『な…』
「言ったろ?てめぇらが死なねぇとこいつが死ぬぜ?って」
人質となっているリーム。
つか、生きてるのか?マジで。
が
「…いい加減にしろよ」
フェリオの雰囲気が変わった。
氷使いの男がゾクッとするほどに。
アスコットはその理由が分からなかった。
考え方の違いらしい。
「フェリオ?」
「さっきまでのことでこっちは頭に来てるんだ。…どうなっても知らないぞ」
チャキと鍔が鳴る。
「…」
アスコットは思い出してみる。さっきまでのこととやらを。
そして結論が出るのにはかなりの時間を要する事になる。
「フェリオ、一つ提案があるんだ」
「なんだ?」
「今からランティスを招喚する」
「何!?」
「その間、あいつの相手を頼むよ」
「あいつを呼ぶ必要があるのか?」
「今のフェリオ、恐いんだ」
「あ?」
「今のままだと、殺しかねない位に」
「…」
睨んでいる。アスコットは顔に汗一つ。
「ま、まぁまぁ」
「…できるのか?」
「え?」
「ランティスの招喚だ」
「やったことないけど、多分」
「根拠がないのかよ!!」
「だだだだって!!今思いついたんだ!!」
「だ、大丈夫か?」
「さぁ…まぁランティスが来てくれれば良いかな」
ということで
「行くぜ!!」
気迫だけは衰えていない。
フェリオの気はそのままに氷使いに刃を向ける。
「ハッ、できるかよ」
余裕の表情。
リームを捕らえた氷に四方から圧力がかかる。
「な…!!」
「普段は温厚な海も、深海に行けば結構キツいんだぜ?」
「なら先にお前を倒す!!」
「おいおい、冗談だろ」
チョイと指先を動かすだけで氷に圧力がかかる。
中のリームの表情が苦痛に見える。
が
「うおおおおお!!」
「速い!?」
氷使いの想像を超えるスピード。
「ちっ…!!氷塊集盾!!」
分厚い氷で簡易なバリヤーを作り上げた。
だがもう遅い。
「な…に…!?」
「氷なんかで俺の剣が防げると思うなよ!!」
一気に真っ二つに切り裂いた。
セフィーロ城では海と風に注目が集まった。
「海ちゃん!!風ちゃん!!」
「光…?あれ…?」
「もしかして…夢…?」
「…風も!?」
「海さんも!?」
二人はバッと顔を合わせた。
「どんな夢か、教えてくれないか?」
クレフが問う。
風は素直に頷くが、海はやや遅れてだった。
躊躇している様子でもある。
「夢の中で…フェリオが出たんです」
『王子が?』
「えぇ。光さん、海さん、エテルナでの出来事を覚えていますか?」
「うん」
「私の見た夢も似たようなもの、ってことね」
「ウミはアスコットやったん?ランティスやったん?」
「…アスコット」
様子が少し変わった。
視線を逸らすのは変わらないが、何故か頬が少し赤い。
「で、私が見たのは、私がフェリオを襲ってるんです」
『フウ(ちゃん)が!?』
「えぇ…最初…信じられんませんでした」
「アスコットはどうだったのだ?」
海に来る質問。
正直に言いたくなかった。
「アスコットの友達が…アスコットを襲ってたの」
『魔獣が!?』
「ありえないだろ。あいつは魔獣を大切にしてるんじゃなかったのか!?」
とタータは魔獣のいるあたりを見た。
「なるほど、だからエテルナって言ったのか…」
光だけが最初に分かった。
「エテルナ……なるほど、そういうことね」
プレセアも分かり、クレフも理解した。
『どういうことだ?』
他国民は知らない。
「セフィーロにはエテルナという伝説の泉がある。伝説の鉱物エスクードはそこにしかないのだ」
「とだけ言われましてもなぁ…」
「エテルナでエスクードを取るには、自分の最も大切な存在と戦わないといけないんだ」
『なにぃ…!?』
「でもそれは偽者…というよりも、その正体がエスクードなんだ」
経験者は語る。
「そういうことね」
タトラが理解し、なんとなくでならチャンアンも理解した。
ジェオとザズはついていけず、タータもお手上げ状態。
サンユンはチンプンカンプンだし、アスカはそれを超えていた。
「つまり、大切な存在の偽者を倒せばエスクードは手に入ると言う事ですな」
「うん」
「でもそれ、辛くなかった?」
タトラが問う。
「最初は辛かったわ。パパやママを攻撃なんてできないもの」
「大切な閃光に殺されかけても、何もできなかったんだ」
『ヒカリ?』
「あ、犬なんだ」
『イヌ?』
「私たちの住んでる世界の生き物だよ」
「私は私自身と戦ってました。どちらかが傷つけば双方傷つく戦いでした」
「で、それをどうやって破ったんだ?」
「偽者だって分かってたに決まってるじゃんかそんなの」
ジェオの問いにザズが苦笑。
「ううん、分からなかったんだ」
『え?』
「エメオード姫が教えてくれたの。それが偽者だって」
「自分の大切な存在は自分が傷つく事を望みますか、という言葉で、私たちは乗り越えられたのです」
「エメロード姫が!?」
アスカ、ここぞとばかりに。
「え、えぇ…」
風、さて困った。が
「二人はエスクードを手に入れたのか?」
クレフがすぐにフォロー。
海と風はコクンと頷いた。
「じゃぁなんだ?その二人も誰かの助言で偽者だって気付いたのか?」
ジェオの疑問。
「ううん、誰も何も言ってくれなかったの」
「自分で気付いたのか」
「さぁ…ただ…」
『?』
「私の声が届いたのなら、嬉しいんですが…」