セフィーロの伝説を知る外国人は魔法騎士とカルディナのみ。
他に知る者はいない伝説の真実を言うべきか否か…。

「炎の矢!!」
ジェオの頬をかすめた。

「……」
ジェオはようやく風を解放した。

「風ちゃん!!」
「フウ!!大丈夫か!?フウ!!」
「ハァッハァッゴホゴホッ!!ハァッハァッ」
「よくも…よくもフウを!!」
アスカは幻術を使う姿勢をとった。
が、それを制止した。

「放せぇ!!放すのじゃぁ!!」
「すまぬ…」
クレフはそれだけを言った。
ジェオはクレフを睨んでいる。

「弾薬も精神エネルギーも無尽じゃねぇ。…これ以上、無駄弾を撃つ気はねぇ」
そういうと、GTOに乗り込み、ペダルを蹴っ飛ばし、GTOは遥か上空に飛び立っていった。

「……」
光は何も言えなかった。

「導師!!なぜ止めたのじゃ!!」
「あやつの気持ちも、分かる」
「なんじゃと!?フウをあんな目に遭わしたんじゃぞ!!」
「…すまぬ」

光は皆の気持ちを痛いほど分かった。
フェリオの心をこれ以上傷つけたくないという風の想い。
セフィーロを救うために戦うジェオの思い。
仲間を傷つけられたことに怒るアスカの思い。
そして、謝る事しかできないクレフの思い。
複雑な環境の中にいる自分達。その解決策が欲しいと光は思ってやまなかった。


「カルディナ、ウミ、私たちに何か言う事はないか?」
「……」
彼女は下を向いたまま黙ってしまった。
ジェオは通信機のスイッチを敢えて入れっぱなしにしていたのだ。
それは情報交換を最も早くするために。

「カルディナ…」
海が肩を叩いた。

「もう…良いわ」
「…せやけど…」
「でもこのままじゃ、あなたが責められるもの。…私たちのことなのに、ね」
「ウミたち…魔法騎士の事?」
「…今は…言えないわ」
「…なら、私たちが力を貸したところで、無駄に終わる、ということよね」
「!」


クレフの持つ通信機から聞こえてくるタトラの声に、光と風は何も言えなかった。

「言えば…そなた達も同じ不安に駆られることになる」
クレフが呟くようにして答えた。


「…そういうことね」
「姉様?」
「でもそれで納得しない者もいます」
「さっきからどういうことなのかがサッパリ分からん!!姉様、教えてくれ!!」
「…何があったかは聞かないけど、ウミ、カルディナ、ラファーガ。あなた達は過去に辛い事があったのね」
『……』
何も答えず、俯いていた。タトラはそれを承認と捉えた。

「そして、アスコット達はそれと似た様な事に遭遇している」

『!!』
光と風はタトラの勘に驚く意外なかった。

「それを知ればその事ばかりを気にしてしまい、魔物が多く強くなる…だから導師は言わなかったんですね」
「…ぁぁ…すまない…」
「知らない方が良い事も、沢山あります。ただ、不安を抱え込んだままではセフィーロの平和は保つ事が出来ませんわ」
「ぁぁ…」
「カルディナ、ごめんなさい」
タトラは彼女を優しく抱いた。

「あなたは仲間想いだから、ウミの過去の傷をえぐるような事をしたくなかったのね」
「タトラ姫様…」

「ウミ…私たちは無理矢理…聞くつもりも無いし、…その…辛いなら…言うな」
「タータ…」


「どいつもこいつも…」
GTOのコクピット。
ジェオは真意を聞こうとしていた。

「何が起こるっていうんだ?…知らない方が不安だぜ」
彼のぼやきが聞こえてきた。

知らぬが花。情報の無い不安。
どちらも事実であるだけに判断が出来ない。
魔法騎士を悩ませ続ける課題、伝説。
セフィーロの住人は自分たちのために秘密にしていた。
また、彼らとて言う気になれなかったのだろう。


「親衛隊長!!エルフの魔物は全討伐完了!!」
「よしっごくろうっ」
ラファーガのもとに通信が入る。
同じ声はクレフのそれからも聞こえている。

「ストラーダ、魔物の討伐完了!!」
「オーパ、魔物の全滅を確認!!」
「よぉし、皆よくやった!!」
ラファーガは仕事を忘れていなかった。
柱に代わり魔物退治をするのが親衛隊。
それを統べる者が親衛隊長である。
だが、その役には一人しか就いていないようなもの。
ラファーガはランティスの分までカバーしている。

「しかし隊長、一体どうなってるんですか」
「この3年間、こんなに魔物が出た事がないのに…」
魔物が呼ぶ不安。それが呼ぶ魔物。

「……」
ラファーガは返答に困ってしまった。
真実を述べていいかどうかを判断できないのだ。




そんな大変な状況の中…

「良いんだな?本当に…」
「あ、あぁ…」
フェリオとリーム。

「後悔、しないか…?」
「しないさ…早く…しろよ」



「よっしゃぁ〜!!」
「くっそぉ〜…!!」
リームはカードをテーブルにぶちまけた。
フェリオは対照的に大きなガッツポーズをした。

「騒がしいわねぇ」
プレーリー、ツイントライデントスタンバイ。

『ひぃっ!!』

「何やってるんだろう…」
アスコットは呆然とそれを眺めていた。

彼らはプレーリー達の泊まる宿にいる。
そこでカードゲームをしていたのだが、プレーリーが勝ちモコナが勝ちアスコットが勝ち、残り2人となっていた。
あ。ランティスは既に爆睡してるんで…。
てかゲームするの?彼。

「さぁて、罰は何にしようかなぁ♪」
フェリオ、何かが伝染?

「やっぱり火炙りでしょ」
『ひぃっ!!』
いや勝てないらしい…。

「ぷぅ。ぷぅぷぅぷぅ」
「何て?」
「砂に頭以外埋めて、目隠ししながら棍棒で叩くってさ」
「うぉぃ!?」
スイカかい…いや確かにリアルかもしれないが…
当然、却下。

「じゃぁそうだなぁ…」

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