「意外と梃子摺ってるみたいね」
GTRの中でシルビアはそう呟いた。
「GTOはともかく、FTOがやっかいですね」
アリストもレーダーから消える"緑の点"を見ながらそう言った。
「でも、何もいないところで撃墜されているのもあるのはおかしいと思わない?」
彼女が言っているのは、GTOでもFTOでもない別の場所で攻撃をしている人間のことである。
「FTOに5機、GTOに5機撃墜されたのは確認したわ。でも2機はどこに行ったの?」
そう言っている間に、無人機の総合計は90機になっていた。
「カイエン!!」
GTR艦長の呼ぶ声がする。
「どうしたんすかぁ?」
まるで寝起きの学生ような口の利き方をしている。
「カイエン!!艦長に向かってなんて口の利き方をするんだ!!」
副長であるアリストが怒っている。
「すんません。で、何の御用で?」
直ってないぞ〜。
「RX7とRX8の発進スタンバイをしておきなさい」
「あぁ艦長と副長、出るんすか?」
「あなたのS2000、結構落ちてるわよ」
「ぬぁあに〜!!」
カイエン・ネイキッドはレーダーを睨んだ。
味方識別"緑"の点が87個、"赤"が2つ。更にはセフィーロ城から3つの"赤点"が迫っていた。
「100機出して2機に!?マジかよ!!」
カイエンは信じられなかった。
「つか、この二機なんすか?」
「NSXのFTOとGTOよ」
アリストが腕を組みながらシャリオに説明する。
「NSXってあの脱走艦!?GTOは分かるとしてFTOは誰が乗ってるんです!?」
「それが分かったら苦労しないわよ。オートになっているのかも知れないわ」
そう、"本来の"パイロットがいないのに動いている。
「それに、城から3機来てるし、無人機も訳が分からないところで撃墜されているのよ」
「訳の分からないところ?」
「ミサイルだとレーダーに映るでしょ。でも何も映らないで落とされてるのよ」
「バルカンじゃないんすか?」
「射程範囲外よ」
「じゃぁなんで!?」
「それを確認しに行くのよ。セフィーロの特殊な"力"かもしれないわ」
「分かりました。では早速!!」
カイエンは真剣な顔つきで格納庫に走った。
光たちは停船しているNSXを見つけた。
「光、あれ!!」
「NSX!!」
「でもどうしてこんな所に?以前は最前線でしたのに」
「とにかく行ってみよう!!」
NSXの甲板に降り立つのは2回目。ザズは既にいた。
「どうしてNSXはここにいるんだ?」
「ファイターメカほどに機敏に動けないんだ。それに、精神エネルギーの節約もしないといけないんだ」
「なるほど…」
風、納得。海、"???"。
「心で動いてるの!?」
「まぁそうなるのかな。精神エネルギーを数値に変換して動かしてるからね」
「セフィーロとオートザムって似てますのね」
風、のんきに笑ってる場合じゃないと思うんだけど…。
「あ!!そうだ!!誰かあのバカ止めてくれ!!」
「どうしたんだ!?」
光が思わず訊く。
「生身で無人機に立ち向かった奴がいるんだよ!!」
『アスコット(さん)!!』
生身としては強いのか弱いのかよく分からない人ですな…。
でもデボネアの攻撃受けて生きてるから相当強いかも。
「ごめん、ザズ!!先行くね!!」
光はそう言って魔神の中に入った。
海と風もそれぞれ入り、飛び立った。
「ほんとに無茶ばっかりして…」
海の周りは無茶しない人いないかも…
「シールド」
ランティスは敵のミサイルを防ぐ。
そしていつものように近接戦を挑み、あっさり破壊する。
「腕はなまってないのかよ、ったく…」
ジェオは愚痴りながらもレーザーソードで1機撃破。
「随分腕を上げたな」
「そりゃどうも」
"戦友"。戦いを共にした仲間。
ランティスの参戦を拒んでいたジェオは結局受け入れてしまっている。
「魔獣招換!!」
アスコットが破壊したのはまだ2機。
ようやく3機目を破壊した。
魔獣をS2000の死角に招換し、
「衝電破激!!」
魔獣も同じ魔法でS2000を攻撃する。
攻撃と防御を兼ね備えた魔法のサンドイッチ。逃げ場はない。
無数の雷が刃となり、機械を微塵切りにしていく。
「無茶はするな」
FTOが装甲の無い招換士に話し掛ける。
「いや、まだいけるよ」
コクピットに向け余裕(?)の笑顔。
3人合わせて既に20機は落としていた。
ランティスの強さは分かっていたが、FTOと合わさって正に"鬼に金棒"である。
アスコットは魔獣が傷を負わないように気を使いながらも、無人機を撃墜していた。
ジェオは改めて思った。
(こんなやつらと戦ってたってのかよ…)
無人兵器S2000の残数、80
セフィーロ城ではその様子を皆見てる。
「アスコットはあんなに強かったのか」
ラファーガが意外そうな顔をしている。
「アレは俺が考えた戦術なんだ」
フェリオが得意そうな顔で言う。
「元々は対魔物用だったんだが、どうやら役に立ったようだな」
アスコットの戦いぶりにフェリオも内心驚いていたのは事実だった。
「随分強くなったんやなぁ」
カルディナが感心するが、子供のレガシィには見せていない。
戦いの無い暮らしのために。
「ヒカル達はもうそろそろでしょうか」
「そうだな」
プレセアとクレフは彼女達に賭けるしかなかったことに恨めしさを感じていた。
オートザム戦艦GTR。
その格納庫では発艦準備が行われていた。
「オールグリーン!!艦長、副長!!いつでも出れます!!」
チーフメカニックのカイエンがチェックリストを読み上げ終わった。
「アリスト、準備は良い?」
「は!!行きます!!RX8、Go!!」
「RX7、Go!!」
シルビア、アリスト、参戦。
超高機動型兵器 RX7
RX7とGTOの中間的性能を持つRX8
2機はセフィーロに向け強烈な加速をしている。
セフィーロ侵攻第二戦、その第二ラウンドが開かれるのは近い。