「じゃぁさっき俺が斬ったのもそれだったのか」
ジェオと光はGTOのコクピットから降りた。

「じゃ、じゃが!!よ、よく似ておってややこしゅうて分からなかったのじゃ!!」
言い訳に過ぎない、だがこれが事実。

光は風を見た。彼女は首を横に振った。
失われた命は癒す事ができない。
その事実が海を俯かせている。

「ザズ」
ジェオが通信を入れた。

「城は把握してるのか?」
「何人かは城から飛び出していったんだ」
「誰だ?」
「親衛隊長とカルディナ、それと導師、プレセアだよ」
「主要人員全員ってわけか…」
「自国の危機に何もできない人なんて上にはいられないわよ」
タトラが冷静に説明した。

「でも、どうするんですか?」
サンユンの疑問は、皆の悩みだった。

「下手に攻撃をすれば…か…」
「ならば、魔獣を戻して貰う、というのはどうでしょうかの」
チャンアンの意見。

「どうやってだ?」
「導師に申し上げるのですじゃ」
「でも彼らもセフィーロを守りたいと思ってるのよ。そう簡単に引き下がらないと思うわ」
タトラ、冷静に水をさした。

「じゃぁ俺たちが撤退するしかないかもな」
「おい!!じゃぁセフィーロは放っとくのか!?」
タータの正義感。
セフィーロとの友好関係もあり、彼女はこのまま下がるのは嫌だった。

「私は戦うよ」
光が言った。

「私もですわ」
風も同じく。

「私も、行くわ」
海も剣を手にした。

「私はある程度はあの子達の事を知ってるから」
これ以上の犠牲を出さないために。

「ウミ…」
「それに、カルディナたちはアスコットとよく一緒にいるじゃない。だからカルディナ達と一緒にいれば、なんとかなるわ」
「よし、じゃぁ行こう!!」
光はGTOのコクピットに乗り込んだ。

「ヒカル!?」
「クレフのところまで行くんだ!!」
その考えが、海に突き刺さる。

「クレフなら魔物かそうでないかがすぐに分かる!!」
「よっしゃ!!」
ジェオはシートに座り、ハッチを閉めた。

「ザズ!!」
「分かってる!!送信するぞ!!」
NSXからデータが送られてきた。

「これは?」
「導師の精神エネルギーの場所を示したもんだ」
ニッとした彼は、スラストレバーを一気に入れ、GTOは急加速した。


「行くぞ、ウミ」
「え、えぇ…」
複雑な表情をしていた。
クレフの近くに行きたい自分。
アスコットの事を考える自分。
どちらが大事なのか分からない自分。

「妾たちはどうしようかのぅ…」
「とりあえずクレフさんの所に行きましょう」
「では」

『風(ちゃん)が飛んだ!!』
「でぇすぅかぁらぁ〜…!!」
風がここまでイジられるのって珍しい…?





「来ると思うか?」
「その為の事はしたんだ。絶対いけるよ」
「標的は?」
「多分リームだ」
「で、俺が行く、か」
フェリオとアスコットは二人にしか分からない会話をしていた。

「なんだ?俺がどうしたってんだ?」
リーム、頭に???マーク。

『なんでもないさ』
「おい、どういうことだよ」
「私にも教えなさいよ」
プレーリーがリームに後ろから巻きついていた。

「言わなかったら、どうなっても知らないわよ」
『ヒィッ』
彼女のニヤリとした顔に、恐怖を覚えたフェリオ達。

「ま、待てよ」
「お、落ち着いてプレーリー」
「だって仲間でしょ!!なのに秘密の作戦なんか立てられちゃったら私は何の為にここにいるかが分からないじゃない!!」
「そ、そりゃ分かるけど…でも今は言えないんだ」
「バラされたら意味が無いからな」
フェリオはリームをチラっと見ながら言った。
彼女とアリーナの繋がりは切れていない。
まぁ、そうでなきゃ今親友同士になれていないのだが。
付き合いの長さは、その経歴もよく知る。

「…」
プレーリーの言った言葉にリームは何も言えなかった。

(仲間、か…)

自分は誰の仲間なのか。
アリーナは仲間だろうか。多分そうだ。
では、彼らは自分の仲間だろうか。
プレーリーとフェリオ達の仲がいい。
自分とプレーリーの仲もいい。
彼らは自分に友好的に接してくる。
…仲間同士の戦いになる。
その時はどちらにつくのか。
どちらも切り捨てたくは無いし、逆に切り捨てられるのもゴメンだ。

葛藤、というものに、久々に襲われたような気がする。


そして宿に到着した一行。
男たちはその裏にある木に登って、もう寝る準備。
これから晩御飯って時なのだが…。





クレフは分かっていた。
仲間が仲間に殺されていた事を。
魔獣は魔物との区別がつきにくい。
差が分かるのは、生物と具現化された物の違いが分かる者。
それと、魔獣と仲が深い者。
弟子の親友がまた命を落とした。彼が知ったらどうなるのか、それが気がかりだった。

「あの者達がいないと辛いな…」
「そうですね…」
プレセアはクレフに背を向けている。
彼女の特製の武器を両手に握り、魔物を粉砕していた。

「皆、彼らがいなくなって不安になっているのでしょうね…」
「の…ようだな」
クレフは杖に力を込め、

「稲妻召来!!」
魔物を一蹴。

(エメロード姫…今のこの国を見れば、あなたはどう思うのだろうか)
そう思いながら、クレフは魔物を倒していく。

柱を失ったセフィーロは消滅寸前だった。
ザガートを失ったエメロード姫は怒りに暴走した。
2人の人間を失った国は一気に支えを失った。

いなくなったのは3人。
そのうちの二人は失われた二人の実の弟。
運命に翻弄され続ける男たちをクレフは想った。

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