「よ…くも…よくもシエラを!!」
クレフは杖を大きく振るい、魔力のオーラがほとばしった。
「稲妻召来!!」
シエラに爪が刺さっているため、強くは撃てなかった。
だが、魔物はそれを見てニヤリ…とした。
「こ…のぉっ…!!」
クレフの中で"久しぶりに"【何か】が弾けた。
「氷尖撃射!!氷流切刃!!氷槍投射!!」
魔物に炸裂させる三連コンボ。
魔物の爪はようやく彼女の体から外れた。
「雷衝撃射!!衝電破激!!稲妻召来!!」
魔法の三連続コンボ。
クレフから"容赦"や"手加減"はなくなっていた。
「闇衝招撃!!銀爆殺襲!!金爆殺襲!!光衝招撃!!」
とどめの四連コンボ。
魔物は完全に蒸発し、跡形すら残らなかった。
実は雷系魔法の中盤辺りで絶命していたのだが、彼の怒りは収まらなかった。
かつて伝説の戦いで繰り出されたあの二人の技を使ったのは、完全に消滅させるため。
彼の怒りは魔物の死では済まされなかったのだ。
「シエラ!!」
クレフは彼女に駆け寄った。
「ク…レフ…」
「喋るな!!すぐに治療してやる!!」
呼吸が異常なほどに浅い。
何より、爪が急所に刺さっていた。
「くっ…!!傷治癒体!!」
クレフは回復魔法を唱えた。
だが、彼は焦りを隠せなかった。
過去に何度も、このような状態の人を看取ったことがある。
過去に何度も、このような状態の人を救おうとしたことがある。
過去に何度も、このような状態の人を救えなかったこともある…
「シエラ…!!」
拳に力が入る。
頭の中が白っぽくなってきやがった。
心なしか杖も重く感じる…
かなり疲れがたまってきている…
かつて何度も見た、人の死。
それが味方であれ敵であれ、悲しいことには変わりなかった。
寿命で死んだ者には、その全うした長寿を敬った。
病気で死んだ者には、自分の調合した薬が効かなかった事を恨んだ。
そして…
戦いで死んだ者には、自分の非を責めて責めて責めまくった。
伝説の戦いで失った、プレセア、ザガート、そしてエメロード姫…
柱を巡る戦いで失った、イーグル、アルシオーネ…
5人は死んで良い人間ではなかった。
クレフの頭の中に今、その5人がよぎって他ならなかった。
「さ…せ…るか…!!」
砂を噛んだ機械の修理は時間を要する。
太陽の照りつける砂漠。環境は最悪。
「あっつ〜…」
プレーリーはグイと額を拭った。
そこだけが機械油で黒くなった。
一方…
「剣が折れたぁぁぁ!?」
「あぁ」
フェリオは捜索再開。
そういやぁ…
「リーム…あいつ、カケラを全部拾わないまま行っちまったなぁ…」
「え?」
「欠片も含めて全部あれば、剣が復活できるらしい」
「えぇぇぇぇぇ!?」
アスコットの驚き。
フェリオはそれを"無謀だろ"と捉えた。
実際、アスコットはプレーリーに駆け寄った。
「プレーリー!!」
「何よ!!今忙しいの!!」
あ。怒った…
「フェリオたちの剣はカケラが全部あれば直るって本当!?」
「えぇそうよ!!だから何!?」
怒ってる怒ってる…
「今難しいトコなの!!話しかけないでくれる!?」
「え?あ、う、うん…ごめん…」
彼女の怒りにたじろぎまくりながら帰ってきた。
「な…言っただろ…」
「こ…怖かったよ…」
汗ジト一名、涙ダ〜一名。
「…でも…仕方ないか…」
フェリオは剣の柄を取り出した。
「貸して」
「あ?…あぁ良いが…」
フェリオは名残惜しそうな目で剣を見た。
アスコットは剣を左手に持つと、右手をかざした。
「お前まさか…」
フェリオは改めて、彼が何者かを思わされた。
剣を中心に魔方陣が出てきた。
「招換来物!!」
剣が光り輝き、同時に広大な砂漠の一部が少しだけ輝いた。
そして、アスコットの生み出した魔方陣に引かれるように、銀の粉が次々にやってきた。
だが…こっからが問題だった。
「痛!!」
「な!!バカ!!刃を素手で掴む奴がいるかよ!!」
彼の手にカケラは"全て"降りかかってきた。
大きなやつはなんとか向き的に良かったのだが、細かいやつはどうにもならなかった。
手を掃うほどに血が出る。プレセアの武器は伊達じゃない。
「あぁもぉお前はぁ」
「ツツツ…」
集めたカケラで大苦労。
結局…
「うるさいわよアンタたち!!全く集中できないじゃない!!」
ここまで飛び火した。
「す、すまん…」
「ご、ごめん…イッタ!!」
「お、おい…全く…お前のせいで怒られるんじゃないか」
「なんだとぉ!!せっかく人が親切でやってあげたのに!!」
「誰が素手で受け止めろと言った!!」
「じゃぁフェリオも袋くらい用意しろよ!!」
「なんだとぉ!!」
「やるかぁ!?」
バッと構えた二人。
が…
「いい加減にしなさぁぁぁぁい!!」
ハリセン一閃。
スパコーン!!と良い音が砂漠に響き渡った。
『いっだぁぁぁぁぁぁ!!』
「だぁぁれのせいでアレが修理できないと思ってるのよ〜〜〜〜!!」
『イダイイダイイイダイイダイ!!』
状況:片頬ずつ思い切り引っ張られてる。
「さぁぁぁぁぁて、どうやってあなたたちで遊ぼうかしらねぇぇぇ」
『ィィィイイイ!?』
「セェッカンヨォォォ〜〜〜!!オッホッホッホホホホホホホホホホ!!」
『え…ウ…ウソ…だろ…?』
男二人は抱き合って怯えた。
「ぷぷ…」
モコナは汗を出しながらその様子を見ていた。
筆者すら想像できない(ぉぃ)叫絶なセッカンを受けているご様子。
「うわぁぁぁあぁぁぁ!!」
「ぎゃぁあぁぁあぁぁ!!」
「オーッホッホッホッホ!!」
砂漠に響き渡る三人の声。
気を失っていたランティスが目を覚ました。
そこで彼が見たのは…
何か壮絶な目にあった男二人の魂の抜け殻と、
「あぁスッキリした。さぁてじゃぁ続きをやろうかしらね。あ、ランティス、起きた?」
今まで見た中で一番スッキリした笑顔を見せたプレーリーだった。