「ん…」
「お。ようやく起きたな」
「フェリオ…」
ムクッと起き上がった。そして見た。
「あ。良かったぁ〜」
安堵の抱きつき。抱かれた魔獣も安堵のような気がした。
「そういえば…」
「ん?」
「ウミの夢を見たんだ」
「…いつものことだろうが」
フェリオの言葉が胸を貫通した。
「で、でも今度のは普通の夢じゃないように思えたんだ!!」
「はいはいっと。…一つ、言っておいて良いか?」
「何?」
「俺達、魔法騎士になったようだ」
「は?」
「…ヒカルたちと同じ運命にあるらしいんだ」
「ちょ、ちょっと待ってよ!!さっきウミに冗談のつもりで言っちゃったんだ!!」
「どうせ夢だろ」
「ま、まぁね」
彼は顔を赤くし、顔を背けた。
「だが現実には…俺達は…柱を殺さなくちゃいけないらしい…」
「…!!」
アスコットは目を大きくし、同時に拳を握った。
セフィーロで姉を失った男からそんな言葉が出るなどとは思ってもいなかったからだ。
「…着くぞ」
アスコットはその声にバッと見た。
ランティスは冷静沈着。
兄を殺された男はまるで、運命に抗う顔に見えた。
森に降り立ち、アスコットは違和感を感じた。
すぐに分かった。
「魔法が使えない…!?」
「沈黙の森と同じらしい」
「え?」
「セフィーロでフウたちが踏んだ手順を、俺達は踏まされるみたいだ」
フェリオの顔は悲しみはなかったが、悔しさと怒りを心で感じた。
ランティスは先々行ってしまっている。
「どうする?」
魔獣に問い掛ける。
結局彼は魔獣に乗ってついて行くことにした。
数奇で余りにも残酷な運命。
アスコットはそれを恨んだ。
(どうしてこの二人が…!!)
魔獣が森を掻き分けて入る。
フェリオを乗せ、ランティスを乗せた。
「気は感じるか?」
「…モコナ!?」
「同じではないだろう」
二人の"気探り"だけを頼るが、それでもなかなか着かない。
気も森の"何か"に妨害されてるのだろうか。
それとも、プレーリーの家が森の中のほうにあるのだろうか。
アスコットは焦りを隠せなかった。
彼は魔法以外はほとんどないに等しいからだ。
「心配するな」
フェリオが笑顔で言った。
「俺とランティスがいるんだからな」
「フェリオ…」
だが彼の焦りはそれだけではない。
程なくして、前方から数体の大型の魔物が襲ってきた。
「お前はそこにいろ!!」
フェリオはそう言って飛び出していった。
ランティスは何も言わずに剣を抜いた。
(この魔物もやはり、不安と恐怖の象徴なのか?それとも森の力か?)
そう思いながら一刀両断するフェリオ。
ちなみにランティスは撃破だけを考えていた。
魔物は斬られてはまた湧き出してきた。
だがそれにもめげず、二人は斬る。
その甲斐あってか、魔物の湧き率(?)が小さくなっていった気がした。
「最後!!」
最後の一体は二人でキメるものだと思っていた。
だが、オイシイトコ盗りをしたのは、アスコットを乗せた魔獣。
彼の指示で額の小さな宝石郡からビームを出したらしい。
「お前な…」
「僕だけ何もできないのは変わらないよ」
と言いながら魔獣の頭を撫でてる。
表情が分かりづらいが、魔獣は喜んでるらしい。動き的に。
「でも友達はチカラを発揮できるんだ」
「だったら何の心配もないじゃないか」
「…そうでもないんだよね」
彼の目は切なく感じた。
それから十数分。ようやく家を発見した。
この間魔獣が消えなかったのは、精獣ではないからかもしれない。
「たのも〜!!」
フェリオが大声で叫んだ。
今時そんなセリフはないだろうが。
で、シ〜ンとしてるのは、部屋の中で笑いこけてるか、いないのか…。
「すみませ〜ん!!誰かいませんか〜!?」
アスコットは普通。まぁ差が激しすぎます。
「いないのかなぁ」
「留守、か…」
そのときだった。
ガチャとあけたのは…残った男だった。
『うぉぃ!!ランティス!!』
「鍵はかかっていない」
『そういう問題じゃないない…』
―東京―
「あら?鳳凰寺さん、部活は行かないの?」
「すみません!!用事ができたんです!!」
「ハハ〜ン…彼氏ね」
その言葉がズキンと心に来る。
何故だか嫌な予感がする。
足が勝手に動く。
彼女自身、行かなければならない気がした。
(どうして…3年もお会いしていないのに、こんなにも気になるんでしょうか…!?)
風は早歩きで進む。
走りたくても、駅に着くまでにバテテしまう。
駅から徒歩20分を恨んだ瞬間。
いつも寄り道して買うパン屋にも入る気になれず、ひたすら目指す。
携帯に目をやると、二通来ていた。
一つは海、もう一つは光から。
文章は若干違っていたが、意味は同じだった。
【東京タワーで早く会いたい。話したい事がある。】
(あのお二人も何か感じたという事なのでしょうか…)
風はやや走りながらメールを打ち返した。
【私もそうです。】
風は電車の中で休憩できると考え、走る事にした。
一刻も早くあの二人に会わなければいけない。
自分のために。二人のために。
ただ
やはりばてた。改札口を通過する頃には、息が上がっていた。
彼女を襲う悲劇はまだ続く。
降りるまで立ちっぱ。という地獄が。
「ひどいですわ…」
彼女は幌の連結部でダーと涙を流した。