帰還途中。
光たちは本当は止められないことは知っていた。
機体(?)性能の差と、実力差。
海とアスコットの技もあの新しい盾には通じないだろうし、
ラファーガの天翔龍閃もシールドがあると無意味。
だがそれでも放したのは信用できるかどうかを試すためだった。
三人、いや6人揃っても、この二人に勝てるかどうかは怪しい。
FTOとGTOの横列、その後ろに魔法騎士の横列という順で戻る。
「ん?あれ…」
風が何か見つけた。
「どうしたの?」
「先に行ってて貰えますか?」
「あ、フェリオだ」
アスコット、よく見えたなぁ…
「王子一人?どういうことだ?私も向かうよ」
ラファーガ肩に乗っけたまま。
「もしかしてクレフに何かあったのか!?」
「いや、導師達は無事のようだが…この気…まさか」
ランティスは何かの気を感じた。
「え!?うそだろ!?」
アスコットも察知した。
「どうしたの?」
『生きてた…のか!?』
『誰が!?』
『アルシオーネ…』
その名を聞いて、驚かない者はいなかった。
「この気は間違いない。アルシオーネだ」
「本当なの!?」
「だって私たちの目の前で!!」
「事情は本人に聞くしかないだろう」
「どうする?みんな」
「私はアルシオーネを追うわ。アスコット、場所分かる?」
「大体なら」
「俺も行こう。アスコットよりは分かるはずだ」
「悪かったね」
ふてくされ気味。
「じゃぁ私もアルシオーネの所に行くよ」
「私は…」
「フェリオで良いじゃない。なんで一人なのか分からないけど」
『じゃぁ』
魔法騎士は解散した。
「ヒカル?どこに行くんですか?」
「ん?フウだけ違う場所に?」
「私は確認したいことがあるんだ」
「私はフェリオのところに」
「NSXは城に接続してるみたいなので先に行きますね」
「うん」
こうして分かれた。
「フェリオー!!」
「王子!!」
「ん?」
ウィンダムが目の前に出た。
ラファーガが飛び降りた後にウィンダムから降り、通常時の防具になった風。
「フウとラファーガか。無事だったんだな」
「えぇ」
「ありがとよラファーガ、フウを守ってくれて」
「当然のことをしたまでです」
「でもフェリオ、どうしてお一人で?」
それを受けフェリオは少し厳しい表情になった。
「導師とプレセアもいたはずですが」
「それに、アルシオーネさんがいたって本当ですか!?」
「アルシオーネがいたのは本当だ。最も、俺は話はしていないがな」
「導師達は?」
「…頭に来ることがあったから、俺一人で帰ってるんだ」
『!?』
「何があったんですの!?」
「…お前には言えない」
「王子?」
「すまんが、そういう話をしに来たのなら一人にさせてくれ」
『???』
「凄く苛立ってるんだ」
そう言うと、フェリオは城に向かって歩き始めた。
「始めから俺がフウと組んでりゃ、こんなめに遭わずに済んだんだよな…」
その言葉は風とラファーガを困惑させた。
「こっちだ」
ランティスはレイアースから出て、その肩で指差す。
「どうせ僕には詳しいところなんて分からないよ」
セレスの肩で拗ねてるアスコット。
「まぁまぁ。でもアスコットがいてくれたからあそこまで頑張れたのよ」
海のフォロー。
アスコットはこれだけで充分幸せになれるらしい。
「でも、アルシオーネはなんでこんなところに?」
「セフィーロの裏、か…」
『セフィーロの裏!?』
2年前の記憶を蘇らせる。
道筋としてはたしかにこの方面だ。
「まさかセフィーロの裏に住んでるってこと!?」
「分からん。だがデボネアなどのような気は俺には感じない」
「良かった…いたらまた大変だよ」
「そうよね。オートザムだけでも大変なのに」
「でもなんでまた裏に戻ってるんだろう?」
「城には戻る場所がない、ということかも知れない」
『え!?』
「アルシオーネはお前達を恨んでるなら、住むならここしかない」
『…』
「ザガートを殺したから、か…」
「そりゃぁ…私たちの罪だわ…でも、英雄にされた…」
「人殺しの英雄なんて、最低なだけだよ…」
光と海はイーグルに言われた言葉が離れない。
生きるためとはいえ、恋人を守ろうとした人を殺してしまった。
そして、真実を告げられても結局、その人の命を奪わなければならなかった。
何年経っても、辛いものは辛い。
「…やめるか?」
「え?」
「今なら城に引き返して導師に聞くほうが早いかもしれない」
光と海は互いの顔を見合わせた。
「せっかくここまで来たんだ。会うよ」
「また戦うことになってもか」
「あんな別れ方をしたんですもの。分かり合えるはずだわ」
アルシオーネはデボネアの場所を海と風、そしてシエラに言って、分かれた。
あの時、あの瞬間までは好きになれなかったが、最後の最後に己の命を賭けて言ってくれた。
海はお礼がしたかった。あなたがいたからデボネアを倒せたって。
「…だと良いけど」
アスコットがポツリ。
「何よ」
「僕の予想だけど、アルシオーネ自身戻らないのには訳があると思うんだ」
「…城の住民か」
「うん。あれだけのことをしでかしたからね。冷たい目で見られるかもしれない」
「私たちが気を許してもお城の人がどう見るか、分からないのね…」
「あと、アルシオーネって誇りっていうのかな」
「プライド高そうよね」
「だから皆が誘っても城に戻るかどうかは分からないよ」
「とりあえず会うだけ会うよ。会って話をしたいんだ」
「私もよ」
「フウ、追わなくて良いのか?」
「今フェリオに何を訊いても意味はないと思います。ならクレフさんたちに訊く方が」
「なるほど。だが、私は気を読むなんてことはできないが、フウはできるのか?」
「無理ですわね。では先にお城に戻りましょう」
「なら王子を追っていこう。何かあったときに対処できるように」
「はい」
「それにしても、王子に誤解されたら私の立場はないな」
苦笑するラファーガ。フェリオの機嫌を損ねたのは自分のせいだと思っている。
「何か別のことで怒ってるようでしたが」
「では最後のセリフの意味は何だ?」
「…恐らく、フェリオは私と一緒に戦って、プレセアさんたちの護衛をラファーガさんに、と…」
「それは前々から仰ってるが…王子には恋人同士に見えたのか…?」
ラファーガは距離をとり始めた。
風はそれを見てクスッと笑った。
「でも、フェリオが何に対して怒ってるのか、それが問題ですわね…」
「ザズ、FTO着艦します」
「イーグル!!本当にイーグルなのか!?」
「えぇ。背は伸びましたか?」
「うぐっ!!」
「あれから2年経ってるんですから、まさか伸びてないって訳じゃないでしょう」
笑っている。それは感じ取れる。
そしていつものように軽いジョークを飛ばす。
NSXクルーは真艦長の帰艦を今か今かと待ちわびていた。
「NSXクルー、パーティーの用意を忘れるなよ」
「まかせとけ!!」
「その辺は抜かりなくやっときますんで」
「どうです副長、コレを気に酒飲みません?」
「バカ言えってんだ」
一人の男の生還でNSXは軍らしくなくなった。いや、より軍らしくなったのかもしれない。
「あ、でも仕事もきちんとしておいてくださいね」
『りょ、了解!!』
さすが艦長。釘を刺す。