「傷治癒体」
ランティスの魔法はフェリオの足やアスコットの打撲を治した。

「…」
フェリオは少し思った。

(まだまだ…強くならなきゃいけない)
知れば知るほど思い知らされる。上には上がいることを。
でもそれはアスコットも思った。



「これであいつらも終わりよ」
アリーナは自信満々だった。

「みんなの仇…お願い」
メルビルの命令など、今はどうでも良かった。
個人的な復讐。彼女の中にはそれしかなかった。
彼女の中の心の傷は広がっていた。
それを共感できる人間は今は一人しかいない。
それを知らずに殺しにかかる。
彼女は知らないのだから。



男たちは女が一人寝ているテントに入った。
そして服を脱ぎ始めた。

「それにしても、凄い雨だね」
「地形が地形だからな」
「え?」
「こういう所は雨が降りやすいんだよ。最も、アラシとまではいってないようだがな」
「アラシ…」
「強い雨と強い風だ。…思い出したくもないがな」
フェリオはケッとなった。

「あぁそう言えば…誰か毒をもらってたっけ」
「…」
フェリオは怒りマークが出た。

シャワーを浴びる。少しだけ熱めの湯で。
雨で冷えきった体を暖める。

「服は乾かないだろうなぁ…」
「友達に乾かさせようか?」
「燃える」
ランティスの冷たい一言。

「加減すれば良いじゃないか」
「できるのか?」
「…無理かも」
アスコット、うなだれた。

「じゃぁ…裸でうろつけって事か?」
「それはマズイよ!!」
一応女がいるんだから。

「…方法はないことはない」
『え?』
「…やりたくはないがな」
「どういう方法なんだ?」
「凍らせる」
『はぁぁ!?』
「凍らせてどうするんだよ!!」
「洗濯物を乾かすんだぞ!!」
その前にさ…
裸で洗濯物を凍らせたらさ…
自分ら絶対凍るっつの!!




「…?」
天井が見える。

「…私の…部屋…?」
頭が完全に起きていない。
状況把握なんざできっこない。

しばらくして、自分がどういう状況かが分からないままムク…と起きた。

「…あ」
ふと思い出した。

「魔物…そうだ私!!」
徐々に、から一気に、記憶がよみがえった。
あまりに近すぎる位置で見た魔物。
そして…その爪が自分の胸に深く突き刺さっていたことを。

「なんとも…ない…?」
服は着せ替えられていたものの、自分の胸に見て触れて異常がないのを感じた。

「誰かが助けてくれた…ってことかしら」
何故自分のベッドで寝てるのかという謎は解決した。
でもお礼を言おうにもまずは寝巻きから着替えなきゃいけないということで着替えようとした。

グラ…ときた。

「な…何…!?力が…入らない…」
四つんばいになるのがやっとだった。

治癒魔法は傷を塞ぐ。かと言って増血や輸血まではしてくれない。
クレフが"レブリミット"を超えて行ったシエラの治癒も、彼女が死なない程度にするのが精一杯だった。
だから今、シエラは貧血を起こした状態なのだ。
頭がボ〜…とするし全身に力を入れようにも入れられない。
なんとか無理やり動いてたどり着いたのは

「な…情けないわね…私も」
自分のベッドだった。
でも本物のプレセアの所じゃないだけマシだと思う…。


「起きたか〜?」
ひょこっとカルディナ。

「あ…カルディナ…ラファーガ…」
「お見舞い来たったで〜」
「ありがとう」
「で、動けるんか?」
「それがね…貧血起こしちゃったのよ」
「そういえば…私が運んだ時、服が血まみれだったな」
「ラファーガが助けてくれたの?」
プレセアはお礼を言いたそうな顔をしたが、

「いや」
「え?」
「私が駆けつけたとき、魔物は既に消滅していた」
「じゃぁ…ヒカル達?」
「お嬢様方は違う魔物と戦っとったんや」
「違う魔物…?」
「あぁ、あれは絶対、ウチラの不安が生み出した魔物や」
「え…!?」
「や〜、ごっつ強かったな〜、けどそれ以上にお嬢様方が強かったちゅうことやなぁ」
うんうんとカルディナは腕組んで言った。

「じゃぁ…誰が私を…?」
プレセアの一言にピタッと二人は止まった。




「ん…」
こっちも起きた。

「お。ようやく起きたか」
「え…まぁね……ん?」
プレーリーには衝撃的だった。
彼らは風呂上がりそのものだった。下着一枚と髪拭いてるタオル程度はあったが。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

こうして、男の頬にはこれでもかと紅葉が舞い狂った。
そして…

「あ、あたまが…」
「血がのぼる…」
「…」
逆さ吊り。

「最っ低!!」
「ぷ…」
女の怒りは収まらず、適当にモコナの出した食料をガツガツ食っていた。

「太るぞ」
誰だ自爆したの

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