プレーリーの家の周りは凄い事になっていた。
蛾の成虫がバサバサと8匹。
当然、今までのような攻撃は通用しない。
「お、おいおい…」
フェリオ、正直に言えば気持ち悪いと思ってしょうがなかった。
灯りに集まる習性だとすると…
ブブブゥゥゥン…と8匹が家を目指した。
「とめろ!!」
アスコットが叫ぶ。
魔獣達は一斉にその成虫にしがみつく。
だが魔獣は6匹。
あと2匹の相手はなんと人間だ。
「どうやって止めろって言うんだよ!!」
「任せて!!」
そういうとアスコットは念じ始めた。
何かをやらかす気らしい。
「…来い!!魔獣招喚!!」
「な!?」
魔方陣が出てきて、新たに1匹の大型魔獣が戦列に加わった。
そして、他の魔獣同様、蛾を捕らえた。
アスコットはフェリオにもたれた。
正直に言えば、心を使いすぎている。
それは息切れと顔の汗が物語っていた。
「お、おい」
「だ…大丈夫…」
「どこがだ!!待ってろ、ランティスを呼んでくる!!」
「駄目だ!!」
「何!?」
「ランティスは…最後の砦なんだ」
「だが今のお前じゃもう戦力にはならない!!俺の剣ももう通用しない!!」
とくっちゃべると…
猛烈な勢いで蛾が襲ってきた。
「ちっ!!」
フェリオはアスコットを抱え、高く飛び上がった。
「うわっ!!」
「お前重い!!」
屋根の上に放り捨ててしまった。
「ま、待ってくれ!!」
「何だ!!」
とか言いながらも、蛾に斬りかかるフェリオ。
「おぉぉぉぉぉ!!」
自分の渾身の一撃を打ち込んだ。
つもりだった。だが、今度もまた、効いていない。
「ちっっくしょぉ!!」
「成虫になっちゃった…」
セカイアの招喚士は驚きを隠せない。
「ど、どうして!?あいつらそんなに強いの!?」
彼女は知らない。セフィーロ屈指の戦士であることを。
「……」
ランティスは窓を見て戦況を判断する。
だが、動かない。
それは中に入ってきたら終わりだからだ。
彼の頭の中にはいくつか考えている事がある。
「じゃぁ…直接中に招喚してやる!!魔獣招喚!!」
「!!」
ランティスはハッとした。
結界外とはいえ、家の中に招喚されたのだ。
「ぷぷぅ…!?」
ビックリしたモコナの頭にポンと手を乗せると、
「心配ない」
とだけ述べた。
結界への自信。
セカイアの魔獣たちは結界に触れた瞬間、逃げ出しそうになった。
彼の結界が予想以上に強いのだ。
その事を招喚士に知らせた。
「えぇぇぇぇ!?そんなぁ!!」
ショックでかし。
更に…
「よっ…と…」
アスコット、屋根の上で立ち上がった。
「諦めれば…そこで全部終わっちゃう…!!」
セフィーロ城、プレセアの部屋。
チゼータの二人は魔法騎士を待っているようだ。
ファーレンの三人は武術が得意だが、やはり魔法騎士待ち。
元々他国であるし、先の戦いの経験から住民達も備えはしてあったと聞く。
「プレセア」
光が言いたいことは彼女にも分かっている。
「…無理、しちゃだめよ」
そういうと、何も無い空間から三本の剣を取り出した。
「うん。ありがとう!!」
バッと手に剣を握った。
だが、海とプレセアは目が合った瞬間、即座にずらした。
その顔が互いに辛い表情だった事に誰もが気付いた。
『どうした?』
クレフとタータが尋ねた。
あや?とアスカも首を傾げた。
他の者が知らない事は、まだまだある、ということだが。
『…別に』
その言葉しか出なかった。
「…?…さて」
クレフが切り出す。
「チゼータ、ファーレンの二国はこの場にいて頂いてかまわない」
と告げた。
「私たちは好きなように動く。そうだろ?姉様」
「えぇ」
「わらわ達もそうじゃ」
「では行きましょうかの。アスカ様、サンユン」
「ハイッ!!」
と返した。
「ならば、ウミはチゼータと、フウはファーレンと共に動いてくれ」
「じゃぁ私はオートザムとだね!!」
と行こうとした光。
だが
「いや、ヒカルは我々とだ」
「クレフと?うん、分かった!!」
コクンと頷く。
だがショックを隠す者もいる。
「じゃぁ行くぞ、ウミ」
「え、えぇ」
「やったぁ!!フウと一緒なのじゃ!!」
「宜しくお願いします。皆さん」
と一行を送り出した後、
「行くぞ。ヒカル、プレセア」
クレフ一行、出陣。