フェリオと女剣士の共同戦線。
アスコットも魔獣の力を借りてサポートに廻るが、やはり主役は向こう。
魔法が使えないフラストレーションが溜まっている。
10体は居ただろう魔物は次々と倒されていった。
1体はアスコットが倒した(倒させた)が、4体はフェリオ、4体はフェリオと同じ剣腕の女性が。
そして

『最後!!』
二人の剣が突き刺さる。
魔物は悲鳴を上げ、消えた。

「お見事」
「お…お前もな」
フェリオが左右に拳を突き出した。

「な…!!」
「ん?どうした?」
その間に左腕の拳はアスコットの拳とコツンと合わさった。

「お、俺は!!」
「お前一人で済む話じゃないんだ」
「何!?」
「お前の思い、背負ってやる」
「は!?」
「俺たちもリュビを助けるために旅をしている。アタランにエスクードを求めて、な」
「な…ん…だ…と…!?」
「魔法騎士の伝説って、聞いたことないかな」
アスコットが周りを見渡し、誰もいない事を確認して言った。

「魔法騎士…何故その伝説を!?」
「俺たちはどうやら、その魔法騎士になったらしいからな」
「なに!?じゃぁお前らは異世界から来たのか!?どうやってだよ!?」
「僕らを招喚したのは多分リュビだ」
「リュビがお前達を…!?だ、だが!!お前達の実力で良いのなら俺や魔法の使える術士が固まれば勝てるってことだろ!!」
「だからお前もエスクードを求めているのか」
「…そうだ。俺はエスクードを取り、プレーリーに託す」
「俺たちもだ。魔神を蘇らせなければならないらしいからな」
「どうして異世界の者がそこまで知ってるんだ?」
「…運命、かもな」
「は?」

フェリオとアスコットを乗せた魔獣はまた先を進む。
モコナが道案内をしてくれるからである。
グズグズしていてはランティスがエスクードを取りに行って帰ってくるころには完全に夜になってしまう。

ただ、今回は"乗客"がいる。

「名前は?」
「俺の名は、リーム」
ようやく魔獣に乗る寸前に拳と拳が重なった。




〜セフィーロ城ツアー〜
クレフの考えもしなかったツアーは鍛錬場に着いた。

「ここは…」
「主にラファーガや王子、ランティスが剣の修行をしておる所だ」
「へぇ〜」
光は剣と聞いてそれで明るさを取り戻そうとした。
中を見ると、ラファーガが壁や床を磨いている。

「手伝おうか?」
「あ、いや…やはり私のやるべき事だからな」
ラファーガはフ…と笑みを浮かべた。
自分の腕を上げる為に使わせてもらっている部屋。
その手入れもやはり自分でするということだ。
でも
気付けば光が雑巾持ってる。

「私も使って良いかな」
「…喜んで」
「あ、じゃぁ私もやろうっと」
海もパタパタと走り、雑巾を手にした。

風、取り残される。

「フウはどうするのだ?」
「そうですわねぇ…見るだけでも絵になりますしね」
「では一足先に戻るとするよ」
「あ、そういえば…」
「どうした?」
「フェリオは普段どういった御仕事を?」
「王子は書類に目を通したり、皆で集まる会議で意見を交換したり、後は剣の修行と、それから外来の国賓の相手だ」
「あら、意外に多いんですのね」
「だが書類に目を通すのはどうも苦手なようでな。アスコットに連れ戻させるのが日課になっておるよ」
クレフは苦笑しながら話していた。


プレセアはクレフの部屋で書類をまとめていた。
彼女の心境はあまりにも複雑だった。
カルディナ達は応援してくれるものだと思っていたが、アッサリと援助打ち切り。
自分とウミ、どちらにもつかないと宣言されてしまって、正直に凹んでいる。

「どうしてアスコットの方に行ってくれないのかしら…そうすれば万事解決なのに」
ブツクサ言いながら来賓の為のお茶菓子や紅茶を用意する。

「どうした?」
「ひゃっ!!」
クレフが戻ってきた。結局風はついてきてしまった。

「ビ、ビックリさせないでください」
「す、すまん。普通に声をかけたつもりだったのだが…何かあったのか?」
その"何か"を風は知っている。
自分がいてはまずいかな…と思った。
だがここでプレセアの想いが実った瞬間、今度は親友の想いを壊してしまう。
板挟みに遭うというこの状況にどうすれば良いのか、風でも判断しかねる。

「こ、この書類は?」
空気が変わる覚悟はできた。
風は机にある大量のファイルに話を持ってきた。

「あ、あぁこれ?これは他国との話し合いに使うのよ」
そして気付く。パラパラと捲ればファイリングにミス発見。
クレフと海のことを考えていて集中力が続かなかったようだ。

「ももももも申し訳ございません!!すぐにやりなおします!!」
プレセアは人生最大のピンチだと思った。

その手を止めた者がいる。
シエラの右手をクレフが握った。

「ど、導師…!?」
「クレフさん…?」
「普段はこんな失敗をしないお前がこんな失敗をするとは」
完全に嫌われた。
そうプレセアは思うと涙が出そうだった。
風も見ていてハラハラしている。

「何があったか、話して貰えぬか?」
『え?』
「何か集中できないような事がプレセアの身に起きたと言う事であろう」
それがあんただと言いたくても言えない二人はどうするべきかが分からなかった。

「それとも、心を見たほうが良いのか?」
「心…!?」
「触れるだけで分かるんですの?」
「普段は心を見ることはないさ。その者の心の奥底まで見てしまうから恐ろしくて恐ろしくて。ただ」
『ただ?』
「強く思っている事は、心を見ようとしなくても、触れるだけでも入ってきてしまう」
で、クレフはプレセアの答えを待っているようだ。
一方、そんな事を言われてしまった二人は完璧に動けなくなってしまった。

(強く思うことって…それではプレセアさんの想いはもう…!!)
風、こんな形の愛の告白があるなど思いもしなかった。
地球では直接会って口で直に想いを伝える事が主流。
また、ラブレターを書いたり、電話をしたり…最近では携帯でメールを送るという手もある。
まぁたま〜に大掛かりな、膨大な電気代やその他経費をかけて告白する方法もある。
だが、触れるだけで想いが伝わるなんて、信じられなかった。
クレフほどの心の強さの持ち主であれば可能ではあろうが、だがこれは諸刃の刃。
もし自分を嫌っている人が現れてしまえば、その人の意思はクレフの意志に関係なく入ってくる。

てか、もう言わなくても分かってる筈。
二人はそう考えるしかなかった。

「何故…そう意地悪をなさるのです?」
「ん?」
「強く思う事が勝手に入るのなら、私の悩みは分かってらっしゃいますよね」
「…そうでもないんだがな」
『え?』
「さすがに何でもかんでも入ってくるのは私の脳が追いつくはずもない。だから制御はしておるよ」
唖然とする以外なかった。
掌の上で踊らされた感のあるシエラと風であった。

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