戦闘開始から5分後、その場に魔物はいなくなった。
「よしっじゃぁ行こうぜ」
「あれ?モコナは?」
「そういえばいないわねぇ」
ということで探すと…
「ぷぅ」
一匹カプセルの中で寛いでいた。
『モコナ…』
拳をワナワナしてる者あり、呆れてる者あり…
「こぉらぁぁ!!折檻よ!!!」
「ぷぷ〜!!」
追いかけっこ開始。
何も言葉が出なくなったフェリオとアスコット。
更に…
「Zzz…」
『ん!?』
カプセルを覗くと…
ランティスが寝ていた。
スライディングだのぶっ飛びだのをかます男二人。
「こ、個性豊かにも程があるだろ…」
「ア、アハハハハ…大丈夫かな」
「知るか…」
こうして出発が更に5分遅れた。
プレーリーに耳を持たれて捕まったモコナはおとなしかった。
((命に関わるんだ…))
改めて実感。
そしてそれをセフィーロのあの人と重ねるしかない。
そのプレセアは部屋でまだ寝ていた。
昨晩は一睡もしてないのだからしょうがない。
夢で何を見ていたかというと…
男三人の戦う姿が見えた。
ランティスの出したマスクでセカイアの創師が助かってるのも見た。
最後はテントにいるのも。そこで男たちと一緒に寝てるのも。
「もうちょっと考えなさいよ…」
まさか夢の中で頭を抱えるとは思ってもなかった。
アスコットは活躍した。が、最後は戦線を離脱した。
彼は魔獣を殺す事を恐れた。
だが昔の彼は人間を多く殺した。
その中にはプレセアもいる。
葛藤が続く。
許したつもりでも…いや彼の活躍にはむしろその気持ちでしか返せない。
セフィーロ城崩壊寸前の時も多くの人を助けた。彼の友達で。
だが思う。何故それでプレセアを殺したのか。
子供だから善悪が分からない、大人に利用された、様々な予想が出来るが…。
心の底から許せるとは思わない。表向きではそうでもないが、心の中では苦しんでいるのだ。
「すまんが…今日の観光案内は延期にさせて貰って良いか?」
クレフは申し訳なさそうに述べた。
「良いよ」
「えぇ」
「急ぐ事でもありませんし」
「すまない。プレセアが倒れてるからラファーガとカルディナの負担が大きくなってしまうのでな」
申し訳なさそうに頭を下げた。
その後彼は部屋に戻った。海の視線に気付かずに。
「じゃぁどうしようか」
「他国の方がいらしてますので、その方々と触れ合うというのは?」
「あ。良いね!!海ちゃんもそれで良い?」
「え?あ、えぇ」
「どうかしたのか?」
光の問いに溜め息をついた海。
「……もし……プレセアが今起きていたら…クレフが案内してくれてたのよね」
「えぇまぁ…でも昨日が昨日でしたから…」
「分かってる。分かってるけど…」
海は突然二人を抱きしめた。
「どうしよう…光…風…」
「海ちゃん?」
「海さん…?」
「プレセアの事嫌いになりたくないのに…!!大変だって知ってるのに…!!でも…!!でも彼女にあたっちゃいそうで…!!」
泣いているような声だった。
好きになった人が友人とカブッた、というよくあるパターンだが…。
「プレセアのことを考えると怖いの…!!自分が怖いの!!」
『…』
対応に困ってしまう光と風だった。
目に見えぬ溝、というものに怯える海に何を言えば良いのか分からない。
光は剣道に集中していたためドラマはビデオで見るしかないが、風はよく家族と見ている。
その中で女同士の戦いがどれだけ"黒い"かはなんとなく感じていたが、自分には関係無いと思っていた。
だが目の前でそれが起ころうとしている。親友同士で。
カプセルに乗って、海底にあるであろう神殿に向かう。
「近い?」
「ぷぅぷぅ」
「なんて?」
「あと二日はかかるってさ」
「二日か…もう少し速度は上げられないのか?」
フェリオの問いにモコナは横に顔を(つか体もか)振った。
長旅になるかもしれない。だったら変な負担は与えない方が良い。
しょうがないのでおとなしくしておくしかなかった。
「ま、良いか。食料も寝床もあるしな」
「ちょ、ちょっと待って!!また4人で一つのベッドに寝るの!?」
プレーリー、超焦る。
「ん?あぁそうか。もう一つのテントはあるのか?」
「ぷぅ」
またもや横に振る。
プレーリーは血の気が引きそうだったが…
「大きな木があれば良いか」
「どの子にしようかなぁ」
「…」
男二人はテント以外の寝床を模索する。
でも既に寝ている人もいるが…。
「え?」
「一緒に寝るのが嫌なんだろ?」
「僕らは野宿は慣れてるから」
「お、お前が言うと重いな…」
フェリオ、ちと引き気味だった。
自ら選んだのと、望んでもいないのに追い出されたのでは違う。
「そうかな…」
アスコットの"慣れてる"はどれも辛いものばかりかもしれない。
「何かあったの?」
何も知らないプレーリー。
「ん?あぁ気にしなくて良いよ。昔のことだから」
彼は笑顔だが、フェリオは引きつっていた。
「…多分、ここの招喚士もそうなんだと思うけど…ね…」
切なさが出ている。
自分と同じ思いをしている人間がいるのかと思うと。
「まだ…戦いは続くのか…」
「ま、な…」
物思いにふけっている二人に困惑するプレーリーだった。
「そ、そんなに長い戦いなの?」
「あぁ。10日じゃ済まないと思う」
「そ、そんなに…!?困ったわ…」
「できれば俺だってとっとと解決したいけどな」
「あ、いやそうじゃなくて…」
『え?』
「足りるかしら…弾薬。また創らないといけないわね」
右手に大型ランチャーを持っての一言。
フェリオとアスコットはのけぞった。
「だったらまた新たに創った方が早いかしら。威力と連射速度を上げて精度も上がってるだろうから…」
彼女は独り言を話し始めた。
「6連装…いや12連装…ううん24連装で良いわね。となると砲弾は100発じゃ済まないわねぇ…500発か1000発位かしら」
『…』
もはやどうツッコめば良いのか分からなくなった二人だった。
でも日頃そんな独り言を傍で聞いてる存在もいるのだが…