『夕日を見てて残像が残ったぁぁぁ!?』
海と風は驚き呆れた。

「アハハ…でも助かったよ。ありがと。海ちゃん、風ちゃん」
残像はだいぶ取れてきた。

「でも海さんも会って早々グチでしたわよ?」
「う…」
「何かあったのか?海ちゃん」
「アスコットのせいで大恥かいちゃったのよ」
「は?」
「昼休みにいきなり凄く眠くなっちゃって、寝ちゃったの。そしたらアスコットが出てきたのよ」
「それでお昼御飯を食べられなかったっておっしゃるんですよ」
「しかも授業にまで喰い込んでたから大恥かいちゃったわよ」
と頬を膨らまし腕組んで不満のポーズ。

「会えるものなら一発ガツーンとやらないと気がすまないわ」
『アハハハハ…』
ハリセンが出るかも…。


「風ちゃんはどうしたんだ?」
「あ、いえ…ただ単に胸騒ぎがしただけなんです」
「私もなんだ!!」
『えぇ!?』
「私もすごく不安になって、部活どころじゃなかったんだ」
「あ。ごめん…私が誘ったからよね…」
「ううん、何か大変なことが起きてるんじゃないかって思ったんだ」
『大変なこと…?』
「セフィーロに行けなくなって3年だけど、ここまで不安になったことなんて一度もなかったんだ」
「私もです。急に何か心が痛くなったんです」
「私はそれはないけど…でも…」
「でも?」
「そういえば変な会話してたような…」
「どういうこと?」
「セフィーロでも地球でもない、どこか別の世界で魔法騎士をやるとかやらないとか…」
『魔法騎士を!?』
「まぁでも夢だから大したことないと思うのよねぇ」
「大したことじゃないよ!!」
光が思わず叫んだ。
それが周りの視線を集めた。

「あ…ごめん…」
「そういえば…光さんはデボネアやノヴァさんの夢を見てらしたんですわね」
「うん。最初は意味が分からなかったんだ。けど、セフィーロで現実になった」
「でも私は光じゃないのよ。だからデタラメな夢じゃないかしら」
「他にどういう夢を見たんだ?」
「そうねぇ…あ。フェリオが誰かに掴みかかってたわ」
「フェリオが!?」
「えぇ。でも私の知らない人よ」
「もしかして、ランティスもいたのか!?」
「ちょ、ちょっと待って。思い出すわ」
ちょい待った後

「いた気もするわ」
「本当か!?」
「えぇ。アスコットが中心だったのが不思議だけど、ランティスもいた気がするわ」
「…行こう!!」
「え?」
「行くってまさか…」
『セフィーロに!?』
「うん!!」
「あのねぇ。私たちここでこうやって何度も祈ってるけど行けなかったじゃない」
「そうですわねぇ。どんなに強く願っても行けたことがありませんわ」
「でも、今度は行ける気がするんだ」
「そのセリフ、何回目よ?」
「そうじゃないんだ。多分、辛いけど…」
その言葉に耳を傾ける海と風。

「セフィーロに危機が訪れた時に招喚されるんじゃないかなって…」
「でも2回目は自分達の意思だって魔神が言ってたじゃない」
「でも…確かに2回ともセフィーロは危機に瀕していましたわ」
「…やってみる?」
「うん」


三人は互いの手を取り合った。
そして集中した。
再びセフィーロに行けることを祈って。

自分達の意志の強さ、そしてセフィーロの危機という嫌な要素付で行けるなら、行くしかない。


東京タワーが光りに包まれた。



―セカイア―

『メルビル?』
「リュビを幽閉したっていう奴よ。でもクリーシャまで…!!」
その顔は怒りを超えて悲しみに暮れていた。
それはどこかの誰かを思い出させる。

「それは…ムグ」
アスコットが何か言おうとしたのを、ランティスが封じた。

「ンンンン?」
「本当にそうなのか?」
「え?」
「リュビという者がメルビルという男に幽閉されたのか?」
「皆がそう言ってるし、クリーシャからもそう聞いてるわ」
『…』
フェリオはランティスと顔を合わせた。

フェリオはセフィーロでの噂の根源はもしかして導師クレフなのではと疑い始めた。
彼は魔法騎士に大切な事を隠した。
その後の後悔がどれほどのものであったかは本人で無いので分からないが…。

「そのリュビというのが、柱、つまりこの国の"全て"を決める人なのか?」
フェリオは尋ねる。

「えぇ。彼女の祈りが全てを決めるの」
「心が強いから、か」
「そうよ」

「…行くぞ」
ランティスはモコナを肩に載せた。

「明日で良いんじゃない?この辺は夕方以降は魔物が凄く多くなるから」
「だったら魔物退治も兼ねるさ」
「危険よ!!最近は魔物も強いし、地割れとかも起きるんだから!!」
その原因を3人は察している。

「この家は…壊れない?」
アスコットの言葉が切実に聞こえた。

「ん?私が創ったんだから大丈夫よ。これでもセカイア一の創師なんだから」
力こぶを表現するプレーリー。
だがアスコットの不安は拭えない。

「…じゃぁこうしよう。俺達はモコナにテントを出して貰って、そこで寝る」
「フェリオ?」
「この家のすぐ横にテントを出せば、プレーリーの家が襲われても俺達で対処できるだろう」
「…ごめん」
「気にするな」
ポンと背中を叩いた。

「彼、何かあったの?」
プレーリーは不思議そうに訊いた。

「ん?あぁこいつは招喚士でね。剣とか拳とかの接近戦はできないんだ」
「へぇ〜…男の子なのに」
「専門分野の違いってやつさ」
フェリオのいう事にウソはない。
だが、隠してることがないわけではない。


外に出ると、黒モコナがモコナテントを出していた。
その色と形が同じなことに、フェリオは目が点になった。

「凄いな…ここまで一緒だとは思わなかったぜ」
「え?そうなの?」
「あぁ」
見た人間がそう言ってるんだから間違いないだろう。

中を見ると…ランティスがドーンと寝ていた。
思わず男2人はずっこけた。

『寝るなー!!』
彼、ほんとに寝るの好きらしい。

「一人でベッドを占領するんじゃねぇよ!!」
「どれだけ大きくなったら気が済むんだよ!!」
二人は起こそうとして必死。

「煩い」
『え?』
「稲妻召来!!」

シーンとな。
何せセカイア版"沈黙の森"ですから。
二人はホォと胸を撫で下ろした。
ランティスは珍しく怒りマークが出た。

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