光がようやく客間にジェオとザズを連れてきた。
「おう遅かったのぅ、オートザム」
「あ、お墓参りしてたんだ」
「およ?そなたは…」
「あ、私は獅堂 光」
「ファーレンの第一皇女、アスカじゃ」
こうして光はまた握手を交わした。
『お墓参り?』
海と風の疑問。
「おいおい、もう忘れちまったのか」
ジェオ、一番の衝撃ポイント。
「イーグルが泣くぜ」
『あぁ!!』
『本当に忘れてたのかよ…』
ジェオとザズ、肩を落とした。
首脳会談、とか言ってたのに、オートザムは軍人がいる。
風はそこに違和感を覚えた。
「あのぅ」
「ん?確かあんたは」
「鳳凰寺 風ですわ」
「あ、私は龍咲 海よ」
「俺はオートザム軍セフィーロ方面防衛隊司令、ジェオ・メトロだ」
そんな肩書きだったのか…
「首脳会談とお聞きしましたが…」
「そういえばそうよね」
「ジェオ、首相になったのか!?」
「まさか。大統領から俺に全権を委託されたんだよ」
『全権を委託?』
「ようは俺の言葉が大統領が喋った事と同じになるってことだ。でも正直嫌だけどな」
「しょうがないだろ。ジェオがイーグルと一番親しかったんだから」
「普通それだけでアッサリ全権を俺に預けるかよ…」
肩の荷が重いそうです。
「そんなに偉そうには見えないよな」
「俺だってイヤイヤなんだ。お前やるか?」
「とととととんでもない!!」
もうすぐで全権がザズに委託されそうでした。
しばらくして、クレフたちが来た。
「すまない、待たせてしまって」
「大体のことはもう聞いてますよ」
「でも異世界に飛んだ、と言われてもなぁ」
「行きたいのぅ、異世界に」
もうそこまで話が進んでるのかと正直な話驚いていた。
「でも正直な話、そこまで深刻になることはないと思いますがね」
ジェオは普通に語る。
「ランティスが突然居なくなるのはもう慣れてるでしょう」
「確かにな。だが目の前で急に消えたのだ」
「ほら、言ったとおりでしょ?」
クレフはその時の状況を覚えてる限りで述べた。
顎に手をあて真剣に考える者あり
ふ〜んとなっている者あり
正直に信じられなくて驚いている者あり
目をキラキラ輝かせている者あり
「で、何しに行ったのじゃ?」
『アスカ様…』
アスカ、さっきからそればっか。
子供の好奇心旺盛。
一方、サンユンは意外と冷静。いやアタフタか。
何しに行ったのか。
本当に魔法騎士をしに行った、と普通に言えばどうなるか。
答え:「わらわもやりたいのじゃー!!」
→で「どんなことをするのじゃ?」
となる。
そうなるとそこで魔法騎士伝説について語ることになる。
血塗られた歴史の一幕を曝け出すという事は、魔法騎士達の古傷をえぐる事になる。
また、現在の友好関係にも影響を与えかねない。
クレフ達も直接アスカから聞いたことがある。
アスカが目指すのはエメロード姫のような人だと。
クレフとフェリオは言葉が出せず、固まってしまったという。
特にフェリオは、自分の姉を尊敬してくれたことは嬉しいが、それ以外の事が辛かった。
何故なら、チャンアンから出た質問がセフィーロの城の全員を締め付けたのだ。
「何故エメロード姫はお亡くなりになられたのか」
それは復興が始まって直の事だった。
そして現在。
魔法騎士という当事者がいる。
彼女達は覚悟はした。だが、結局伏せられる。
先ほどの"何しに行ったのか"の問いに、
「我々にも分かっていない」
と言うのが精一杯だった。
その精一杯さは3人に気付かれたが。
「ま、大丈夫でしょ」
気付いた一人が言ってのけた。
「ランティスがいれば大抵の事は上手くやっていけるでしょう」
ジェオの自信は、彼を知っているから。
光とクレフの心配もまた、彼を知っているから。
「あいつの強さはハンパじゃないですからな」
「あ、あぁ…だが…」
「大丈夫ですって。なんたってセフィーロの中じゃあいつに勝てる精神エネルギーの持ち主はいませんからな」
「となると王子も大丈夫なのじゃ」
アスカの自信の理由は、以前"童夢"でフェリオが急襲してきたから。
いや正確には風を助けに行ってたんだけど。
「フウを抱えながら我がファーレンの衛兵をあっという間に蹴散らす程の腕前。何も心配はないのじゃ!!」
「そうですよフウさん」
と風に対し笑顔で言う。
その風は心配以外ありえなかった。
何も知らずに元気付けるアスカとサンユンに、正直に言えば腹が立った。
「じゃぁアスコットも大丈夫よ」
「タトラ?」
「逃げ足だけは速いんですもの」
『それ、自慢にならないんじゃ…』
「そう?」
で
「どりゃぁぁぁぁ!!」
「行っけー!!!」
「キリがない…!!くそっ!!」
三人+二匹は森の中で戦闘中。
「ごめんね」
アスコットは申し訳なさそうな顔で魔獣に話し掛けた。
彼自身は何もせず、魔獣の上から命令をしているだけだから。
「本当にこいつら不安と恐怖の具現化じゃないんだろうな!?」
「それはセフィーロでの話だ!!セカイアじゃどうだとか俺が知るわけないだろ!!」
内紛(?)寸前。
「両方が混じってる可能性だってあるだろ!!」
「ちっ…!!」
ドカズカと魔物を切り倒していく強者達。
「ぷっぷぷ〜♪」
両手に赤と白の旗を持って応援中のモコナ。
モコナはアスコットの帽子の上にいる。
「こんなことなら何か武器を借りてくれば良かったよ…」
と今更ながらガックリ。
「今どの位なんだ?」
「もうすぐ抜けるらしいよ」
「ぷぷぅ!!」
旅はまだ続く…。