『アスコット(さん)!!ランティス(さん)!!』
城で風とラファーガ、カルディナが出迎えたのは、意識を失ってる人たち。

「一体何が!?」
「アルシオーネにやられたのよ!!」
『アルシオーネ(さん)に!?』
「ほんまかそれ!?」
「うん…。闇の力だってランティスが言ってた」
「まさかランティスさんが負けるなんて…」
「アスコットが煙みたいなもので首を締められたのよ」
「その煙を斬ろうとして毒の煙に触れたらしいんだ」
「じゃぁヤバイのはアスコットじゃないか!!」
「魔獣が解毒をしてくれたみたいだけど、暫く動かさない方が良いわね…」
「予め出しとったんか」
「ううん、アスコットの力を借りて招喚したの」
「取り込んだのですか?」
「えぇ…」
「ほな大丈夫っちゅうことやな。まぁいつ目覚ますか分からんけどな」
「ランティスさんはアスコットよりマシのようですしね」
「そっちはどうだったの?」
海の情報交換質問。

「…王子の様子がおかしい」
『フェリオが!?』
「何かに対し怒ってるみたいですが、私にも分からないんです」
「ただ、導師とプレセアに関する事なのは間違いない」
『クレフとプレセアが!?』
「フェリオに何があったのかを尋ねたのですが、回答を拒否されたんです」
「うちも二人に言われて訊いてみたんやけど、ちっとも答えてくれんのや」

「何が起きてるんだ一体…」
光の疑問は、皆の疑問だった。


『ワアアアアアアアーーーー』
大音量で響く歓声。
光たちは驚いた。
音源はNSX。

「たく…うるさいっちゅうねん」
「そうだイーグル!!」
行こうとする光をラファーガが止めた。

「まずは運んでからにしろ」
「あ、うん!!」


アスコットを運んだのは海ではなく城の中で出てた魔獣。
言葉が分からなくてもかなり心配してることが分かってしょうがない。

「出とって正解やったな。うちらが運んだらえらい揺れたやろうなぁ」
「そうね…」
ベッドで寝てる人を目の前にして元気がない。

「一応解毒もしたんやろ」
「うん…」
「ならあんたが沈んどってもしゃぁないやん」
「カルディナ…ごめん…」
「ん?なんや?」
「アスコットを守れなくて…」
「…いや、充分守ったで」
「ううん!!守れてない!!」
「解毒の魔獣を出したんはウミやろ」
「でもアスコットの力を借りないとダメだったの」
「それでも招喚できたんはウミだけやろ」
「え…?」
「ヒカルの魔神にアスコットは乗れるんか?」
「わ、分からない…」
「多分無理や。ウミの魔神やからできたんやと思うで」
「そ、そりゃ慣れてるから…」
「でもそのおかげでこの子はちゃぁんと生きとる。ウミはアスコットを守ったんや」
「守ったことになるの…?」
「当たり前やないか。ウミがおらんかったら今ごろ冷たなってるで」
「イヤ!!」
両手で頭を抱え泣きそうになってる海。
カルディナは立ち上がった。

「うち、夕飯作らなあかんから行くけど、後は頼んだで」



「よいしょっと」
「ありがとうラファーガ」
「なんで私がこいつを…」
ランティスはラファーガによって運ばれていた。
アスコットの魔獣は全員アスコットの所に行ったからだ。

「アスコットの魔獣が解毒したんだろ」
「うん。海ちゃんが出してくれたんだ」
「魔神にアスコットを取り込んで、だな?」
「うん」
光は心配そうにランティスを見つめる。

「しかしアルシオーネが生きていた事事態が信じられん」
「ランティスもアスコットも本物だって言ってたよ」
「だがまさか二人がやられるとは思いもしなかったな」
「うん…闇の力を受け継いだって言ってた」
「何!?まさか」
「ザガートとデボネアだって…」
「…!!」
ラファーガの血色が悪くなるのも無理はない。

