音をヘッドフォンで聞き比べて、振り分けた信号には聞こえない100Hzの信号がモノミックスの信号では聞こえることを確認できましたから。あと普段でも正弦波を聴くことは多いので、周波数とその聞こえ方はだいたいわかっているつもりです。

了解しました。ビート音と差音が間違いなく別々に聴こえるということですね。

>>2つの周波数の音を別々でなく、混合した信号を2つのスピーカーに同時に加えたとき、先の別々に加えたときの音と比べ、聴感とFFTスペクトルに差が有るかということを調べてほしいのです。
>

> 実はwavegeneでこのテスト信号を作成した時に左右に振り分けないモノミックス信号を作ってましたし、測定もしました。ただ残念ながらリアルタイムでWavespectraで確認しただけで記録しませんでした。残しておけばよかったですね。データとして残してないのであまり細かい差異は覚えてないんですが、先の測定結果とほとんど変わらない感じでした。100Hzに突出したピークは認められなかった、と思います。気がついていたらデータを残したと思いますので。

この件も了解しました。一応記憶の範囲では、ほとんど変わりがないということですね。ということは、少なくとも、差音(100 Hz)の大部分は耳(あるいは脳)の中で生じていると結論してもよさそうですね。

となると、個人差も大きいと思いますが、いずれにせよこの結果は、ビートと差音に関する一連の問答に決着をつける大きな成果だと思います。


Re: Re,うなりの定義 投稿者:HD 投稿日:2010年 9月27日(月)21時00分14秒
BMさん:

> HDさんの、行っていただいた実験が二つスピーカーを並べた状態に近いと思います。これのマイクでの測定が有れば有り難いですが?

音圧レベル−10dBで発生させた1000Hzと1100Hzを左右別々に分けた音源と、1000+1100Hzの音源をCDフォーマットでCDRに焼いてオーディオ装置(スピーカ間隔は約2.4m)で再生した「音」を両スピーカのほぼ中心線上(両スピーカを底辺とする正三角形の頂点あたりにマイクを置いて録音した波形を添付します。

上が左右別々、下が(1000+1100Hz)の波形です。

左右別々の方は、1000+1100Hzより約10dB音量が小さいですが、録音したWAVファイルをイアフォンで同じ位の音量にして聴きますといずれも100Hzらしい「音」が同じくらいの音量で聞えます。

FFTスペクトルでは1000Hzと1100Hzしか出ないです。

尚、部屋で再生音を直接聴いた場合もいずれも100Hzらしい音は聞えますが、実際に両スピーカから出ている音は正弦波の為か、少し頭を動かしたり、首を回しただけで聞え方がかなり変ります。

画像あり ウナリ波形3



Re: (無題) 投稿者:HD 投稿日:2010年 9月30日(木)14時49分42秒  
BMさん:

今までの私の最近の投稿で、言葉足らずのところ等補足しておきます。

>録音された差音の波形を見ると私にはウナリ(ビート)と同じに見えますが、

「波形は振幅は小さくなりますが同じ形をしていますね。---」は、「波形の包絡線は時間表示を拡大すれば、ウナリと同じような形」と訂正します。

>「2つの周波数の差がある周波数以上になると 「beat」が感知できなくなり、ラフ(ざらざらした?)な音になり、2つの音のピッチが分かれていると感じるようになる。 「beat」周波数が高く なって、(波形の)包絡線の(周期)が可聴周波数の(下限)20Hzよりかなり高くなって「音」として聴こえるようになったものを「difference tone」と言う」。

は、「difference tone」の言葉の定義の1例です。他の定義もあるでしょう。それから、

「内耳の非線形特性によって、耳に入ってくる色々の周波数の音による「相互変調」が起きる為」は「差音」が聞える原因(理由)の1例です。 他には、例えば:

9月22日 18:37:54の志賀さんのコメント、
「先の、差音の原因を、非線形でなく、音響エネルギーの振動を知覚することによるとする説は、どこかで見たことがあったと思っていたのですが、以前にWTさんが紹介された、超音波差音についての論文

http://www.risk.tsukuba.ac.jp/riskhp08/200620910.pdf#search='

