プレセアは海と全く同じ表情をしていた。
同じく彼の言葉で。

「恋愛って難しいのかや?」
アスカ、クレフに近づいた。
サンユンは顔を真っ赤にして驚いていたが。

「あぁ。アスカ姫にもそのうち分かるよ」
彼は彼女の頭にポンと頭をおいた。

小さい子どうし…
光と風はそう思ってしまった。


城に戻るとラファーガだけがいなかった。

「ラファーガはどうした?」
「まだ魔物が残っていないかを探るそうです」
カルディナが答えた。
彼は彼の責任感がある。

「そうか」
クレフはそうとだけ答え、部屋に戻った。
海とプレセアは無視されたような感じだった。


「……」
クレフは部屋にこもった。
そのドアは入れないような空気を醸し出していた。
プレセアはそれに躊躇しかできなかった。

「何…してるの…?」
背中から声をかけられた。

「…あなたなら…入れる…?」
振り返らず、切なさが滲んだ声だった。

「……」
答えは返ってこなかった。

「あなたも…聞いたでしょ…あの人の言葉…」
「…えぇ…」
「…あなたなら…知ろうとできる…?あの人の想いを…」
「……」
返事は返ってこない。


「…もし…私達のどちらかだったら…どうなるの…?」
3分後、ようやく返ってきた。

「そんなの…分からないわ…」
「じゃぁ…どっちでも…なかったら…?」
「それも…分からないわよ…でも」
プレセアは冷静だった。

「あなたにはアスコットがいるわ」
その言葉にグッとなった。

「セカイアの伝説が終われば彼は帰ってくる」
「でも!!」
「あなたは…あの子の友達の事を考えているのは何故?」
そこにハッとなった。

「そ、それは…私も友達だからよ」
「あの子が悲しむからじゃないの?」
「そ…そうよ…でも…」
「アスコットを、どう想ってるの?」
その問いに、言葉が詰まった。

「…ら…な…」
「聞こえない」
「わからない…」
「なんですって?」
「分からないのよ!!私自身アスコットのことをどう想ってるか!!分からないの!!」
叫び声が廊下に響き渡った。

「……」
プレセアはその場を後にした。

「中途半端な想いの人になんか、負けないわ」
そう残して。


海は立ち尽くしたまま、一筋の涙を流していた。


光と風、カルディナ、それとチゼータ、ファーレンがその様子を遠くから探っていた。

「海ちゃん…」
「海さん…」
「こらもう…あかんかも…な…」
カルディナが呟いた。

「何が…だ…?」
タータは恐る恐るだった。が

「あの二人の間には…取り除く事のできないような壁ができているようね」
タトラが冷静に言った。

「あや?なんでなのじゃ?」
アスカ、首をかしげる。

「妾もじぃとはよく喧嘩をするが、すぐに仲直りするのじゃ」
「そういう次元の問題で済んでないってことよ」
子どもにも厳しい…。

「導師の想いを知った時、あの二人はどうなってしまうのかしら…ね…」
あんたまさか知ってるんじゃ…





「このセカイアの伝説が…悲しい伝説だと…?」
リームは呟いた。

「どういうことだ…?誰かが死ぬ、ということか…?」
リームの勘にアスコットは口を開けたまま何も言えなかった。

「メルビルのことか…?だが奴は何人も手にかけてきたんだ」
独り言体質?

「奴は許されるべきじゃねぇ…!!」
彼女の瞳は怒りに満ちていた。
フェリオ達は彼を殺さない事を望んでいる。
だが目の前の人は死を願っている。

『……』
フェリオとランティスは顔を見合わせたが、困った顔をしていたのはフェリオとアスコットのみ。
ランティスはいつもの無粋な無表情だった。

「殺す気はない」
ランティスの言葉に瞳孔が開いた。

「なんだと!?」
リームはガッとランティスの胸倉を掴んだ。

「メルビルを殺しても失った命は戻らない」
「だが…!!仇を取る事はできる!!」
二人の会話に、ハッとした者がいる。

「俺の知り合いも…!!何人も挑んで…全員殺されたんだ…!!」
『…!!』
「俺が戦うのは…リュビを救うためだけじゃない。仲間の仇をこの手で討つためだ」
怒りの瞳は強い意志も兼ね備えていた。

「だが」
ランティスは冷静に返す。

「メルビルを殺せば、後戻りはできない」
「てめぇ…やはりそうか!!」
彼女は器用にも左手で大きな剣を握った。

「結局…てめぇもあいつの配下ってことだな!!」
彼女は空中後方宙返りをして戦闘態勢に入った。

「待って!!じゃあ彼等の話を聞いて!!」
「るせぇ!!…俺は…お前も許せない…!!」
「だから早まらないで!!」
「魔法騎士は突然異世界から招喚された」
『!!』
フェリオの言葉にアスコットとプレーリーが反応した。

「導師に会い、そこで魔法を授かった。その後、セフィーロ一の創師のもとに武器を頼みに行ったんだ」
拒否権ゼロ。フェリオは壁にもたれて話し始めた。

「そこまでは…聞いてる」
リームは剣は降ろしていないものの彼の話を聞くらしい。

「魔法騎士はその後魔神を蘇らせるが…」
「それまでに、何度か戦ってるよ」
アスコットが口を挟んだ。

「氷使いと、招喚士とね」
「…ロコゥと…アリーナか」

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