「たぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ほう…!!」
剣がぶつかり合う。

「ま…また腕を上げたな」
「ラファーガもだよ」
まだ決着は着いてないんだけど。
海は二人の"戦い"に手に汗握っていた。
何せ防具がないのに真剣で本気勝負をしているのだから。
ラファーガも鎧を脱ぎ去り、いや上半身裸で戦いを挑んでいる。
幸いなのは、まだどちらもかすり傷一つ負っていないということだ。

「危ないにも程があるわよ…あ、また…」
それだけが海の心配。



いきさつ:ラファーガが再戦を申し込んだ。

「お前に追いついたかどうか、今の私の実力を確かめたいのだが…良いか?」
「え?ラファーガは強いじゃないか」
「だが親衛隊長として、もう誰にも負けることは許されないからな」
フ…と笑いながら言う隊長。

『今は誰の?』
「王子及び魔法騎士付き親衛隊の、な」
『私たちのぉ!?』
「と言っても、魔法騎士付きの親衛隊は私を入れて4人しかいないがな」
「そういえば…ランティスは親衛隊長じゃなくなったんだよね」
「いや、あいつも親衛隊長だ」
『え?』
「あいつは導師及びヒカル付き親衛隊隊長だ」
「え?」
海はもちろん、光を見た。

「最も、あいつの部下は全員が導師付きだ」
「ってことはランティスがヒカルを独占してるんじゃないの」
「う、海ちゃん…」
カァァァと顔を真っ赤にしてしまった光だった。

「いや、言っただろう?我々もそうだと」
「ちょっと〜、空気読んでよ〜!!」
海、せっかくのムードを破壊したラファーガにブーイング。

「す、すまん…だが一応言っておきたかったからな」
「魔法騎士親衛隊って誰がいるの?」
「私とカルディナ、アスコット、ランティスだけだが…やはりもっと要るか」
『もっとって?』
「では今から公募するとしようか」
公募:この場合、セフィーロ中の人達に声をかけ、参加したい人が魔法騎士親衛隊になる。

「お前達を見れば上手く行けばセフィーロの住民全員が名乗り出るかもな」
『そそそそそんな大げさなことを!?』
「ハハハハハ」



ラファーガは鎧を外し始めた

『ラファーガ!?』
「防具があれば俊敏性に劣るし油断が生じるかも知れないだろう」

『服も脱ぐのぉ!?』
「本気でかからねばヒカルには勝てまい」

『ズズズズズホンはダメー!!』
「ヒカルは動きやすい服装ではないか」
と光のスカートに触れたので

「何するのよ!!この変態!!」
「へ、変態…!?」
と海に悪態どころかグーを貰ったわけです。

結局、膝の防具も外れただけに留まった。
光はラファーガの覚悟を受け取り、上はブラウスのみとなった。
ただ、ラファーガ本人は"変態"と言われてナーバスを超えるナーバスになっていた。
これで本気を出せるのか?と疑うまでに。

ちなみに、ラファーガの肉体もまた鍛え上げられており、海にとってはある意味地獄だった。

(セフィーロってマッチョ好きなの…?)
でもふと考える。
好きになった人はマッチョではないだろう。
自分を好きらしい人もまたそうは見えない。
そっちの方を考えると胸が苦しくなる。
争わなければならない人がいる。
悲しませなければならない人がいる。



そして現在。

キーンと刃が交差する。
紙一重で避けて隙を伺う。
時々肉体に触れそうな刃を見る度に海はキュッと目を瞑る。

「さすがヒカルだ。そうやすやすとは勝てない」
「ま、前よりも本当に強くなってる…!!」
二人とも息切れをしながら戦っている。

『強い…!!だが勝つのは私だ!!』
全身全霊の一撃を仕掛けに行く。

『うおおおおおおおおおおお!!』
キーン、ではなく、ドォォンと大きな音が響き渡った。
剣を握る手に痺れが走った。
そして、互いに押し負けて飛ばされてしまった。

「うわぁぁぁ!!」
「うお!!」
「光!!ラファーガ!!」

急いで駆けつけた。

「お、お前…本当に女か?」
『え?』
「私と同等の握力を持ってることになるんだが…」

つまり彼の中では
光=怪力
に改訂されたそうな。

「そそそんなわけないよ!!」
急いで大慌てでその文字を消させようとする。

なお、実際は互いに相手の力を逃がそうとしていた。
その結果吹っ飛ばされただけなのだが。

あ。光のスカートの中身は海の足が遮ったのでラファーガには見えずに済んだという説がある。

(危ない危ない…)
いろんな意味で。

フローリングに近いが硬い木で出来た床。
プレセアとクレフが仕上げただろうだけに段差はない。
だがそれでも吹き飛んだらダメージは小さくなかった。
光はブラウスの背中の部分がやスカートが擦り切れた。
ラファーガに到っては背中にかすり傷を負って、思わず二人が自分の口を塞いだほどだ。

「私、風を呼んでくる!!」
海が急いで靴に履き替え、恐らくいるであろうクレフの部屋に向かった。

「まったく…!!どうして無茶するのよ…!!」


「ラファーガさんが大怪我を!?」
「そうなの!!だから来て!!」
「分かった。行こう」
クレフのお仕事が増えた。
プレセアからすれば海にクレフを取られた気分だった。
その視線を感じた時、別にそんなつもりは無かったのに…と視線を背けてしまった。
クレフだけが分からないまま、鍛錬場に向かう。


「大した怪我ではないのですが…」
ラファーガ本人は血だらけの状態で服を着ようとしていたらしい。
光が服を必至で取り上げてたのだ。
クレフが魔法で光の衣服もラファーガの傷も対処した。

「で、どうだったのだ?」
「やはり敵いませんな」
「そんなことないよ!!ラファーガは物凄く強いよ!!」
その後、二人はガッチリと硬い握手を交わした。
柱と親衛隊、という立場ではない。
互いに一人の剣士として、好敵手としての握手。

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