の 13ページ。仮説2 に相当します。」

この論文の第3章を読みますと、
「ヘルムホルツらによると差音や加音などの結合音は空気中では物理的に存在せず、耳の中で生成される主観的な音とされている。しかし差音に関しては物理的に説明可能だとする説もある。差音と似た現象としてうなりという現象があるが、違う現象であることを確認しておく。」

「人間が知覚する周波数はエネルギーの最大値が1 秒間に何回生じるかである。(通常、音波の1 波長につき、2 回のエネルギー最大値((正、負の最大値をそれぞれ1回と読めば2回で1周期))のカウントを1 周期として人間は捉えている。)
差音とは結合音の一つであり、周波数がf1、f2(f1>f2)の二つの音を同時に発生させた時に(f1−f2)の周波数成分が聞こえる現象である。(中略)しかし、差音に関しては物理的に説明可能であるという説があり、この立場に立って仮説を立てる。」

との記述があり、「内耳の非線形説」と違う説もあります。

私はこれは2音が超音波領域に限った事ではないと考えてます。 左右2つのスピーカから別々に出た1000Hz、1100Hzを録音した波形の包絡線の1周期の時間間隔が0.01秒で100Hzの1周期と同じですから。「差音」はFFTスペクトルにも現れないし、波形も観測できませんから、いろいろな説がありいろいろな方向から研究されるのは良い事ではないですか?
今後の諸方面の研究を待ちましょう。と言う事で今回は終わりにします。

私としては、左右違う周波数の「音」を電気的に(PCソフトで)混ぜても、 別々のスピーカやイアフォンを鳴らして空気中で混ぜても、ウナリ、差音共にほぼ同様の結果を得られたのが面白かったです

その後、私自身も1000Hzと1100Hz の純音を発生させ聴いてみたが、はっきりと差音が聴き取れた。

差音の測定 投稿者:WT 投稿日:2010年 9月22日(水)23時17分18秒  

今日時間が取れたので、スピーカーからの再生音を録音してFFTにかけてみました。前回のデータは若干S/Nがとれていなかったようなので、アンプの出力を1Wにまであげて(前回は0.1W)みました。前回と違ってノイズに埋もれていた100Hzが現れてきました。

一枚目のデータはLのスピーカーで1000Hz、Rのスピーカーで1100Hzを再生したものを録音したデータです。
二枚目は1000Hzと1100Hzをミックスして再生、録音したもの。こちらの方が100Hzのピークが目立ちます。スピーカーの非線形の影響とも考えられますが、よく考えるとマイクにも非線形の要素はあるはずです。そこでマイクを変えてみることにしました。

画像あり ビート音測定1





差音の測定2 投稿者:WT 投稿日:2010年 9月22日(水)23時24分25秒  

オーディオテクニカのエレクトレットコンデンサーマイクロフォン、AE5100で同じ事をやってみたのが下のグラフです。このマイクは測定用ではありませんが、ECM8000と同じくらいF特がフラットです。
明らかに100Hzの山がECM8000にくらべて低くなっています




差音の測定3 投稿者:WT 投稿日:2010年 9月22日(水)23時46分20秒  

最後にコンデンサータイプではなく、ダイナミックマイクでも測ってみました。アイワのDM68という古いものですが、これもオールラウンドに使えるように設計されたマイクです。要するにボーカル専用のようにローカットをしたりハイに意図的なピークを持たせたりしていないマイクです。

意外だったのはこのマイクがAE5100と同じくらい100Hzのピークが目立たなかったことです。ダイナミックですから基本的にスピーカーと構造が同じということでこれが一番100Hzのピークが大きいと予想していたのですが。

 今回の実験で言えることは、測定するマイクが持つ非線形もデータに影響する、しかもマイクによってかなり差が出る、というものです。レベル的にはデータを見ていただければわかるように大変に低いもので、耳で聞こえる差音の100Hzのレベルとはかけ離れています。試しに1000Hz-10dB、100Hz-70dBを作ってヘッドフォンで聞いてみましたが、100Hzはまったく聞こえませんでした。ですからこのデータに現れた100Hzはスピーカーとマイクが持つ非線形の特性がミックスされた物である、と断定します。

