「ウミ」
「何?」
「客人が来られる。出迎えて客間に案内しておいてくれ」
「私は?」
「ヒカルはまだだ」
『…?』
まいいかと歩き出そうとする。
二人が見たクレフ達は真剣そのもの。
恐らくフェリオが居ない分を皆で埋め合わせようとしているのだろう。
本来なら力になりたいが、字が読めないことには…
ということで、結局、光も邪魔にならないよう、二人は廊下に出た。
「誰かしらね」
「さぁ…でも私たちの知ってる人なのかなぁ」
「え?」
「じゃないと指名なんかしないよ」
「となると…分かったぁ!!」
「え?」
「チゼータのタータとタトラよ!!」
「…?」
「あ。そうか。光は会ったことないのよね」
「うん」
「じゃぁ一緒に行きましょ」
「うん!!」
そして
予想通り、カレー鍋もといブラヴァーダが到着した。
「タータ!!タトラ!!」
「ウミ!?」
「まぁ!!お久しぶりね!!」
「ん?お前は…」
「獅堂 光。よろしくね」
「柱の証を持った子ね。私はチゼータの姉姫タトラ」
「妹姫のタータだ」
光は二人と握手を交わした。
「それにしても、まさかこの事で呼ばれるとは思わなかったな」
『え?』
「四国同盟って言って、チゼータ、セフィーロ、オートザム、ファーレンのどれかに異常があれば緊急で集まるってことになったの」
『へぇ〜』
「それが魔法騎士がセフィーロに来たから、と言う事が初の事例になるとはな」
「良いじゃないの。それだけ平和ってことよ」
タトラが言うと最もだな、と三人は思う。
でも平和ではない出来事ならもう起きてるのだが。
「じゃぁ先に行ってて」
タトラ、どこかに行こうとする。
「またか…我が姉ながらイマイチ分からん…」
「あら、カワイイじゃない」
『どうしたの?』
「アスコットっているだろ。招喚士の」
タータから彼の名が出るなど、想像もつかなかった。
海は少し固まってしまった。
「え、えぇ…」
「そいつの"飼ってる"魔獣が気に入ったらしいんだ」
「だっておとなしくてカワイイじゃない」
「カワイイか?あれ」
呆れ顔のタータ。
「でも…アスコット、いないわよ」
『え?』
「セカイアっていう、異世界に飛ばされちゃったらしいのよ」
『異世界に?』
「私も夢で見たんだ。ランティスとフェリオ、アスコットが異世界に飛ばされた夢を」
「ランティス…あぁあの無口で愛想のないヤツか」
「あら、良い人よあの人。でもそれでなのね」
『え?』
「なんとな〜く元気がないなぁ、て思ったの」
心が読めるわけではない。
雰囲気を読んだのである。
「おいおい…まさかと思うが」
「私は違うわよ!!」
海は全否定した。おおぅ!?とタータはなった。
「光はランティスと付き合ってるけど、私はアスコットのことなんてなんとも思ってないの!!」
『ウミ…!?』
チゼータの二人は視線を逸らし辛そうな顔をする海を見て何も言えなかった。
(ヒカル)
(クレフ!!)
(NSXが来る)
(分かった!!行くよ!!)
どうすれば良いのか分からない空気から逃げ出すように、光はその場を後にした。
〜セカイア〜
ランティスはソファに寝ている。
寝ているといっても仮眠程度。魔物が来ればすぐに戦えるようにはしている。
プレーリーは鼻歌を歌いながら武器の手入れをしていた。
そして写真立てを見て溜め息をついた。
その顔は悲しそうだった。
「…ねぇ」
「なんだ?」
「メルビルを倒せばあの人は元に戻るの?」
「…だとは思う」
「そう…でも…勝てるの?」
「分からない」
「やっぱり…」
「殺すぐらいなら恐らく俺でもできる。だが倒すのは難しい」
よ…っと上半身を起こしたランティス。
「え…!?」
「俺たちはメルビルを殺すためにここに来たわけではない」
「じょ…冗談でしょ!?」
「メルビルを殺せばリュビにも手をかけることになる」
「え…!?ど…どういうこと!?」
「俺たちは俺たちの"運命"を変えなければならない」
「ままま待って!!どうしてメルビルが死んだら彼女も死ぬのよ!!」
「ぷぷぅ!!」
「あと半分だって」
『半分…』
魔獣に乗っても結構な時間がかかっている。
モコナの青い宝石から出る光りがアタランの場所を示す。
長い道のりにゲンナリしそうなリームだった。
「結構早いな」
「え!?うそだろ!?」
「早い方だよ。セフィーロだともっとかかるかな」
「…」
もう何も言えない。
「セフィーロの魔法騎士は二日かかってるんだ」
「二日もだと…!?」
「その時はモコナのテントがあったんだが、今回は半日もかからなさそうだな」
「そうだね」
「なぁモコナ」
「ぷぅ?」
「この森で結界のような役割を果たしているものはないか?」
「ぷぷぅ?」
『フェリオ?』
「そうすればアスコットとランティスの魔力は戻るだろうし、俺たちもこれ以上の魔物に襲われなくてすむはずだ」
「あ、そうか」
「ど、どういうことだ!?」
「もしこの森がセフィーロの"沈黙の森"と同じなら、何か仕掛けがあるはずなんだ。そのせいで森の形は変わるし魔法が使えないし、森の動物や植物が魔物に変身してしまうのさ」
「な…!?動物が!?聞いた事がない!!」
「まぁな。あくまでもこれは俺の経験と予想だ」
「セカイアではこの森の謎はどうなってるんだい?」
「迷いの森だ。魔法も方位針も羅針盤も使えない、な」
「やっぱりそうか。だからモコナじゃないと道が分からないんだ」
「ぷぷぅ!!」
「…こいつ、何者だ?」
『さぁ』
「へ?」
「聖獣だけど、詳しい事は僕にも分からないんだ」
「訊いてみろよ」
「さっきから何度訊いても"秘密〜♪"ってしか言わないんだよね」
「ぷっぷぷぅ〜♪」
「セフィーロのは?」
「あっちも同じ。だから最近はもう訊かないことにしたんだ」