「さてと、俺たちは魔神の眠る神殿、だな」
「ぷぅ!!」
モコナは乗り物を出した。

が…

『…何コレ?』
砂だらけ。外も中も。
原因はガラスが出ていなかったことだった。
最も、彼らとてそういうシステムを知らなかったんだが。

「ぷ…ぷぷぅ…」
モコナがガ〜ンとなっている。
最もショックを感じているらしい。

『…どうする…?』
3人はうなだれた。
一人は極平然としていた…訳でもない。

「アスコット」
ランティスが声をかける。

「何だい?」
「どうやって魔獣を招換した」
「え?どうやってって…」
「そういえば…ランティスは精獣の招換に失敗してたんだったわ」
「何だって!?」
アスコットも驚く。

「なんでだよ!?ランティスは僕よりも強いんだよ!!」
「本人に言いなさーい!!」
プレーリーはまた自分に来たことにプツッと来た。

全員が注目した。

「腹が減ってたからじゃねぇか?」
「きっとそうだよ」
「…」
ランティスは自分を魔力で覆った。

『ランティス!?』
「精獣招換」

ようやく、彼が求めていた馬が出てきた。
が、同時に…

『ランティス!!』
彼はグラ…と来た。
それを支えたのは、黒馬。
つか襟を咥えたんだけど。


砂だらけの乗り物は変な音を出している。

『壊れてるんじゃ…』
「ぷぷ〜!?」
モコナ、涙ダ〜!!

「しょうがないわねぇ…」
プレーリーは工具を取り出した。

「ぷぷ…?」
「直るんじゃない?」
「ぷぷ!?」
「任せて」
彼女はニコッとした。

「プレーリー、モコナの言葉が分かるのか?」
フェリオ、感心。
アスコットは招換士だから動物の言葉は分かる。

「いつも一緒にいるし、まぁ全部が全部分かるって訳じゃないけど、なんとなくって感じかしらね」
彼女はナニかガチャガチャさせながら言った。
でもそれで会話が成立できるあたりが凄い。

「フェリオ」
「ん?なんだ?」
アスコットに呼びかけられたので振り向いた。

「このまま真っ直ぐ、神殿に行けるのかなぁ…」
「ん?どうしたんだ急に」
「多分、アリーナはまだ仕掛けてくるよ」
「…お前の記憶か」
「うん」
アスコットの戦い、セカイアでは1勝2敗。
彼にとって魔獣の死は負けなのである。
勝ちはもちろん、プレーリーの無事。

「今日中に着かなければ、そうなるかもな」
「…そうじゃ…ないんだ」
「え?」
「僕の中の"何か"が言ってるんだ。まだ絶対に来る、って」
彼の中の確信。
フェリオは何も言わなかった。




「…私は…変わらないのではないかと思います…」
プレセアは搾り出すように声を出した。

「もし…あの時殺されていなかったとしても…あの悲劇は起きていたでしょう…」
『プレセア…』
「セカイアの伝説がそんな事で変わるのだったら、今頃こんなに皆悩んでません…」

クレフが変えたかった空気を壊したのは、プレセア。
壊してしまった良いムードを元に戻すことはできなくなってしまった。
彼女は後悔した。自分がしたことに。

『あ!!』
ダッとプレセアは走り出した。

「プレセア!!」
「…」
追えなかった。彼女の感じた責任が分かったから。

「どうして…あんな事言ったのよ…!!」
プレセアは逃げるように森に入っていった。

「せっかくあの人が…クレフが皆を元気つけようとしたのに…!!」
一筋の涙が流れる。
口に手を当て、やがて足が止まった。

「うゎぁ…うぅ…ぅゎぁぁぁ…」
泣き出した。
彼女に絶望が襲い掛かった。
セカイアでの三人に襲う悲劇、そして…
もう自分は選ばれなくなってしまったのだ…と。


残された者たちは沈黙していた。
愚かだったのかもしれない。プレセアの命一つで運命なんて変わらなかった。
セカイアで人一人の命が助かったぐらいで変わるなんて、なんて呑気な。
馬鹿だ。クレフはそう思った。
バタフライ効果の説明もした風も、自分で何言ってんだろう…となってしまった。

ガザァ…と音がした。
とてつもなく大きな魔物が光達を背後から襲ったのだ。
ハッとした光達は剣を構えた。
クレフは杖を握ったその瞬間、

「プレセア…!!」
焦りを隠せなかった。
彼女は今一人。

『たぁぁぁぁ!!』
光、海、風が剣を繰り出した。

「なっ…!!くっ…!!」
「強い…!!」
「エスクードでも…斬りきれない…!?」

その魔物を生んだのは、ここにいる全員。
城を創り支える者達が全員が全員、強い不安に刈られた。
その具現化系が、この魔物なのだ。

「お前たち!!そいつを任せたぞ!!」
『クレフ!?』
彼女たちが見たときには、その小さい背は遠ざかっていった。

「クレフ…」


「きゃぁぁぁぁぁ!!」
プレセアはやはり襲われていた。

「あ…う…」
吹っ飛ばされ、木に背中を強打した。

「く…ぐっ…!!」

視界には襲い掛かってくる…いや、トドメを刺そうとする魔物がいた。

「…!!」
こわばったまま、動けなかった。

クレフが見たものは、魔物の爪がプレセアに刺さったところだった。

「プレセア…!!」

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