「あれは!!」
海が見たのは、魔獣がまた出てきたこと。
「アスコットの魔獣やな」
「でも…」
海の懸念。
「しゃぁないやろ。ホンニンおらんねんから"自分らで"判断するしかないんやから」
カルディナが冷静に説明。
「…」
昨日の繰り返しになるのではないか…と海は悲しい目をしていた。
セフィーロでは戦闘が続いていた。
「炎の矢!!」
「水の龍!!」
「防りの風!!」
「稲妻召来!!」
「うぉぉぉ!!」
『いっけ〜!!』
『え?』
皆が振り返ると…
プレセアが小型ミサイルを発射している。
カルディナは…応援してる。
皆ずっこけた。
『ややこしい言い方するなー!!』
『え?』
「や、ややこしいって…」
「う、うちら別に何も…あ」
カルディナの思い当たること。
「そっか。アスコットが戦うとき、いっつも"行っけー"って叫んどうもんなぁ」
『あ』
「今頃何やっとるんやろうなぁ〜、あの子」
寝てま〜す。
魔獣がカルディナの傍に寄ってきた。
「ん?…フ、心配いらんて」
カルディナが魔獣達を慰める。
「ん?何だと!?」
クレフが何かに気づいた。
「どうしたんだ?」
光達は首をかしげた。
「アスコットは…セフィーロから魔獣を招換しているらしい…」
『なんですと!?』
彼の事情を知らなかったのは、一人を除いて全員だった。
「え…?言ってなかったっけ…?」
海がキョトンとした。
『…』
えぇ、という目を皆がしていた。
海はそれに一瞬たじろいだ。
「ウミ」
クレフが声をかけた。
「アスコットと夢が繋がっている、と言ったな」
彼の言葉に海は言葉が出なかった。
同時に、プレセアの視線も痛く感じる瞬間でもあった。
二人の剣士は砂漠に足跡を多く残していた。
『剣を…直せる…だと!?』
「えぇ」
プレーリーは布を取り出した。
『本当か!?』
「私は創師。セカイア一の創師よ。なんたって、エスクードを加工したんですもの」
彼女はニコ、と大きな笑顔で述べた。
「でも」
『でも?』
「剣のカケラを全部拾う必要があるのよ」
ということで二人は朝飯前に大きな運動をさせられているのだった。
いや、食事のことなどまったく考えていなかった。
あの剣が自分にとってかけがえのない存在なのだから。
銀色に輝いていた金属片を捜し求めている。
プレーリーも手伝う。武器職人として。
「ぷぅ!!」
モコナがカケラを掴んだ。
フェリオとリームがハッとして見てみた。
「…リームのね」
創師の意見。リームの剣を手がけたからこそ分かる…と言うと、彼女の凄さを強烈に感じる瞬間でもある。
逆に自分の"何か"を感じなければ、それはフェリオの剣であるということである。
問題は、それが"全て"見つけられるかということだ。
細かく砕け散った剣を探し出すなど困難の中の困難。
三人は朝から照りつける太陽の下、それを探し続ける。
一方…
「くっ…」
どっちかが起きた。
「…」
額に手の甲を当てながら、"起動"できるまでの時間をすごす。
朝焼けから少し青くなっていく空。
正確な時間は分からなくても、自分がどれだけ眠っているのかは多少は分かった。
ようやくスクッと起き上がった彼が見たのは…
「…!!」
ショックを与えるのには充分だった。
「な…!!なな…!!フェリオ!!」
思わず叫んでしまった。
呼ばれた男はぴくっとし、振り返った。
「アスコットか…」
「あの子は!?」
アスコットは砂地に降り立ち、苦労しながらも走っていった。
そして、その"穴"に打ちひしがれた。
「…やっぱり…か…」
膝から崩れた。
無力感に捕まる以外なかった。
「…すまん」
フェリオはそれしか言えなかった。
「…」
アスコットは砂を手に取ると、その拳を握り締めた。
「…」
フェリオは殴られる覚悟で近づいた。
が、
「…変え…られ…ないのか…」
「え?」
「…」
アスコットはいきなりキリッとした顔立ちで立ち上がった。
『アスコット!?』
皆に呼ばれた彼は魔力に囲まれていた。
「アスコット…!?」
「お前…何を…!?」
二人の剣士の意見を聞く様子はなかった。
横から見ても分かるような真剣な顔。
集中力の中心部とでも言うべき状態の彼には何を言っても通じなかった。
「送魂天上(トリビュート)!!」
『!?』
パーダーの体が真っ白に輝いた。
「輝きだした!?」
パーダーの死骸が輝くと、それはいきなり球体のようになった。
そして次の瞬間、それは一筋の光りの柱となり、細長く天に突き刺さった。
『…!』
フェリオたちは何も言葉を発することのできないまま、ただただそれを見つめるしかなかった。
グラリ…と背の高い男は傾いた。
「アスコット!!」
フェリオが急いで彼を支えた。
二人分の体重がかかったため、砂はフェリオの靴に入るまでに達していた。
彼は意識を失っていた。
殴られて気絶させられて起きてすぐに魔法を使って…
心の負担が大きかったのだろう。目の前で止められなかった悲劇。
せめて自分でできうることを。それが彼の取った"仲間の責任"。
そして、決意。