「あの二人の…闇の力…!?」
「うん…」
「アルシオーネは…何を考えてるんだ…!?」
「分からない…でも、一人で過ごすって言ってるんだ」
「…導師に報告に行く」
ラファーガはランティスの部屋を出た。



「何!?無事なのか!?」
「一応ウミがアスコットの魔獣を出して二人とも解毒は終わったそうです」
「そ、そうか…だが…なぜだ…?」
「今日は訳が分からない事が多いですな」
ラファーガはクレフとプレセアのことを含めた。

「す、すまない…」
「王子のことといい、アルシオーネのことといい、一体何がどうなってるんですか」
「アルシオーネに何があったかは私にも分からない」
「じゃぁ王子は!?」
「王子の事は…すまないがお前にも、いや誰にも言えないのだ」
「導師!!」
「すまない…」
「プレセア!!」
「ごめん…なさい…」

ラファーガは思い切り壁を殴った。

『ラファーガ…』
「私は…親衛隊長です。王子やこの国に何かあった場合に対処するのが、私の仕事です…」
そう言うとクレフの部屋を後にした。

「ビエーー!!」
カムリはラファーガの殴った音と衝撃に驚いて泣いてしまった。



風はフェリオの部屋に入る事にした。

「フェリオ…。…!!」
普段はきちんと整頓されている彼の部屋だが、今は荒れていた。
色んなものが様々なところに点在し、足の踏み場もない。
当の本人は真ん中にあるベッドで大の字になって寝ていた。

「フウか…」
部屋の住人は目を覚ました。

「すみません起こして…」
「いや、だがそれ以上近づかないでくれ」
「え!?」
「部屋を見て分からないか?俺は今凄く苛ついてるんだ」
「その事で伺いに来たのです」
「…お前達には言えないことだ」
「何故なんですか!!私はフェリオの力になれるならと!!」
「…もうどうにもできないことだ…」
「一体何が…?」
「良いから出てってくれ!!」
フェリオは傍にある剣を右手で触れている。

「私の性格はよくご存知のはずでしょう」
「頼むから出ってくれ!!じゃないと俺はお前を!!」
「癒しの風がありますわ」
「そういう問題じゃない!!俺はお前を傷つけたくないんだよ!!」
「ですがフェリオを放っておくわけにはいきませんわ!!」

二人は愛し合う。愛するからこそこの言い合いになってしまう。

「頼むから…出てってくれ」
「フェリオ…私では力になれないのですか!?」
「あぁそうさ!!むしろ居てもらったら困るんだよ!!」
ついに剣を投げてしまった。
風の髪のすぐ傍を通り、壁を貫いた。
髪の毛が数本床に落ちた。

「フェリオ…」
「出てってくれ。次は何をするか自分でも分からないんだ」

風はそれでも近づいてくる。
フェリオはまるで逃げるような顔をしているように思えた。苛立ちと共に。

だが…

フェリオの腕が風をむりやり引っ張った。

「ん!!」
無理矢理キスすると今度は無理やりベッドに押し付けた。

「フェリオ!?ンン!!」
自分の体を彼女に押し当てる王子。
風は泣いていた。




「今日はわけ分からん日やな…」
「あぁ。ヒカル達の予知無といい王子の荒れようといい」
「アルシオーネも何考えとんねん…」
二人はレガシィをあやしながら夕飯を作っている。

「カルディナ」
「なんや?」
「私は…親衛隊長としてやっていけるのだろうか…」
「何言うとるんや」
「王子に何があったかも分からないまま、親衛隊長の任を帯びて良いのかどうか、分からないのだ」
「何弱気になっとるんや」
「私は…あの二人に必要とされてるのだろうか…」
落ち込み気味のラファーガ。

「心配せんでもええよ」
カルディナは笑った。

「ウチとレガシィが一番あんたを必要としてるんやから」
子供の目の前でディープキスを交わした

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