朝。
いつもと同じ朝を迎えた者もいる。
久しぶりの朝を迎えた者もいる。
初めての朝を迎えた者もいる。
アスコットは物凄く緊張している。
フェリオは最初、その意味が分からなかった。
「どうした?」
震える肩に触れた。
「守らなきゃ…」
「ん?」
「プレーリーを…」
「…おいおい、まさかあいつが誰かに殺されるとでも…」
「なんか、そんな予感がするんだ」
「…いくら似てると言っても、そこまで同じになるのか?」
「知らないよそんなの!!でも何かそんな気がするんだ!!」
ランティスが二人の許に来た。
「分かっていれば何とかなるだろう」
『ランティス…』
「俺もそこまで同じだとは思えないが、確かにヒカル達の道筋と俺たちの道筋は今のところ大した差がない」
『…』
「となれば、創師プレーリーがここで何者かに命を奪われると考えてもおかしくはない」
アスコットの肩が震える。
絶望の淵に立たされた顔をしている。
プレセアを殺した。その時は何も思わなかった。
ただ、大事な友達を殺された。その復讐に燃えた。
魔法騎士と直接出会った。何かが変わった。
友達の扱い方、そして…
守るべき存在を見出して。
強くなると決めた。守る為に。
「王子、アスコット」
「どうした?」
「アタランには先に二人で行ってくれ」
「お前はどうするんだ?もし俺たち三人が一緒でないといけないんだったらどうするんだよ」
「その場合は一旦戻って来れば良い。俺も一緒に行く」
「じゃぁ最初からそうすれば良いじゃないか」
「その間にココが無事だと言えるのか?」
ランティスの眼光が突き刺さる。
「お前…」
「朝食後すぐに出発できるようにしてくれ」
「分かった」
フェリオは頷いた。
アスコットもようやく少し安心した。
ランティスが守ってくれる。これ以上に心強いものはない。
「アスコット」
「何?」
「沈黙の森同様、魔力を封印する岩か何かがあるかも知れない。それを壊せばお前の魔力は戻るぜ」
「え!?あ!!そうか!!」
「もし襲撃が夜だとしても、その時のお前が全力を出せる状態になっていれば問題ないだろ」
次第にアスコットの顔が自信に満ちてきた。
フェリオとランティスの作戦勝ちだが、もちろん実行する。
「いぃぃぃぃ!?」
海が寝起きに見たものは、ベッドの横の床や机の上、椅子の上で寝ている生き物達。
夢の中で会話していた人間の、大切な親友だった。
「どどどどうしてここにいるの!?アスコットの部屋じゃな…」
その時、何か嫌な予感がした。
わざわざ魔法騎士が使っていた部屋から案内された。
ラファーガが何か考えながらだったが…。
「ま、まさかね」
「キャァァァァァ!!」
風の叫び声が聞こえた。
そこに全員が駆けつけた。
「ど、どうした!?」
「風ちゃん!?」
「風!?何があったの!?」
彼女の指差す先には、明らかに男物の下着があった。
彼女が言うには、引き出しを興味本位で開けていったら、あったというのだ。
いや〜な予感がして、光と海も自分の部屋を調べてみた。
そして…
『どういうことか説明して!!』
と、ラファーガとカルディナを正座させた。
「まさかと思うが…」
クレフ、顔が引きつっている。
『はい、どうもすみませんでした』
とアッサリ認めた。
「せ、せやけど、ええやん」
『良くない!!』
「えぇ何でぇ?将来あの部屋に住むんやろ?」
『へ?』
「え?分かってなかったん?ヒカルの寝たとこがランティスの部屋で…」
「えぇぇぇぇぇぇ!?」
顔真っ赤。
「ウミの寝たとこがアスコットの部屋で…」
「…」
凄い不満そうな顔炸裂。
「あ、あのねぇ…」
「わわわ分あっとおから!!」
「ふざけないでよ!!どうして私がアスコットの部屋に案内されてるのよ!!」
「せやから謝っとるんやないか。ほ、ほんのお茶目なジョークやん。あ。ちなみに、フウの部屋が王子の部屋だったんよ」
「…!!」
言葉も出なかった。ただ、真っ赤にボンと湯気が出ただけ。
「悪ふざけがすぎたな。カルディナ、ラファーガ」
『すみません…』
「まぁでも良いか」
『え?』
「これからあの三人が戻るまでその部屋で寝てもらおうか」
『良くなーい!!』
娘三人、反発。
「いきなり女の子を部屋に連れ込むなんて最低ですわ!!」
「恥ずかしすぎて嫌だよ!!」
「それにいつ私がアスコットが好きだなんて言ったのよ!!」
「違うのか?」
クレフ、気付いてない。
海はそれにガーンとなった。
違うわよ!!私が好きなのは…クレフよ!!
と、言いたくても言えず、グッと我慢した。
光を始めとした全員がハラハラしていた。
プレセアは海を見る度に胸が痛くなっていた。
目が合うと互いに逸らしてしまった。
「ぷぅ?」
一匹だけ事情を分かっていない。
「まぁでも大した問題でもないし、」
『充分大した問題!!』
「ゆっくりくつろいで貰えば良いし、」
『あれこれ考えてくつろげない!!』
「何を考えるというのだ?」
『う…!!』
そろそろ年頃の少女達をイジメるのはやめてあげよう、導師。
「フ…だが、いい部屋だっただろ」
「え、えぇ…」
風は王子の部屋だから凄く豪華。
まぁでも、自分の家の家具と大差なかったんだけど。
光も自分の部屋との差は少なかった。
問題は…金持ちの家の海が、平凡な家具に囲まれてた事だろう。
「もっと別の部屋ないの!?大体前まで使ってた部屋で良いじゃない!!」
「そこまで言うか」
「言うわよ!!」
「だがあの部屋は既に使用者が決まっておるからな」
『あの部屋に!?誰が!?』
「多分もうすぐ来ると思うが…」
誰が自分達の部屋を使っているのか。それが知りたくてしょうがない海たちだった。
それよりも、昨日の夜に知ってたクレフが平然と演技してるのが凄いとカルディナ達は思っていた。