ではその主観音であると思われる差音がどこで発生しているか、ですが例えば骨伝導で1000Hz+1100Hzを聞いてみると差音の100Hzのレベルがまた違って聞こえるかもしれません。そうするとなにかヒントが得られるかもしれないのですが、私は骨伝導で聞ける機器を持っていないので実験が出来ません。私が出来ることはここまでのようです。





Re: 差音の測定3 投稿者:志賀 投稿日:2010年 9月23日(木)09時31分14秒  
WTさん

素晴らしい測定ですね。以前私が試みたときは(L+Rのみ)100Hz ピークが大きすぎて、100 Hz 差音が、機器由来なのか、主観音なのか判断できませんでした。

WTさんの一連の測定で、主観音であると結論づけてよさそうですね。

ところで、英語版 Wikipedia でCombination tone という項目を見ると、

http://en.wikipedia.org/wiki/Difference_tone

ヘッドフォンで左右別々に2音を聴いた場合でも差音が聴けることがあるという記述がありました。私も試みてみましたが、少なくとも L:1000Hz R:1100 Hz の音では聴こえませんでした。その代わり 1000 Hz の純音とおぼしき音と、1100 Hz の純音とおぼしき音が別々に聴こえました。もし 100 Hz が聴こえた場合は、耳内の非線形でなく脳内で作り出される場合もあるという結論になりそうなのですが確認できませんでした。

差音の聞こえ 投稿者:WT 投稿日:2010年 9月23日(木)12時11分54秒  
志賀さん

さて私もL1000Hz、R1100Hzをイヤフォンとヘッドフォンで何度か聞きなおしてみましたが、差音の100Hzは聞こえませんでした。途中で音量を変化させたり、自己暗示をかけても無理でした。もっと聞く回数を増やすと学習効果で?聞こえるのかも。
個人差があるのだ、と仮定するとかなりN数を増やさないとそういう例はでてこないかもしれませんね。

Re: 差音の聞こえ 投稿者:HD 投稿日:2010年 9月23日(木)13時22分38秒  
志賀さん、WTさん:

> さて私もL1000Hz、R1100Hzをイヤフォンとヘッドフォンで何度か聞きなおしてみましたが、差音の100Hzは聞こえませんでした。

私もこれを数回やって見ましたが100Hzは聞えませんでした。 が、左右単独ではそれぞれ1000Hz、1100Hzの純音が聞えますが、左1000Hz、右1100Hzを同時に聞きますと他に周波数領域不明の音?が聴こえるような感じがしました。 この「周波数領域不明の音?」はイアフォンの左右を入れ替えても聴こえるように感じましたね

Re: 差音の聞こえ 2 投稿者:志賀 投稿日:2010年 9月23日(木)22時12分29秒 HDさん

> 以前出ました純正律の長三度(589Hz、736Hz)を「左589Hz、右736Hz別々」と「左589Hz+右736Hz(混ぜた)」の正弦波音源を作ってイアフォンで聞いて見ました。 左右別々に場合はハーモニーの良い2音は聞えましたが、147Hzの差音は聞こえませんでした。

左右別々にイヤフォンで聴いた場合は、物理的にビートは作っていないので、2音別々に聴こえるのは当然だと思います。また、差音が聴こえるという話もありますが、ここでは誰も聴こえなかったし、ちょっと考えにくいので忘れた方がいいような気がします。

> 混ぜた(加えた)場合は、元のハモッテいる2音に加えて、下の音の2オクターブ下(147Hz)の差音が結構大きな音量で聞えました。 ただし差音は純音とは少し感じが違います。

これは主観の問題なので、一概にはいえませんが、1000Hz+1100Hz のように包絡線がきれいに見える場合と、589Hz+736Hz のようにそうでない場合、つまり平均周波数と差の周波数があまり違わない場合とでは、聴こえ方が違ってもいいような気がします。

> それから、試しに589Hzと590Hzで別々と混ぜた音源を作ってイアフォンで聞いて見ましたところ、別々の方では「ウナリ」は聞えません。混ぜた方では1Hzの周期で音が大きくなったり小さくなったりします(「ウナリ」がよく聞こえます)。
>
> この現象はどう解釈すればよいのでしょうか?


