夢の中。
光たちは今日一日のランティス達の動きを知った。
リームの事、アタランの事、沈黙の森の岩の事、夜の戦いの事。
そのほとんどが自分たちのやってきた過程と変わらないのは驚きが絶えなかった。

(あれがセカイアのフェリオ…似てるような似てないような、複雑ですわ)
(あ。あれアルシオーネだ。邪気を放つ岩に…プレセアの事…)

過程が違うが唯一自分たちとの差が大きいものがある。
彼らは一人の創師を守りきった。
自分たちでは守れなかった。

(アスコット…辛かったのね…)


やがて昨日と同じになった。
夢の中でしか会えない人達。

「ランティス!!」
「ヒカル」
互いに触れられない。それが虚しさを感じさせた。

「今日も、見たんだ。ランティス達の事」
「そうか」
「でも…凄いよ」
「何がだ?」



「泣いてる…」
夢の中の空気がそう感じさせた。

やがて、見つけた。
子供のように泣きじゃくっている大人を。
いや子供を。

「アスコット…」
「…エグッ…ウ…」



「お前も、そう思うのか」
「えぇ…」
風とフェリオは話が早く進む。

「多分再開は早いほうだと思うんだ」
「昔のあなたに似ていますから」
「…なぁ、訊きたい事があるんだが…」
「何でしょうか?」
「…何でもない」
フェリオは話を止めた。
風はその質問が何であるかを大体で決め付けた。

「運命は…変わらないのでしょうか…」
「変えられるものなら変えたいな」
「…せめて、私たちがその伝説に加われば良かったですわ」
「何をバカなことを言ってやがる」
「フェリオは人を殺めた事がないでしょう。でも、私たちは…」
「これ以上、お前の苦しむ姿なんか見たくない」
フェリオは抱きしめようとした。
だが、それはできなかった。



戦闘中の彼が彼でないような気がした。
だが今目の前に居るのは、溜め込んだものを吐き出している彼そのものだった。

「アスコット…あなたは悪くないわ」
「でも…僕は…僕は…!!」
「…」
「あの子達を殺したくなかった!!フェリオ達の力になりたかった!!でも…できなかった!!」
「でも…あなたなんてまだマシよ!!」
「え…?」
「私たちなんて…」
「…ごめん…」
「あ…ごめんなさい…」
アスコットは分かっていなかった。
彼はエメロード姫の事で海が沈んだ事を知らないわけではない。
だが今、海が言いたいのは守れなかった人だ。
言えなかった。彼の傷がさらに大きくなるから。
夢の中で気まずくなるなど、悪夢に近かった。



「明日はどうするんだ?」
「分からない」
「私の予想だと多分リームって人にもう一度会うと思うんだ」
「経験か」
「うん。砂漠でアスコットと戦ってた」
「…どうすれば良い?」
「え?」
「もしそうであれば、あいつは泣きながら旅を続ける」
「あ…」
「詳しく聞かせてくれ」
「うん」
光は力強く頷いた。
経験があるのとないのでは対処法に差が出てくる。
今回はプレーリーを守れた。
明日もまた自分たちとは違う、いい旅になれば良いように。

光は順調に旅の話をした。
だが

「もう良い」
「え?」
「お前が辛いだけだ」
ランティスの言葉に、光は首を横に振った。

「確かに辛い事は辛いけど、でも」
「ならいい」
「良くない!!ちゃんと聞いて欲しいんだ!!私達の二の舞にならないように!!」
「…教えてくれ」
「え?」
「どうすればリュビを助けられる…?」
「あ……分からない…分からないよ…」
光は泣きそうな表情だった。
でもランティスにはどうすることもできなかった。



「明日、また戦うと思うの。それは分かる?」
「…うん」
「あの時は風とフェリオが戦ってたの、覚えてる?」
「うん…」
「でも今度はあなたが戦えば良いの」
「…うん」
「あなたはセカイアでもあの子達と会話ができるじゃない。とにかく説得するしかないわ」
「でも…」
「大丈夫。あなたならきっと上手く行くわ」
「…本当に?」
「えぇ」
「…ありがとう」



「それにしても、ああいう複雑な奴らと旅をするとは思ってもなかった。…俺もそうか」
「フェリオ…」
「…ま、なんとかなるかもな」
「え?」
「ランティスは運命を変えようとしている。俺にはそう思えるんだ」
「ランティスさんが…」
「アスコットは自分の運命を変えた男だ。…俺は…どうだろうな…」
「と…仰いますと…?」
「姉上の事も…柱を巡る戦いも…そしてこの戦いも、俺は運命の中にただいるだけだと思うんだ」
「フェリオ…」
「運命を変えた男、運命に挑む男、運命に流される男の旅、か…本当に妙な面子だな」
フェリオはククッと苦笑した。

「私たちは…」
「ん?」
「運命を変える存在でしょうか?それとも、運命に流される存在なのでしょうか?」
「お前達か…」
「エメロード姫の事をもし最初から分かっていて、それで対策が取れていたかと訊かれれば、いいえと答えるしかありません」
「…案外、似たもの同士かもな」
「え?」
「ヒカルはランティスと似てる。運命を変えようとする奴だ。ウミは運命を変えた。でないとアスコットはあそこまで強くはなれなかった」
「では私は…?」
「…俺とは違うな」
「え?」
「多分、あの二人と似ている。でないとセフィーロを変える事はできなかった」
「では、あなたもそうなりますわね」
「え?」
「だって、そうでないと頭数が合わないでしょう」
「…それもそうだな」
「フェリオ」
「ん?」
「私は貴方を信じています。どんな事があっても」
「フウ…俺もだ」
「フェリオ…」
「俺はどんなことがあろうとお前を信じている。死ぬ間際も、だろうな」
「あら、残念ながら」
「え?」
「私はあなたが無事にセフィーロに帰ってくるって信じてますから」

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