「あの二人、無事かしら…」
「魔物如きにはやられない」
プレーリーの家で紅茶飲んでるランティス。
でもさっき殺されかけてたような…。

「でもどうして一緒に行かないの?あなたの腕があればあの二人も楽じゃない?」
「その間にここが襲われないという保証があるのか?」
「え?ど、どいういう意味?」
「…お前が死ねば嘆く奴がいる」
「え…」

プレーリーの勘違いが始まりそうな予感。



「な…!?」
「俺とお前の実力は同じらしいな」
「だったら俺の勝ちだ!!魔物にやられた傷がお前の敗因だ!!そして俺の心の強さが俺の勝因だ!!」
「…心の強さ、か」

アスコットはその間に魔獣に整骨してもらってる。

「うぎっ!!」
効くそうです。どれだけオールマイティな魔獣なんだ?

(心の強さならフェリオは負けない)
アスコットが安心して見てる理由がそれ。
まぁ後は手を出したらフェリオにボコられるのは決定なので。

「な…!?動かない…!?バカな…!!」
「今俺たちがここで戦う理由はなんだ?」
「お前がメルビルの配下だからだ!!リュビを幽閉したあいつを俺は許さない!!」
「いつ俺たちがメルビルの配下だと言った?」
「魔物使いだ!!いくつかの村は魔物を操る招喚士によって壊滅している!!」
『な…に…!?』
二人の表情が一気に強張った。

「村を襲ったのか!?」
二人は剣で弾きあい、間合いを置いた。

「俺も名前を知らないが、氷使いと魔物の招喚士と剣客、扇使いがセカイアの多くの村を襲った!!それがお前達以外の誰だというんだ!!」
「それが俺たちだという証拠があるのか?」
「ない!!だがお前達がそうではないという証拠もない!!…いや、あるか」
「なんだと?」
フェリオは思わずアスコットを見た。
彼は昔の事を思い出し、拳を握り締めていた。

「アスコット…先に行っててくれ」
「なんだって!?」
「させるか!!」
女剣士の手に力が入る。

「どういうことだよ!!」
「ここで足止めを喰らう暇なんて俺たちにはないだろ!!」
「でもフェリオを置いていくなんて嫌だ!!」
「じゃぁどうするんだよ」
「う〜ん…」
「ぷぅ!!」
『モコナ!!』
「ぷぅぷぅ、ぷぷぅ!!」
「…よし!!」

アスコットの魔獣は突然フェリオの方に駆け出した。

「つかまれ!!フェリオ!!」
「バカやろー!!どういうことだ!!」
「いつまでもここにいても仕方ないんだ!!だったらあのコも連れて来るしかないだろ!!」
「お!?おい!?」
という間に、フェリオは上着を掴まれた。

「ぐえっ」
「よし、行っけー!!」
「させるかよ!!」

案の定追いかけてくる。
魔獣は体格の関係上、後ろから追う女とほぼ同等の速度となってしまう。
木々を傷つけないように、巣を壊さないようにというアスコットの思いがそこにある。

「ていうかさぁ、女の子なのに凄い口調だよ」
「あ、あぁ…ヒカルやタータ姫よりも男だよな」
「"俺"なんて言ってるしね。まるで…」
「俺を女にした、とでも言いたそうだな」
「だってそうじゃないか」
アスコットはキッパリ言った。

「髪の色、瞳の色、そして剣の腕。男か女かの違いだけじゃん」
「…あいつを見た時」
「ん?」
「何か電撃のようなものが走った」
「僕じゃないよ。この子でもないし」
「いやまるで…なんて言えば良いのか分からないが…」
「彼女がセカイアにとってのフェリオってことだね」
「…かも、な。細かい違いはあるけど、だが俺自身まだ信じられないんだ」
「…」

「で、この道で良いのか?」
「ぷぅ!!」
「待てぇ!!」
『体力底なし!?』
いやゼーハー言ってます。

「追いかけさせてどうするんだ?」
「ぷぅ…?」
『おい!!』
何も考えてない事だけは明白。

「ぷぷぅ!!」
モコナ、何か発見。
二人はそれに目をやった。
その時突然、目の前から数体の魔物が現れた。
思わずアスコットは魔獣の足を止めた。

「うお!?」
フェリオは反動で投げ出された。

「追いついた!!」
だが
目の前でアスコットが地面に降りたかと思うと、女剣士より低く構えた。

「何!?」
「悪いけど、協力してもらうよ!!」

唐竹を決めようとした女剣士の下を潜り、彼女の後ろについた。

「しまった!!」
「だから…飛べー!!」
右に半回転してのテコンドー蹴り。
女剣士の足の裏を狙ったそれが命中し、彼女は飛ばされる形でバランスを崩してしまった。
魔獣はアスコットの指示でギリギリの高さまで飛び、女剣士の剣が当たる事はなかった。

「ちぃっ!!」
しょうがないので目の前の魔物相手に突きを繰り出した。

「やるじゃないか」
「く…!!しょうがない!!一時休戦だ!!」
「フ、この先もだ」



〜セフィーロ〜魔獣の広場

「で、でもプレセアさんはエメロード姫の力で蘇ったと聞きましたが…」
「そうだ。エメロード姫の最期の祈りで、な」
「じゃぁどうして…?」
「未だに根に持ってるって事?」
海の言葉が刺々しい。恋敵を意識しないわけにはいかないのか…。

「言った筈だ。アスコットが決めた事だと」
クレフが不機嫌そうな声を出した。
プレセアのことを庇っていると取った海はそれが嫌だった。

「でもどうせそれも」
「ちゃうで」
後ろから聞こえてきた。

「カルディナ…」
「すまん…ウミの事を知っとったのに、忘れてもうて…」
カルディナは敢えて逃げ場を消した。

「何かあったのか?」
「あ、いえ何でもないんです。ただ、魔獣たちの墓の事について相談を受けたんはウチもやからな」
「何て仰ったんですの?」
「例え生き返っても殺した事に変わりはない。せやから城に墓を作るとプレセアが嫌がるんちゃうか言うてな」
『…』
「プレセアは優しいさかいもう許しとるやろ言うても聞かんかったから、もう好きにしぃや言うてん」
だから、死骸はここにはないらしい。
恐らく仲間の魔獣が運んだんだろう。

「でもせめて…せめてアスコットの帰りをここで待たせてあげて…」
海のせめてもの思い。
彼が失った存在は彼の中で重要な地位を占める。
ふと思う。自分を想うと言うが、No.1ではない、と。

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