「ラファーガ!!」
「プレセアか。どうしたんだこんな時間に」
ラファーガはアスコットの魔獣に乗っている。
「…良いじゃない、別に。カルディナは?」
「寝てるよ」
「そう…」
「だが…お前がこの時間に起きているとは意外だったな」
「…目が覚めちゃったの」
「そうか…」
ラファーガはその理由を何となくで悟った。
そして今日もまた海と争うのかと思うとタメ息をついた。
「お前ら…どうして!?」
「決まってるだろ。一人で挑みに行ったバカを助ける為さ」
フェリオはニッとして言った。
リームはムッとなったが…
「人のこと言えるの?フェリオ」
「う…」
アスコットによるツッコミ。
「で、いるか?」
フェリオは話を逸らした。
アスコットも真剣な表情。
「…そう遠くはないと思うよ」
「そうか」
アスコットの魔獣は高度を落とした。
その瞬間、目の前からアリーナの魔獣が襲いかかってくる。
「!!」
リームは間に合わないと思った。
が
「掴まってろ!!」
「え?」
フェリオがしっかりとリームの手を握った。
もう片方の手は手綱に握られていたが。
アスコットは慣れている様子で魔獣に指示を出し、紙一重で避けきってみせた。
「くっ…!!」
首をまわされるほどのG。フェリオの手が緩みそうなのをリームは感じた。
彼もまたGがきついと思った人間だった。
そんなGが来るからアスコットの帽子が吹っ飛んでいった。
「大丈夫か?」
「あ、あぁ…」
でも頭がクラクラする。
「レーザーファランクス…切れたか」
GTOの後ろにはジェオが倒した魔物の消滅痕が無数にできていた。
フォン…とレーザーソードが光った。
だが不覚をつかれた。
GTOの背中に魔物が付いたのだ。
「くっ…!!しまった!!」
が、それはすぐに消えた。
後方モニターを見ると、青いジンがいた。
「ジン…?タータ姫か?」
ブラヴァーダが上空にいる。
「危ない奴だな…」
「とか言って、一番ホッとしてるんでしょう」
タトラがクスッと笑う。
「わ、私は別に!!」
「まぁまぁ、行くわよ。タータ」
「お、おぅ!!」
パァンッと手が鳴り響いた。
「どこに行くの?」
「アリーナはすぐ近くにいる」
「え?」
プレーリーはモコナを抱えて砂漠を歩いていた。
顔色一つ変えようとしない彼と共に。
「本当なの?」
「戦闘中に持ち場を離れる者はいない」
「そ、そりゃそうでしょうけど…でも相手は招喚士よ?」
「それがどうした」
「魔獣に任せて今頃どっかに行っちゃってるんじゃないかしら」
彼女の意見にランティスは足を止めた。
「……」
「…ま、まさか…」
「……」
「そこまで考えてなかったのね…」
「ぷぅ…」
二人(?)して呆れていた。
「くお!!」
「アスコット!!もうちょっと優しくしてくれ!!」
二人からの痛切なお願い。
「…しょうがないなぁ」
しれっとした様子のアスコット。
彼の魔獣はアリーナの魔獣の攻撃圏外の高さで一旦停止した。
『やれやれ…』
「情けないなぁ二人とも」
『あ、あのなぁ…』
どうやら乗り物酔いも伴っていたご様子。
「で…どうするんだ?…ってそうだ俺の剣!!」
『あ』
だがそれはもう見えない。砂がおおいにかき回されてしまったからだ。
物理の法則という訳でもないが、ふるいにかければ重いものは沈んでいく。
「…いや、待てよ…」
フェリオは思考モードに入った。
「確かあの時俺は…」
「でもフェリオ、もう一本持ってるよね」
「そういえばそうだよな」
何も問題はない?
さてアスコットが考え始める。
その顔は真剣さもあるが、切なさも醸し出していた。
胸に手を当て、何かを祈るかのような表情。
リームは魔獣を睨んでいた。
アリーナとの戦いに戸惑いながらも、目の前の敵を倒す方法を考えようとしている。
だが自分が不利なのはさっきまででよ〜く分かった。一人では無理。
でも今は一人じゃない。
「何か手はないのか?」
「…ないことはないけど…でも難しすぎる…」
「なんだ?」
アスコットの考えにフェリオも耳を傾ける気満々。
「やり方は簡単なんだ」
『は?』
「でも一歩間違えば命を落としてしまう…」
『!?』
「理想と現実は…全く違うんだ…」
『お、おいおい?』
話がズレてきてませんか〜?
「おい!!今はアレをどうにかするんじゃないのかよ!!」
リームのツッコミにアスコットはやっと我に帰った。
「一歩間違えば命を落とすだとか理想と現実だとか、お前は何が言いたいんだ!!」
「ご、ごめん!!でも命がけなのは本当だよ!!」
一応本題からズレてなかったのか…?
「でも…ただ倒せば良いって訳じゃないし、考えてる事が上手く行かなきゃそれこそ意味が無いんだ」
アスコットは二体の魔獣を見た。
彼が何故戦闘中に違う考えが出てきてしまうのか、それを知るのは彼の友達のみ。
そして、彼の言いたい事を一番理解しているのもまた。
「は?倒すしかないだろ」
リームは剣を構えた。
「やらなきゃ殺られるんだからな」