アスコットが戻ってきた。
可愛いがちょっと大変なオマケ付きで。
「どうしたの?」
「怪我をしてるんだ。治療をしてあげないと」
「良いわ。モコナ」
「ぷぅ」
モコナの額飾りが光り、薬箱が出てきた。
アスコットは慣れた手つきで鳥に薬を塗りこみ、包帯を巻いていく。
「上手じゃない」
「ま、ね」
こうしてあっという間に完了。
「怪我をした子達を治療するのも僕の仕事なんだ。でもまだ治癒魔法を覚えてないけどね…」
急に切なげな顔を浮かべた。
が
鳥がアスコットに擦り寄った。
「気に入られたようだな」
「え?まさか…連れて行くの!?」
「え?ダメかな…」
「何言ってるのよ!!ダメに決まってるじゃない!!」
「どうしてだよ!!この子は怪我をしてるんだよ!!」
「たいした怪我じゃないわよ!!」
「嫌だ!!絶対に連れて行く!!」
「何言ってるのよ!!食べ物や寝る所はどうするの!?それにトイレは!?」
「僕が全部責任を取る!!だからお願い!!このとおり!!」
アスコットは狭い乗り物の中で土下座した。
「良いんじゃないか?別に」
『フェリオ!!』
「こいつが全責任を取るって言ってるんだろ?だったら俺は良いぜ」
「!!ありがとう、フェリオ!!」
ドガッとな
「男に抱きつかれる趣味はない」
アスコット、シュ〜…とな
こんな騒ぎでもランティスはのんび〜り寝ていた。
耳栓してるしアイマスクもしてる。
厚さ寒さ?関係ないね。寝たいんだから。
一向は岩肌がすさまじい、聳え立つ岩崖山脈越えに挑む。
上昇気流が凄まじい。ふもとからの風がくる。
そういう場所は気圧が低くなり、そして…大きな雲を生み出す。
「降るかな…」
「かもな」
「モコナ…屋根出して」
「ぷぅ」
準備万端、Let's Go!!
クレフの体がずり落ちた…というのは微妙だろうか。
まぁネタはバレてるんでめんどいけどさ…
風と光がクレフを抱えた。
プレセアはラファーガとカルディナに抱えられた。
体力的にはラファーガ一人でも大丈夫だろうが、なんとなくである。
海は孤立を感じた。仲間からの孤立ではない。
光も風もカルディナもラファーガも仲がいい。
クレフとだって悪くは無かった…そう思っている。
プレセアとも仲が良かった…。
孤立を感じる理由…それは被害妄想に近かった。
海から見れば、皆で二人を祝うかのような…置いていかれている自分がいる。
「ん?海ちゃん…?」
「…」
風は何も言わなかった。なんとなく、であるが。
道中…海一人だけが距離があいている。
光と風はそれを気にしたが、何もいえなかった。
ラファーガとカルディナは何も言わず足を進める。
一向は城に着いた。
二人はそれぞれの部屋に送られた。運んだ人達はしばらくその人の部屋にいたが、その後出た。
『…』
光も風も、同じ人を思った。
目が合うとコクンと頷いて、自分たちの部屋に戻ることにした。
「プレセアの想いは通じた、ちゅうことなん?」
「さぁな…」
「せやけど今度はウミか…たくぅ…難しい問題やなぁ…」
ふ〜む…と腕組するカルディナ。
「こればかりはうちらもフォローできひんなぁ…」
「アスコットは潔く諦めたが、な」
男が何かを言いたそうだった。
「まぁな…せやけどアルシオーネのようにならんっちゅう保障もないで」
「難しい問題…か」
「海ちゃん…あれ?」
「いません…わねぇ…」
ちょっと肩透かし。
たずね人は中庭の噴水の椅子に俯いていた。
膝に落ちる水は噴水のそれではない。
「ぷぅ〜…」
モコナは海に抱かれていたが、今は傍にいる。
抱かれた時に心が入り込んできて、全てを理解できた。
親友は結ばれ親友は打ち砕かれ…
誰もが素直に喜べないことを察していた。
ドォォォン!!と乾いた音が響く。
そのまぶしさに思い切り目を瞑る。
「きゃぁぁぁぁ!!」
「当たってないさ!!大丈夫だ!!」
でも
「きゃぁぁぁぁぁ!!」
「くっ!!風が強いんだ!!」
「モコナ〜!!どうにかして〜!!」
「ぷっぷぷぷぷ〜!!」
「ダメだ負けるって言ってるよ!!」
その時
「核円防除」
揺れが収まった。雷が直撃してもなんとか大丈夫っぽくなった。
『ランティス!!』
「乗り物が軽すぎる」
「ぷぅ!?」
「軽いとダメなの!?」
「煽られやすい」
どういうことかは分からないが、小型のプロペラ機とジャンボジェットでは安定性が違う。
翼の大きさや必要速度(小型機に必要以上の風が当たるとぶっ飛んじゃいます)、慣性…あとなんだろ…。
とりあえず地球でも小型機の方が風に煽られやすい、ということは事実ですので。
ランティスの結界が乗り物を安定させた。
そして…
『寝たっ!!』
「ねぇ…やっぱりこれって…」
「寝てたのを起こされて怒ったんだろうね…やっぱり」
「ま、こいつらしいといえばこいつらしいな」
「ぷぅぷぅ」
アスコットの膝で再び保護した鳥が寝た。
さっきまではシェイクされて大変な目にあっていたんだろうなぁ…
ヨコGでシェイクされても吐かないタフな内臓ができあがるには長い期間の"何か"が必要らしい…。
アスコットは魔獣に乗りまくっているのでそういう内臓である。
フェリオも苦手ではない。
が…プレーリーの顔が少し青い…
「休ませないとな…」
「いや、吐かせないと」
女の面目丸つぶし。