にぎやかな町。そこの宿屋。
そこに男3人…ではなく、女二名。
男は宿代をケチッた。
「そこまでしてもらってもな…」
「うん…」
と遠慮しまくったからだ。
「人探しなら誰かに訊けば良いじゃない」
「顔も知らぬ者を知っている奴はいない」
「もう…」
で
「じゃぁリーム、一緒に寝る?」
「ん?まぁ良いぜ」
というわけで。
「男と女が一緒に寝るのは問題アリだろ」
「あなたも男みたいだけどね」
「なんだとぉ!!」
気にしてるのか…
プレーリーはクスクス笑っていた。
一行は再び砂漠にやってきた。
魔獣の亡骸はないが、他の気配も感じなかった。
「もうすぐ日が暮れるわね」
「多分…今日は見つからないよ」
「じゃぁ明日まで待つの?」
「あんまり時間はないが、仕方ないか」
「時間?どういうことだ?」
リームは真実を知らない。
「リュビの祈りが、な…」
「弱くなるのか…それでセカイアが崩れる…くそっ…!!メルビルめ…!!」
リームは拳を強く握った。
セフィーロの伝説どおりであれば、これは"濡れ衣"というもの。
フェリオ達は彼女に言うべきか否かで迷っていた。
プレーリーのように仲間になるのか、それともメルビル側について自分たちと戦うのか。
でももし伝説を知っていたら?
この嘆きは…彼女の心を虜にした男への苦情…ってことで宜しいでしょうか?
「全く…」
タータ、不機嫌。
「どうしたの?タータ」
「魔物を全部ジェオに倒されたから悔しいのよ」
タータはクスクス笑って説明した。
GTOは別の意味でも容赦なかったのだ。
「でも…平和なセフィーロにまた魔物が現れるなんて…」
「それは…貴方がたの不安ではありませんでしょうか…?」
チャンアンの一言に、魔法騎士は全員ウッとなった。
消えた男たちを心配する。
自分たちと同じ伝説を歩んでいる、大切な人達。
彼らが自分たちと同じ苦しみ、悲しみを抱く事を思うと、気が滅入るのは仕方が無い。
それが魔物を生み出す。その魔物がセフィーロの住民に不安を抱かせてしまう…。
まだ幸いなのは、人の居ない地域で、しかも素早く倒せるようなものだったことだろう。
これが街中に出ればまた混乱に陥ってしまう。
魔法騎士は自分たちのせいでセフィーロが滅びかけた事を重く感じている。
再びその危機が訪れるなんて、想像もしたくなかった。
「きっと大丈夫ですよ、フウ様」
サンユンが元気付ける。
「そうじゃそうじゃ。それに異世界なんて行った事がないからのぅ…楽しそうじゃのう〜」
アスカの言葉に風と海、そして通信を聞いていた光の表情がまた曇った。
悲しい伝説を知らぬ人達。だからこそここまで能天気なのだ。
知らぬが花、知らぬが仏、とはこのことか。
だが逆に、無知が人を傷つけたり、怒らせたりする。
特にアスカはハッキリと言う。だからこそ風は辛い。
(言うべきでしょうが…でも…言えない…)
襲い掛かる不安。
彼女達に嫌われたくない。
エメロード姫を殺した殺人犯は苦悩の日々を送る。
そしてまた、GTOのバルカンが唸る。
「だぁぁっ!!多すぎだろ!!」
残存ゲージが赤ランプ。
「ちぃっ!!なら!!」
GTOはレーザーソードを出した。
「うわぁ!!」
「しっかり掴まってろよ!!とことんヤバい領域に入っていくぜ!!」
光はGに振り回されそうになりながらも、なんとか踏ん張っていた。
GTOは数体の魔物を一閃した。その後また急速に向きを変える。
「出番みたいね」
「やっとか…」
タータとタトラが手を叩く。
『行け!!ジン!!』
3人分のスペースを残し、ラクーンとラシーンは魔物の方に向かった。
「私も行くわ!!」
「お、おい!!この高さからじゃ死ぬぞ!!」
「じゃぁ降ろして!!」
「よぉやく、妾の出番かのぅ」
アスカ、ニヤリ。
「行け!!巨大フウ!!」
「え?」
そして…
「風ちゃんの口から」
「すっごいビームが!!」
「あれは私じゃありませぇぇぇん!!」
風の叫びという名のツッコミが響き渡った。
「ん?なんだ?」
「どうしたんだ?ジェオ」
「いや、さっき斬った魔物の感触が他のとは違ってたんだ」
「え?どういうこと?」
「まるで本物の生き物を斬った感じだった。今斬った奴は違うけどな」
「???」
「魔物は不安の具現化されたものだろ」
「うん。…となると生き物じゃないよね」
光も考えてみた。
「ということは魔物みたいな生き物がいるってことになるか…?」
「あれは!!」
海が何かに気付いた。
「タータ!!あの子は魔物じゃないわ!!」
『え?』
「あれはアスコットの友達よ!!」
「何!?」
ジン、急ブレーキ。
「どういうことだ!?」
「多分魔物が出たからそれを討伐にきたのね」
タトラが冷静に分析。
「なるほど。でも見分けがつかないぞ!!」
タータの言葉に海もハッとした。
姿形は酷似している、魔物と魔獣。
その違いを一番明確に分かっている人間は、今いない。
彼らは彼等の正義感でやって来ている。
だがそれは味方からの"誤認"を受ける確立がかなり高い、ということでもある。
「ムッあそこにもおるのじゃ!!」
アスカの声、巨大フウの照準。
海が見たそれは、城で見た事のあるやつだった。
「ダメ!!アスカ!!」
その声は届かなかった。
先に光線が放たれたのだから。
そして、それは消滅した。
「そ…んな…」
海はペタンと足をついてしまった。
「チゼータよりファーレン、オートザムに告ぐ!!」
タトラが通信を入れた。
「魔物の中にセフィーロの魔獣がいるわ!!」
『何ぃ!?』
「今すぐ全攻撃をやめ、私の近くに来て!!」