ウナリは、やはり物理的に音が混ざってないと生じないと思います。RSさんのおっしゃる通りだと思います。

アンプ内部で発生する差音 投稿者:MM 投稿日:2010年10月 9日(土)21時55分17秒

アンプの内部でも増幅回路の直線性が悪くなると耳と同じように差音が発生するのではないかと考えて測定してみました。使用した信号は1000HZと1100HZをミックスしたものです。

 1000HZは0.01%未満の歪率ですが1100HZは0.7%程度の歪率であるため、2200HZ、3300HZの高調波が見られます。

 上は高調波歪率0.01%時の測定結果、下は同じく0.3%時です。
 小出力で直線性が良好な場合は差音(100HZ)は発生していませんが、直線性が崩れてくるとはっきりと差音(100HZ)が測定出来ます。ただし、レベルは−40dB以下。

 それぞれの上半分は1000HZと1100HZのビート波形ですが、見た目には同じようです。この中に100HZが隠れているのでしょうね。




Re: アンプ内部で発生する差音 投稿者:志賀 投稿日:2010年10月 9日(土)22時52分5秒
MMさん

>  アンプの内部でも増幅回路の直線性が悪くなると耳と同じように差音が発生するのではないかと考えて測定してみました。使用した信号は1000HZと1100HZをミックスしたものです。

>上は高調波歪率0.01%時の測定結果、下は同じく0.3%時です。 小出力で直線性が良好な場合は差音(100HZ)は発生していませんが、直線性が崩れてくるとはっきりと差音(100HZ)が測定出来ます。ただし、レベルは−40dB以下。

きれいに100Hz の差音が出ていますね。俗に言う混変調歪み成分です。f1-f2=100Hz だけでなく、2*(f1-f2)=200Hz や 2*f2-f1=2000-1100=900Hz、3*f2-2*f1=800Hz、2*f1-f2=1200Hzの成分もはっきり見えていますね。まさに、非線形による相互変調歪み成分 n*f1±m*f2

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/distortion.htm#distortion


が発生していることがよく分かります。

>  それぞれの上半分は1000HZと1100HZのビート波形ですが、見た目には同じようです。この中に100HZが隠れているのでしょうね。

-40dB 程度ではとても見た目ではビート波形に100 Hz成分が混ざっていることは分からないと思います。

Re: アンプ内部で発生する差音 投稿者:WT 投稿日:2010年10月 9日(土)23時43分32秒MMさん

少し横道にそれますが、このデータは真空管アンプで測定したものでしょうか?トランジスタアンプにしてはちょっと歪が多いように感じるのですが。

Re: アンプ内部で発生する差音 投稿者:志賀 投稿日:2010年10月10日(日)10時16分54秒
MMさん, WTさん

> そうです、真空管OTLアンプです。しかも最大出力が小さく(8W)、歪も少し多いものを使用しました。

もちろん、プッシュプル回路ですね?

>最近の高性能半導体アンプでは違った結果となるでしょう。

そうですね。負帰還のたっぷりかかった、半導体アンプではよほどS/Nのよいアナライザーでなければ歪み成分を検出するのは難しいでしょうね。逆に、無帰還のA級シングル真空管アンプだと、もっと大きな歪み成分が観測されるでしょうね。恐らく、その強度の比率もPP回路とは違った分布になると思います。

先程言い忘れましたが、MMさんのデータを見ると、1000Hz 以下の成分は全て相互変調歪(混変調歪)成分だと思いますが、その強度が1100Hz 以上に見える高調波歪み成分とほぼ同じレベルであることが分かります。これは、理論的にも予想されることで、それを実証する貴重なデータだと思います。

Re: アンプ内部で発生する差音 投稿者:MM 投稿日:2010年10月10日(日)11時44分22秒志賀さん

> もちろん、プッシュプル回路ですね?

SEPPですからPPです。偶数次のひずみはある程度打ち消されていると思います。

ただ、この測定に使用した信号のうち1000HZは0.005%で低歪?ですが、1100HZは0.7%程度の高調波歪を含んでいます。両方とも低歪信号を使えば1100HZ以上の混変調歪の出方も変わるはずですが、一介のアマチュアでは難しいところです。

故武末氏は混変調歪の重要性をその著書に書かれていますが、最近の雑誌に掲載される製作記事には混変調歪の測定データがありません。
高調波歪が少ないアンプは混変調歪も少ないということで省かれているのでしょう。