「FTO、Go!」
「GTO、Go!!」
二機のファイターメカが発艦した。
セフィーロ城にそれをアピールするかのように、風切音がする。



「ん?」
「オートザムの人…?」
フェリオ達はようやく到着したが、少し緊迫した雰囲気に呑まれそうだった。

「GTRを…」
「撃沈…!?」
光と海は昨日のことを思い出す。
それはイーグルに、手を血で染めないで欲しいということ。

『誰?』
何も知らない二人が訊く。

「は。私は」
「そんなことより、なんで止めなかったのよ!!」
海がガッと掴みかかる。

「GTRにはいっぱい人が乗ってるんでしょ!?」
「まさか…もう行ったのか?!」
アスコットは窓を見る。
だがもうそこには機影は見えない。

「さっきの轟音、そうだったのか!?」
アスコットは未だに信じられないという表情。

「行こう海ちゃん!!風ちゃん!!」
「ちょい待ち」
カルディナが止めた。

「なんで!?」
「何も食べないで行くの?」
プレセアは心配している。

「そんなことじゃ死んだっておかしくないわ」
『あ…ごめん…』


アルピアはまだ食堂にいる。
イーグルに言われて魔法騎士の行動予定を訊くように言われたからだ。

光と海は急いで食べた。彼女たちなりに。
アスコットも食べてるし、ランティスはもう済ませた。

風は手をつけなかった。
今は食べる気がしない。食欲がない。

フェリオに気付いたのはその後だった。
彼はアスコットの横で平然と…食べてはいない。
彼も食欲がなく、あんまり口にいれようとはしなかった。


『ごちそうさま!!』
光と海、アスコットはもう風をおいていくことにした。

「無理に連れて行って死なせるのが目に見えている」
というランティスの一言により、風抜きで戦わざるを得なかった。

「待て」
『何!?』
「今オートザムの方に行くのか?」
「だったら何よ!!何?アルシオーネの方に行けって!?」
「そうだ」
『!!』
「ランティス!?」
「アルシオーネが相手なら、俺とアスコットでなんとかできる。だがシルビア達が相手なら話が違う」
それは風が戦力にならないと言っているのと同じだった。

「あいつが戦うならオートザムの方に行くべきだと俺も思う。だが」
「フウがいないから勝てない…と?」
「俺はそう思う」
「ちょっと待ってよ!!あの三機はイーグルたちがいるから大丈夫じゃない!!」
「そうだよ!!それにアルシオーネがザガートを蘇らせるのはまだ先だし、GTRの大勢の人が死ぬほうが私は辛いんだ!!」
「…後悔することになっても、良いのか?」
ランティスの視線は二人を射抜く。

『後…悔…?』
「もしフウがいない状態で誰かが傷ついてもすぐに治療ができるわけではない。それに」
『それに?』
「再びイーグルと戦う事になるかもしれない」
『え!?』
「今回の目的はGTR撃沈だ。どんな障害があろうとやるだろう」
「だから説得するんじゃないか!!」
「だが、GTRが撃沈されたらどうする」
『…!!』
「一隻250名、二隻で500名。それだけの命が散るのを目の前で見ることになっても、それで良いのか?」
ランティスの言葉がグサリと刺さる。
風抜きで戦って、あの二人に勝てる自信はない。
自分達以上に強くなっているのだから。
そしてGTRが爆発を起こせば、確実に死者が出る。
昨日光は大統領の遺体の話だけで吐いた。彼女自身今日はただで済まされないだろう。

「戦争において大切なのは冷静になることだ」
勢いで飛び出したらやられる。
彼女達なりに冷静に考えてみれば、それはすぐ納得できた。
試合でもハイテンションとクールさを求められる。
それを思い出した二人は思いとどまった。

「じゃぁどうすれば良いんだよ」
「二つ。一つはフウを戦える状態にすること。そしてもう一つは」
『考える事』
「あぁ。それにザガートのこともある」
『!!』
「そうか…もしザガートが復活しても良いことなんてないんだ…」
「私たちにも、アルシオーネ本人やザガート本人にも…」
「でも、もしかして…子供…?」
『!?』
光の一言に驚きを隠せなかった。

「あ…その…だからアルシオーネは恋人じゃなくて自分の子供にしたいんじゃ…と思ったんだけど…」
『…』
「や、やっぱりないかな…」
「ちょっと待って。それって養子ってこと!?」
「ヨウシ?」
「血の繋がってない他人の子を自分の家族にするのよ。大概後継者とかだけど」
「ザガートが…アルシオーネの子供…?」
想像するだけでアスコットは笑い出しそうになった。

「笑い事じゃないよ!!」
「ご、ごめん…でも」
「そうね。普通そこまでできないわ」
「だが、アルシオーネを殺す可能性もある」
『!!』
「もしそうなれば、デボネアの復活という可能性を俺は捨てきれない」
「で、でも!!」
光が焦る。

「そうしたら…またザガートを…殺さないといけないのか…!?」
「…俺が殺る」
『!!』
「もし本当にザガートの魂が蘇るなら、俺はそれを許さん」
「ランティス!?」
「ザガートは…ようやく手に入れたものをまた奪われる事は絶対にあってはいけない…!!」
ランティスもまた、最も強い心の持ち主。
拳に込められた力は、彼の意思の強さを示していた。

『ランティス…』
「アスコット、二人を頼む」
彼は歩き始めた。
行き先はもう分かっている。

光と海は顔を見合わせた。
そして、風を見た。
彼女は少しは手をつけたらしいが、あまり元気がない。
今戦わせれば心の弱さを露呈し、殺されかねない。
結局、二人は風を城に残す事を決意した。



『RX7、Go!!』
「RX8、Go!!」
レーダーの機影発見を受け、三人は発艦した。

「魔法騎士はまだ映ってないんだな!!」
「えぇ!!ですが」
「分かってる。油断しない事!!良いわね!!」

GTRの運命を決める戦いが、始まろうとしている。

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