「魔獣召喚!!行っけー!!」
アスコットは疲れを感じていた。
"究極のヒット&アウェイ戦法"の弱みが出てきたのだ。
召喚魔法、攻撃魔法、防御魔法、帰還魔法の繰り返し。
いくらアスコットが心身共に強くなったとは言え限界がある。
アスコットが背中を取られたことに気づいたのは、後ろから感じる熱のためである。
「しまった!!」
振り向いて防御魔法を唱えようにも、挟まれてしまってはどうしようもない。
魔獣で急上昇を試みるが、無人機のレーダーソードを避けきれるものではない。
その時
「水の龍!!」
2機のS2000は重なるように魔法を喰らい、爆発した。
「うわあぁぁぁー!!」
爆風でアスコットは吹っ飛んでいった。
急いで追いかけるセレス。
海がその手に感触を得たとき、彼は爆風の衝撃と火傷で倒れていた。
「アスコット!?アスコット!!」
「海さん!!癒しの風!!」
風に包まれたアスコットの体に傷や火傷は見られない。
「…ウミ!?フウ!!」
セレスの左手でアスコットが驚いている。
「本当に危ないところだったわよ」
「でもあの爆発は…海さんですよね…」
「う…ま、まぁ助かったから良いじゃない」
二人のやり取りに呆然としてるアスコット。
「あ、あのさぁ」
「どうしたの?」
「なんで魔法騎士がここにいるんだよ!?」
「助けに来たのよ。"生身で挑むバカ"を」
という海の言葉を聞いて項垂れるアスコット。
「…ウミ達が戦わなくて済むように僕が出て行ったのに…」
「でも実際助けたのは私達でしょ」
「そうですわね」
「僕はウミの力になれないのかなぁ…」
脱力感一杯のアスコット。
「風、ジェオって人お願い」
「分かりましたわ」
ウィンダムはGTOの許へと向かった。
「ウミが辛い目に遭ってたから戦わせたくなかったんだよ」
自分の非力さを責めるアスコット。一方海は驚いた。
「え!?し、知ってたの!?」
「うん。あの日ウミたちが…トウキョウに帰る日に…」
「そっか…でもふられちゃったけどね」
切ない笑顔を振りまく海。アスコットには辛かった。
「だから…落ち込んでると思ったから僕が戦ってたんだ。ウミを守るためにね」
「…心配してくれてたの?」
「そりゃ心配するよ!!ウミのことだもん!!……僕は、ウミのことを…愛してるから!!」
戦場での告白。アスコットの顔は完全に真っ赤だった。
「え?」
いきなりの話で訳わからなくなった海。
「ウミが僕じゃなくて導師が好きなのは知ってたよ。でも僕はそれでも良いと思ってたんだ」
「え?え?」
もっと分からない。
好きなの?好きじゃなくて良いってどういうこと?
「ウミが幸せだったら、僕はそれで良いんだ。だから、僕はウミを守るんだ」
アスコットの長い髪に隠れた瞳は、力強かった。
突然の本音の告白で困ってしまった海。
その顔は頬が赤くなり、動揺している。
アスコットは怪我が治ったことにより、再び戦うために立ち上がろうとしていた。
が、セレスの指がそれを阻む。
「え?ちょ!?ウミ!?」
慌てふためくアスコット。
このままでは魔法が使えない。
「さっき危ない目にあって…また行くつもりなの…?」
その目は潤んでいた。
「言った筈だよ。僕はウミを守るって」
アスコットは笑顔で答える。
海を守るためなら、いくらでも強くなれる
海を守るためなら、死んでもいいかもしれない
海を守るためなら…
だが海は放さない。
「待ちなさいよ。そんなことで死なれたら私はどうすればいいのよ」
「…トウキョウヘ帰るんだよ」
「何バカなこと言ってるのよ!!」
「オートザムはトウキョウには行けないんだ!!だからウミにはトウキョウで幸せに生きて欲しいんだ!!」
「そういう問題じゃないわよ!!」
海の目には涙が浮かんでいる。
「まだ、"答"は出てないけど、一つだけ言わせて貰うわ」
「?」
「アスコットは私が守るわ!!」
自信たっぷりの笑顔。決意した瞳。
「えぇ!?な!待ってよ!!」
「好きだと言ってくれた人が死んじゃうことがどれだけ辛いか分かる!?」
「え?」
「まだあなたと付き合うかどうか分からないけど、守ることぐらいはできるわよ」
「ウミ…」
手のひらで呆然とするアスコット。
だがよくこの長時間敵が放っといたなぁ…
凄い隙だらけなのに。
てぬわけで攻撃開始。
「水の龍!!」
「ウミ!!放してくれ!!このままじゃウミまでやられちゃうよ!!」
「言ったでしょ!!アスコットは私が守るって!!」
水の龍が命中し、離脱する。
「でも!!」
「あ〜も〜!!分かったわよ!!セレス、どうにかならない!?」
魔神に全てを預ける海。
でもいきなりそんなこと言われても対処できるんかい?
「良かろう」
良いんですか…
アスコットの体が光り、セレスの胸の宝石に吸われた。
「アスコット!?セレス!?」
アスコットは宝石の中にいた。
かつてランティスがノヴァの魔神、レガリアに取り込まれたときのように。
「ちょっと!!どういうことよ!!誰が取り込めって言ったのよ!!」
「汝らは互いを守りたいと強く願った。故に適えたまでだ」
「これってノヴァのやった方法じゃない!!」
「そうだ。故に海もこの招換士の技を使うことができる」
「あのねぇ!!」
海、セレスに怒ってます。
「あのさぁウミ」
「何よ?って喋れるの!?」
「そうみたいだね」
自分の胸と会話してることになるのか、サラウンドなのか…
「ウミは前だけ見てて。後ろは僕がやるから」
「どうやって?」
と言ってる間に後ろ取られました。
都合よすぎ。
が、その瞬間、セレスの羽から大きな五ぼう星が出てきた。
その雷系の攻防魔法はS2000を微塵切りにしてしまった。
「ね?言ったでしょ」
「そ、そんなのアリ…?」
もう呆れて何も言えない海。
「言ったよね。ウミは僕が守るって」
アスコットの言葉に一瞬顔が紅くなったが、海は笑ってこう返した。
「アスコットは私が守る、ともね」
「さぁ、次行くわよ!!セレス!!アスコット!!」