「ぷぅ!!」
「よしっ行くぜ!!」
「うん!!」
フェリオとアスコット、モコナはスタンバイOK。
「気をつけてね」
「ま、心配はいらないさ」
ひら、と手をあげ、二人は出発した。
「そう言えばさ」
「なんだ?」
「フェリオがフウ達に会ったのって沈黙の森だよね」
「ん?まぁな。…でもまさか、な」
「だよねぇ。フェリオが二人もいるはずない、か」
「だよな。だからお前もあまり気にすることはないんじゃないか」
「アハハ…」
振り返れば既に森の形が変わっている。
セフィーロの沈黙の森同様、同じ姿を見せる事はないらしい。
「嫌な森だな」
「うん」
前のみを見て歩く。
後ろを振り返るなと言う事だろうか。
決して癒える事のない傷を持つ二人は過去を忘れられるはずがない。
そして、プレーリー宅にいるあの男も。
「ぷぅ?」
何も知らないモコナ(黒)が二人を不思議がった。
「フ、なんでもないよ」
「のんびりしてる暇はないな。ランティスの分が遅れるからな」
ということで。
「頼むよモコナ」
「ぷぅ!!」
任せとけ、だそうです。
二人を乗せた魔獣は先を急ごうにも急げないんだけど。
申し訳なさそうな顔をする魔獣をアスコットが笑顔で撫でる。
ピクっとフェリオの耳が何かを感じた。
「来る」
「あぁ」
フェリオは剣を握る。
アスコットは手綱を握る。
決して上品とは言えない鳴き声で魔物が襲ってきた。
「せぇのぉっ!!」
フェリオが切りかかる。
同時にアスコットが後衛となり、魔物の隙を狙う。
まぁだが実際にはフェリオがそのまま唐竹を決めて終わったのだが。
「楽勝楽勝」
「たく…。!! 危ない!!」
アスコットの魔獣がその声でメーサーを出す。
フェリオのすぐ傍を通過したそれは、フェリオを背後から襲おうとした魔物に命中した。
体を貫かれ、すぐに魔物は倒れた。
「怖ぇ…」
「そんなこと言われても」
ねぇ、と言う感じで魔獣と笑うアスコットであった。
なお、その間モコナはアスコットの帽子の上にいた。
再び前進する。
「何で魔獣は魔法が使えるんだよ」
「さぁ。慣れてるからじゃないかな」
「そう言う問題か…?」
「アハハ。でも魔法じゃないんだけどね」
「え?」
「そういう体らしいよ」
「自分の中の力、か」
「うん。凄いでしょ」
すっごく良い笑顔。
二人旅は順調に進む…と思う。
魔物が現れてもフェリオ前衛、アスコット後衛のフォーメーションを崩さなければ大概の魔物は倒せている。
例外もあったりして。
「うお!?」
「え!?フェリオ!!」
仕留めたと思っていた魔物が息を吹き返したかのようにフェリオを絡めとった。
アスコットは魔獣に撃たせようと思っても狙えるところが少な過ぎる。
確かに狙撃の得意な魔獣だが限度がある。
「くっ…!!」
アスコットは短剣を取り出すと走った。
「おい!?来るな!!」
「今助けるよ!!」
「俺でも無理だったんだ!!魔法の使えないお前じゃ無理だ!!」
案の定
「うわぁ!!」
「言わんこっちゃない…うぐっ!!」
「ぐわ!!」
上体を反らせられた。このままでは脊髄損傷で死亡、もしくは障害が残ってしまう。
((や…ばい…!!))
その時だった。
突然拘束していた触手が自分達を解放した。
「大丈夫か?」
女の声だった。
〜セフィーロ〜
朝食は気まずいらしい雰囲気。
光の横顔はなんとか気を取り戻した様子。
海の横顔は明らかに怒っている。
風の横顔は初めて生で見た男の下着にショックを隠しきれないまま。
クレフの横顔は極普通。
シエラの横顔は不安と自分でも分かるような嫉妬。
剣闘師の横顔は反省の色半分
その妻の横顔は反省の色ゼロ。
モコナの横顔は…極普通。
特に会話もないのが気まずくなったのだが、話題がないらしい。
(どうしよう…)
(ちょっとやりすぎたかしら…)
(酷いですわ酷いですわ)
(確かに静かだが、私の好きな静けさではないな…)
(導師…ウミの事をどう思ってらっしゃるの?)
(次からは通用しないだろうな…)
(さて次はどないしようかな〜♪)
(ぷぷ…?)
「…さてと」
カルディナが切り出す。
全員が注目した。
「分担せなあきませんな」
『あ』
分担。あの失踪した3人の分を誰かがカバーしなければならない。
「それならもう決めてある」
『もう!?』
セフィーロの字が読めないので光たちは書類を見ていない。
一方、セフィーロ人達は驚いた。
「む…無茶ですわ導師!!」
「何を考えとるんですか!!」
「な、何があったんだ?」
光がヒョコッと登場。
「冗談じゃありませんな」
「だから何が…」
『導師は休憩!!とにかく休憩でお願いします!!』
その後、カルディナに聞いた内容だと…
あの3人の仕事の2/3をクレフ一人でやろうとしてたらしい。