目印は分かりやすかった。地面が血で染まっていたのだから。
海はその地に降り立ったとき、思い出してしまう。あの最期を。
だがアスコットに目をやると、彼はス…と前に出ていた。
そしてその辺にあった花を2本折り、小石を手にすると血の上に置いた。
時間がないから仮の墓…海はそう信じていた。
だから知らなかった。それが正規の墓になっているなんて。
「行こう」
アスコットが声をかける。
沈む暇は彼には与えられていない。もっと沢山の親友を守るために。
手を合わせ終わった海も頷き、二人は魔神で再び大空に舞い立った。
少しだけ振り返りながら。
「どうしてついてきたんだ!?ランティス」
「通り道だ」
『あ』
MPV上空に到達したレイアース。
ランティスは立ち上がった。
「イーグル」
「分かってますよ。任せてください」
彼は笑顔でそう言った。
「?」
光は首をかしげた。
「では行きましょう、ヒカル」
「あ、う、うん」
「精獣招換」
ランティスは黒馬を出しそれにまたがった。
「何の話だったんだ?」
光は理解できていなかった。
「あぁあれですか。あれはヒカルを頼む、ということですよ」
「そうだったのか」
「えぇ」
彼はあえてもう一つの意味を伏せた。
それは自分の体のこと。ようは無茶はするな、ということだ。
FTOとレイアースが揃っているのだから随分と強いはずなんだが。
「来たか」
『え?』
カルディナ達が上を見上げると
「稲妻召来!」
「な、なんだ!?」
「またか!!くそ!!」
攻撃しながら降りてきた。
『ランティス!!』
ランティスが見た三人は疲れが顔に表れ始めていた。
「核円防除」
ランティスが結界を張った。
「休んだほうが良い」
クレフにそう言った。
だが結界エリアはラファーガとカルディナもカバーしていた。
言葉は二人にも届いていた。
「ヒカルは?」
「イーグルと共に沈黙の森に向かう」
『何!?』
「モコナなしでか!?」
「連れて行くに決まっている」
『悪かったなぁ!!』
アッサリと当たり前のことを言われカチンときた人複数。
疲れで気が立っている。
ランティスが見渡せばそこは残酷としか言い様のない光景だった。
光がいなくて良かったと正直に思った。
「王子たちは?」
「別行動をとっておる。アスコットの魔獣がグルリと囲んでいるからそれの怪我の治療に、な」
「そうか」
ランティスはそう言うと、剣を構えた。
「雷衝激射!!」
三人で相手にしていたのを、一人で請け負う。
「気をつけろ、ランティス」
クレフが注意を促す。
「奴らは毒を使う」
「あぁ」
分かりきっている、彼はそういう顔をした。
元オートザム軍、しかもその中でもトップクラスの腕を持っていた。
セフィーロ人というだけであまり高い位についていなかったが、特殊部隊の情報はいくらか入ってきていた。
まぁ彼にはそれはどうでも良かった。
かけがえのない友を見つけることができたのだから。
(よくぞ…持ちこたえてくれた)
ランティスは表情には出さないものの、安堵していた。
「風!!フェリオ!!」
「海さん!!」
「あれね…水の龍!!」
『ぐわぁぁぁぁ!!』
セレスに乗った状態で魔法を用いた。
身長比に合わせて増幅される魔法。今までで最大の撃破をした。
「風!!」
海が降りてきた。同時にアスコットも。
「海さん!!」
「大丈夫だった!?」
「えぇ。そちらは?」
「こっちも大丈夫よ」
二人はイエィと手を叩いた。
「よぉやく終わったのか」
「うん。待たせたね」
「全くだ」
フェリオはコツンと肘をアスコットに当てた。
アスコットを支えているのは魔獣やカルディナだけではない。
海は"恋人"として一番支えたいと思っている。
"親友"として支えているのはフェリオだった。
「やってやろうじゃないか」
フェリオが声をかける。
「あいつらの為にもよ」
「当然っ」
互いに拳を突き合わせた。
プレセアはエントランスでレイアースが入ってくるのを迎えた。
「プレセア!!」
「ヒカル!!大丈夫!?」
「うん!!それよりも、モコナを連れて行って良いか!?」
「モコナを!?」
聖獣は…
『待て〜!!』
「ぷぷぷ〜!!」
子供たちから逃げ回っていた。
「モコナ!!」
「ぷ?」
『あ!!あぁ〜!!ヒカルお姉ちゃん!!』
「ミラ!?ミラなのか!?」
「お姉ちゃぁぁん!!」
ミラが飛びついてきた。
光もそれをしっかりと抱きしめた。
「大きくなったね、ミラ」
「お姉ちゃんはあんまり大きくなっていないね」
「ムッ」
『アハハハハハハ!!』
彼女はグッサリ刺さった。
子供たちは依然会った時よりも確実に大きくなっている。
光は再びミラ達に出会えた事をうれしく思った。
「お姉ちゃん、トウキョウに帰ったんじゃなかったの!?」
「でも私はまた来たよ。セフィーロを守るために!!」
「いつまでいるの!?」
「分からない…」
「え?」
「いつ東京に帰るのかは…私には分からないんだ。でも」
「でも?」
「この戦争は絶対に早く終わらせる!!絶対に!!」
光の中の新たな誓い。
大切な命を守るために、これ以上の犠牲を出さない為に、