「フェリオの剣…あぁアレ?」
プレーリーはあっさりモード。
実はさっき折檻前には集中しててもうどうでも良かったのだ。
「…」
「あれは破片が全部揃ってないと修復できないのよ」
「で、でも、さ、さっき…」
すっごく怯えてる…
「全部…あったん…だよ…?」
「え?」
プレーリーが何か言う度にアスコットはビクついていた。
「…何があった」
ランティス、よぉやく彼らに起こったことを伺う事に。
「いやさっき実はさ…」
フェリオが"折檻"の内容を話し始めた。
「あ…あぁ…あぁぁ…あぁぁぁあぁぁぁ…」
アスコットはそれを思い出すたびトラウマに襲われ、フェリオ自身思い出すたびに鮮明に頭の中に…
「ぷ…」
モコナ、何も言えなかった。
「え!?うそっ!?そんなにやってた!?」
いややったのアンタだろ。
「…」
ランティスは頬に汗一つで横目視線。
「で、こいつがあんなに…」
『…』
アスコットはランティスの影に隠れて怯えながらプレーリーを見ていた。
一体どんな折檻したんだプレーリー…
「ご、ごめんなさい。少しやりすぎちゃったみたいね…」
アハハハハとプレーリー、反省。
でも"暴走"中の事を一つも覚えていないなんてどっかのマンガじゃあるまいし…
「…」
もはや涙目でプレーリーを見るアスコット。
「で、でも少し怯えすぎじゃない?」
責任転嫁か!?
「いや、アレはさすがにキツいぞ…」
フェリオ、引きつってます。
「ま、こいつの過去も問題だけどな」
ラファーガは体格どおり、かなりの力持ちであろう。
後のメンツは…力仕事期待できない(起きてるの女だけだし)
でも城まではかなりの距離があるんだが…
それでも運ぼうとするのは、自分が何とかしなければと思っているからだ。
彼の責任感は強い。
が
「ヒカル…?フウ…?」
ラファーガは肩の負担が少しだけ減ったことに気づいた。
「手伝うよ」
「だが…」
「ダメですよ」
風が笑った。
「あの魔物たちは、私たちが産んだものですから」
今度は真剣な顔だった。
彼女たちもまた、責任を人一倍感じている。
海は手を出せなかった。
真っ先にプレセアの所に彼が行った時点で。
その顔が焼きついて離れない。誰よりも焦りと不安を感じた顔が。
魔物が強かった理由…今はそんな事を考えていなかった。
だが傍からみれば、魔法騎士の抱えた不安。
「フ…」
ラファーガは離さなかった。
「なめるなよ…」
『え?』
「親衛隊はセフィーロの治安を治める為に存在する」
「でも」
「それを統べる者がここで手間取っていては、これからのセフィーロはどうなる」
それは自分に言っている…皆そう捉えるしかなかった。
ここまで彼が自分に重責を与えるのは何故か。
セフィーロは意思の世界。平和を祈る心を持てばそれは保たれる。
だが不安が魔物を産む。そしてデボネアの再来の可能性もある。
そうなってからでは遅い。だから小さい芽から摘んでいく。
魔法騎士の心は強い。彼女たちが平和を祈れば大きい。
しかしその逆は…
魔物が強くなった。シエラが命の危険にさらされた。
もし彼女が死んでいればセフィーロはまた大きな悲しみに包まれてしまう。
もし今度デボネアが生まれたら…倒せる自信がない。あの三人がいない。
もちろん直接かかわってたのはランティスだろうが、フェリオやアスコットとて"支えたい"と願う。
仲間のいない状態での勝利など、ありえない。
デボネアは二度と生んではならない。それが親衛隊に課せられた使命。
パシィンと響き渡った。
「…?」
叩かれた男は何だか分からなかった。
「私たちの気持ちは…どうなるんだ…」
「ヒカル…」
「私たちの生んだ不安で魔物が生まれて…クレフやプレセアが傷ついて…それでも何もするなと言うのか?」
「…!!」
「お気遣いは嬉しいのですが、…今の私たちには逆効果ですわ」
「お前たち…」
「あんたの負け、やな」
カルディナが彼の頭にポンと手を置いた。
ラファーガはフゥとため息が出た。
(嘗めていたのは…私の方だった…ということかな)
「アスコットの過去?…まぁちょっとは想像できるけど…」
魔物使いという名のレッテル。
プレーリーは初めて会ったとき、"皆"と同じ反応を示した。
彼がここでグッと堪えられたのは、セフィーロの城で受け入れられたから。
海を大切に想うのもそこから来ている。だから全力で守りたい、と。
例え想いが受け入れられなくても…命を落としても。
「俺としてはよくこの姿を保っていられると思うぜ」
「少しは…慣れてたからね」
過去の傷。皮肉にも彼が強かったもう一つの理由。
耐性が少しはできている。だがそれは過去をエグり出す結果になってしまった。
「…行くぞ」
ランティスが仕切った。
この場の空気に耐えられなかったのか、自分たちに与えられた時間が少ないからか。
カプセルが宙に浮く。
ランティスは爆睡する。
皆それに一瞬あきれる。
『…眠たかっただけ?』
かもしんない。
「さぁて、神殿まで遠いんだろ?どっかもう一度街に寄らないか?」
「この方角だと…ないんじゃないかしら」
『え?』
「見て。ここからは岩肌の聳え立つ山脈を越えるの。土地が荒れてるから誰も住もうとは思わないでしょうね」
「魔物の巣窟になりそうだな」
「よく知ってるわね。あの森じゃないけどアソコも結構魔物が多いわ」
「でも心配ないさ。高度を上げていけば、な」
「そうね」
乗り物は高度を上げていった。
が…50m/sは速すぎでない?
航空機でないんだから…
『モ〜コナ〜!!』
「ぷぷ…」
ちぇ…という顔。
でも命関わってくるっつの…
「あれは!!」
アスコットが気づいた。
飛行タイプの魔物が普通の鳥の群れを襲っている。
「ひどい…!!」
「だが…手が出せないんじゃ…」
「僕がやる!!」
『アスコット!!』
「魔獣招換!!」
アスコットは飛行タイプの魔獣を出し、乗った。
「うぉぉぉぉぉ!!」
プレーリーの創ったデスサイズを振り出し、魔物を一閃。
「衝電破激!!」
トドメ。魔物をすべて消し去った。
「大丈夫?」
アスコットが久々に爽やかな笑顔を見せた気がした。