『夢ぇ!?』
セフィーロの大会議場は一時騒然となった。

「多分、そうだと思う」
「だがなんでヒカルには起こってないんだ!?」
「分からないんだ。一体何が起こってるのか、この二人が起きないと…」
「電気ショックで起こすか」
「ダメだよ!!あれは心臓が停止した時専用なんだ!!」
正真正銘本物かい…。

「もし夢であの三人の事を見てるんだったら、中途半端に起こすとやばいわね」
タトラが顎に手を当て言った。

「だが…どうして言ってくれなかったのだ?」
「ごめん…自分たちでも正直に信じられなかったんだ…」
「懸命だな」
ジェオが庇う。

「不確定情報は知らされた人間を混乱に陥れるだけだからな」
「だが些細な情報でも欲しいんじゃないのか!?」
「下手な情報は物事を変な方向に運んじまんだよ」
「だがそれが正確だったらどうするんだ!?もし手遅れになればお前が責任を取るのか!?」
「あのなぁ!!確定情報が出るまでは動いちゃいけねぇんだよ!!それで誤った行動を取る方がやばい!!」
ジェオとタータは思い切りにらみ合っていた。
一触即発。




アタラン。
その中で起こった奇妙な現象。

「ウミ…一体どうしてここに…?」
アスコットは"見えない海"を通り過ぎ、"目の前で見える海"に向かって歩き出した。

「まさかここがウミの住んでる世界だってこと?」
「そんなはずないわ!!」
叫んでも聞こえない。

「どうして私がもう一人居るのよ!!大体どうして私は見えてないのよ!!」



「フウ…お前どうして…」
こちらもまた、"見えない風"に気付かす、"見えている風"に近づいた。

「どうして私が…!?」
自分自身に起こっている事が何がなんだか分からない。


その時だった。

「うっ!!」
「アスコット!!」
アスコットは見えている海から斬りつけられた。
避ける事など考えていなかったアスコットは左腕に一筋の跡がついた。



「な…!?フウ…!?」
「フェリオ!!」
フェリオもまた剣を喰らいかけた。
だがすぐ体が反応し、剣で剣を抑えている状態だった。

「お、おい!?どうしたんだよフウ!!」
「あれは私じゃない…まさかここは!?」

剣腕の良さで軽く凌ぐフェリオ。
だが

「あの構えは!!」
風が気付いた時にはもう遅かった。

「な…ぐわぁ!!」
「やっぱり緑の疾風!!」



「いっ!?がぼっ!!」
「水の龍!?ってことはアレは本当に私なの!?」
アスコットは水流に流されていった。
だがそれを追うのには大した労力は要らなかった。
彼は壁に叩きつけられたのだから。

「アスコット!!」
叩きつけられその場で動けなくなってしまったらしい。
だが、起き上がろうとしているのを見て、手を添えようとした。
そこでようやく、自分が彼に触れることが出来ない事が分かった。



「くっ…」
吹き飛ばされたが、なんとか復帰したフェリオ。

「何がどうなってやがる…?」
「癒しの風!!」
風は素直に魔法を使おうとした。
だが、彼の傷が癒える様子はなかった。

「魔法も使えない…つまり私は全く干渉できない…!?」
ただの観察者という事実。
だが、応援すらもできない。声が届かない。



「うくっ!!」
アスコットは背中からぶつかっていった。
それが魔物にやられた事も影響していた。
立つのがやっとの状態。

「ちょっと!!いいかげんにしなさいよ!!」
見えない海はアスコットを傷つけた海に対し怒っている。
だが彼女の反応はなく、ただアスコットの喉元にエスクードの剣を突きつけるのみ。



「ぐおおお!!」
「フェリオ!!あれは緑の旋風…!!」
頭から足先まで、ガードしていた顔を除き全身にカマイタチが走った状態となった。

「か…は…!!」
ザーンとそのまま倒れこんでしまった。

「フェリオ!!フェリオ!!」
いくら揺すろうとも触れない。自分の声が届かない。魔法も意味が無い。

「緑の疾風!!」
怒りをあらわにした、見えない風は傷つけた風に魔法を放つ。
だがやはり、彼女は無傷だった。



「ぐわぁ!!」
左胸から脇の間に一閃決められた。
貫通はしていないものの、激痛が走る。

「氷の刃!!」
見えない海の攻撃。
だが、傷つけた海にはやはり無効であった。

「どうなってるのよ!!どうして私の魔法が効かないわけ!?」
未だ気付かぬこの状況。



「まいったな…」
フェリオが剣で体を支える。

(アタランに入ってアスコットがいなくなった途端にフウに襲われるとはな…)
心で思った。
そして
それが"見えない風"にはきちんと聞こえていた。

「アタラン!?」



(フェリオとリームがいなくなったと思ったら、ウミが僕を殺しにかかってきた…)
アスコットの心の声は、ハッキリと海に聞こえていた。

「だからあれは私じゃないわよ!!」
と反論するも、逆パターンはないらしい。

「…やっぱりそうか…」
アスコットは何か呟いた。
え?となった海は聞こえたんだと思った。



「…フウ、お前がエスクードの番人なのか?」
「エスクード!?」
風はそこに驚いた。
セフィーロで、エテルナで、自分の幻と戦い手に入れた、伝説の鉱物。
それがセカイアにもあるとなれば驚く以外できない。



「ウミは…僕を嫌いになったんだ」
「…!!」
自分で結論付けたアスコット。
一方、海は彼からそんな事を言われたのがショックだった。

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