エントランスにて。
光はNSXを視認した。
轟音とともにNSXが到着した。
NSXからステップが伸びてきた。
「ジェオ!!ザズ!!」
『ヒカル!?』
思わぬ人間に思わず走り出してしまった。
「お、おい、本物なのか!?」
「うん、そうだよ」
「いやいや導師が寂しさを紛らわせるために精巧に創ったモノかもしれないぜ」
「ちちち違うよ!!」
「でも創ってどうするんだよ」
ザズの疑問
「そりゃお前、普段出来ないようなあんなことやこんなことをだなぁ」
「クレフはそんなことしないよ!!」
ジェオ、からかいすぎです。
で
「期待しちまったか?」
「え?」
「イーグルも一緒に出てくるんじゃないかって」
「…」
ジェオの言葉にグッとなった光。
「チーフメカニック」
「分かってるよ。GTO発進準備かかれ!!」
ザズは無線で連絡を入れた。
「ジェオ…?」
「GTOに乗せてやるよ」
「え?ど、どうしたんだ?」
「ヒカルにだけは見せておきたいものがあるからな。…と、あとは居眠り野郎だな」
「え?」
「ランティスに声かけていくから、先に格納庫に向かっててくれ」
「ま、待ってくれ!!ランティスがいなくなったんだ!!」
「なに?」
「異世界に飛ばされちゃったらしいんだ。フェリオとアスコットと一緒に」
「はぁ!?きちんと探したのか?」
思わずウッと来てしまった。
確かに"きちんと"探し出してはいない。
「あいつは気まぐれなのか計算してるのかよく分からんからなぁ。適当に散歩にでも行ってるんじゃないか?」
「そ、そうかな…でもクレフの話だと、目の前で突然消えたって言うんだ。それに、私たちも変な夢を見てるし…」
「夢?」
「うん。三人が異世界に行った夢だったんだ」
「…それで呼ばれたってとこか…。ま、いいか。行くぜ」
「え?」
ヒョイと持ち上げられてしまった光。
GTOのコクピットにて。
「GTO、Go!!」
「ぐぅっ…!!」
発進時のGは強烈だった。
これでも抑えている方らしいのだが…。
「ランティスは以前にもセフィーロから姿を消してるだろ」
「う、うん…」
「理由、知ってるか?」
「ジェオは知ってるのか!?」
「知らないから訊いてるんだよ。でもその様子だとヒカルも知らないのか」
「うん…」
「だが、気まぐれでどこかに旅にでも出たんじゃないか?」
「でも一緒に消えるなんておかしいよ」
「アスコットってヤツはあんまり知らないが、王子とはよく話すんだ。その時によくランティスの話をするけどな」
「ランティスの?」
「剣と魔法、その両方を高次元のバランスでやってのけてるだろ。だから時々二人同時に相手にするらしいぜ」
「へぇ…」
「でもよぉ、二人がかりでいってもランティスに勝てないっつぅのは、あいつがやっぱバケモノだからかねぇ」
「二人を相手に勝つのか!?」
「らしいぜ。王子が苦笑しながら話してたな」
「本当に強いんだ…」
「…と、着くぜ」
「え?」
GTOが着地し、ハッチが開いた。
そこは城からそうは離れていなかった。
昔は荒れ果てていた大地だったが、今では木と花と草原の広がる平原となっている。
その公園のような敷地内、その中心になにかある。
石碑。金文字が書かれている。
「ここは…?」
「イーグル・ビジョンの墓さ」
「イーグルの!?」
「なんて書いてあるの…?」
「イーグル・ビジョン、ここに眠る」
「だけ!?」
「だけ」
「そんな!!もっといろんな事を書こうよ!!セフィーロを救う為だったとか!!」
「おいおい。俺たちは侵攻しに来てたんだぜ?」
「でも最期は…!!」
「分あってらぁ」
ポンと光の頭に手を乗せたジェオ。
「つーわけだイーグル。約束どおり連れて来てやったぜ?」
ニカッと笑顔で墓に向かって話すジェオ。
セフィーロに来たら必ずここに来るのだろう。
何度訪れたのかなんて覚えても無い。
光は目を瞑り、手を合わせた。
(イーグル…本当にありがとう。そして、本当にごめんなさい)
記憶が蘇る。
ここに墓がある理由は、この地でFTOが爆発したからだろう。
「オートザムにも墓はあるんだがな。環境としてはココの方が遥かに良いぜ」
「オートザムの問題はまだ解決してないのか…?」
「セフィーロ侵攻からまだ3年だぜ?環境問題、精神エネルギー問題はそのずっと前からあったんだ。そう簡単に行きはしないさ。ま、でも」
「でも?」
「もしセフィーロと同じように、心の強さで全てが解決するなら、なんて考えちまうけどな」
クククと笑いながら話すジェオ。
帰りのGTOの中。
どうやらカタパルトがなければGは問題ではないらしい。
「まぁでもよ、ランティスがいなくてもこの国はなんとかなってたんだろ?」
「う、うん…」
「じゃぁ大丈夫だろ。あいつがいなければ成り立たない国なんざ、すぐに潰れるに決まってら」
「ジェオ!!」
「まぁ聞けって。俺たち軍は確かに上の命令で動くが、上が死んじまったら自分たちで判断して動くしかないんだ」
「ランティスは死んでない!!」
「だがいないんだろ?それで混乱に陥るほどこの国は弱いのか?」
「…どうだろう…」
「おいおい…マジかよ」
ジェオ、さっきから冗談のつもりで言っていたのだが…。
「この世界では柱はどういう存在だ?」
「それが関係あるの!?」
「かもしれない」
ランティスはここで一人を大混乱に陥らせていた。
「このセカイアは彼女の祈りで全てが決まるの。そういう存在よ」
「セカイアの平和以外のことは考えられないのか?」
「え?」
「例えば誰かを好きになる事は?」
「え?そりゃあるかもしれないじゃない」
「それは許されるのか?」
「え…?」
「彼女はセカイアの平和を祈る以外に、誰かを好きになる事は許されるのか?」
「そ、そんなの私に訊かれても分からないわよ」
「…そうか」
「でもなんでそれがメルビルを倒す事と関係あるのよ。まさかメルビルの事を好きになった訳じゃ…」
「その可能性が高い」
「うそ…!!」
「あくまでも可能性だ。王子達が帰ってきてからまた話す」
「王子?」
王子は
「お前が王子ぃ!?」
と、リームに当然の反応をされてたわけで。
「見えないでしょ」
と言うアスコットがバラしたわけで。
「お前なぁ…言わなくても良いことを言うなよ」