「あれを壊せばなんとかなるだろうな」
フェリオが剣を握りなおす。
「本当にフェリオの言う通りだったなんて…」
同じく握りなおすリーム。
「とっとと壊そうぜ」
と言ったそばから…
大量の魔物がまた湧き出てきた。
「どうやってだよ!!」
「あの時はヒカルとウミが魔物を引き付けていたんだがな」
「俺がやろう」
ランティスが一人離れた。
魔物の大半は彼に向かって行った。
そしてもう半分。実は引き受けた者がいる。
アスコットの魔獣がそれぞれも技を活かして道を作り上げた。
「行くぞ!!リーム!!」
「おぅ!!」
二人はダッシュする。
目の前に魔物が出れば斬り砕き、岩に向かう。
「でやぁぁぁぁ!!」
「ま、待て!!」
「何!?う!?」
彼女は突然足が動かなくなった。
見れば、石になっている。
「な、なんだこりゃぁ!?」
「しょうがない!!我慢してろよ!!」
フェリオ、リーム置き去りで後ろに引いた。
「お、おい!!俺はどうなるんだ!!」
「だから待ってろ!!」
フェリオは思い出した。
遠距離攻撃の出来る弓の使い手、風が岩を砕いた事を。
だが今ここにいるのは剣士のみ。
アスコットの魔獣に破壊して貰うのが一番だが、彼らは魔物で精一杯。
ランティスもまた、多数の魔物相手で精一杯。
選択を誤ったことを後悔しても遅い。
「…やばいな…」
その間に…
「うっ!!くっ…!!うわぁ…!!」
リームの石化が進む。
「やるしかない…!!覚悟は決めた!!」
そう言うと、フェリオは右腕を胸、そして左脇まで持っていった。
もちろん剣を握って。
「届くかどうかは分からない。だが、やってみせる!!」
と言うと…
右足に全体重を乗せて地面を蹴る。
走る。とにかく速く。
10m位で、左足で全体重を受け、荷重移動をする。
投げた。フリスビーのように。
「行っけぇぇぇ!!」
フェリオの剣はそれなりの重量がある。
だがそれは本人以外にとっての話である。
本人は重さを気にしていない。軽く扱ってしまう。
だが、今は違った。
軽すぎても飛ばないし、重すぎれば投げる事もできない。
微妙な、かつ絶妙なバランスを期待し、投げた。
回転しながら進んでいくフェリオの剣。
だが、邪魔をしようと魔物が出てくる。
「な!?しまった!!」
だが、剣はアッサリと魔物を真っ二つにした。
何事も無かったかのように進んでいく剣。
「フゥ〜…」
と思ってるが、そんな暇は無い。
丸腰になったのだから、襲われれば一たまりも無い。
「がっ…!!」
後頭部をやられた。それは分かった。
「王子!!」
ランティスは急いで駆け寄る。
魔物を切り倒す。
「大丈夫か?」
「すまん…俺の剣は…?」
「もうすぐだ」
「そうか…」
そう言うと、気を失った。
「届くのか…!?」
首から下が石化したリームはそう思うしかなかった。
何対もの魔物を斬っている。
その分だけ減速してしまう。
「くそ…もう…だめ…か…!!」
その後、口も動かなくなり、完全にリームは石化した。
ガーンと音がした。
剣は届いた。フェリオの思いを乗せて。
ランティスが見たのは、フェリオの剣が岩に刺さったシーンだった。
だが、完全な破壊には到っていない。
その証拠に、弱まってはいるが、邪気はまだ溢れ出ている。
だが、期待できないわけではない。
ランティスは魔力が少し戻ったのを感じた。
「王子、あなたの勝ちだ」
そう言うと、助走は無いがフェリオのように魔法剣を投げてしまった。
魔物相手に素手では分が悪くなる。だがそれは覚悟の上だった。
だが、それは違った。
アスコットの魔獣が彼を守った。
フェリオは位置関係で守れなかったが、彼がやられたと同時に傍に来てたのだ。
「…」
小さくペコ、とすると自分の剣を見た。
(今だ)「稲妻召来!!」
剣から雷が放たれる。
それはフェリオの刺した剣に当たった。
だがその剣には影響が無かった。
新たなエネルギーを得て、岩の亀裂が大きくなっていった。
そして…
パーンッと割れ、ガラガラと大きな欠片が地面に落ちていった。
小さな欠片は邪気を放っていたが、それはもう影響を及ぼさない。
魔物の大半が光り輝き、そして精獣に戻っていったのだから。
「後処理をする」
ランティスは魔獣にそう言った。
彼らは頷き、ビームのようなもので邪気の岩を次々と溶かしていった。
最初からそうしろよ。
セフィーロ城。
「ん?どうなさいましたかな?」
魔法騎士がチャンアンとサンユンのいる部屋に挨拶にきた。
「あ、いえ。どんなお部屋かなと思いまして…」
「でもアスカは隣なのね」
「ふぉっふぉっふぉ。さすがにあのお年で男と寝るのはいかがなものかと思いましてな」
『なるほど』
続いてオートザムの借りてる部屋にて。
「ん?どうした?」
「部屋を見に来たんだ」
「は?あんまり変わらないだろ。まぁランティスの部屋よりは広いけどな」
一人用か、二人用かの違いですな。
「でも快適だよなぁ。NSXの士官室並だよ」
『士官室?』
「まぁ早い話が幹部専用の部屋、ってことさ」
ザズはチーフメカニック。それなりの部屋は与えられているらしい。
「それにしても、未だに信じられないぜ」
ジェオがふんぞり返ってる。
「あいつがヒカルを殺すところなんざ」