「お。…結局こんかったんか」
「えぇ…」
「プレセアも動けんいうとるし導師もそうやろうから、ウチらだけで食おか」
「うん…」
メンバーが揃わない。
ただでさえ三人異世界に行ってる。
そこに更に三人いなくなった。
欠かせない三人が。

盛り上がれる話などなかった。
カルディナは割りとアッサリした感じだったし、ラファーガも普通な気がした。
でも光と風はそうはいかなかった。
二人の親友に訪れた明と暗。

「ま…アンタらがそないに悩んでもしゃぁないと思うよ」
「カルディナ…」
「どう転んでもこないな事になることは分かっとったさかい、覚悟はしとったわ」
「…」
言われてみれば、自分らもそうするべきだったかなと思った。

「我々ではウミをどうにかできるわけではないが」
ラファーガが口を開いた。

「お前たちならなんとかなると期待してしまう」
「できるなら、なんとかしていますわ…」
「そうか…」
「まぁ今日は何もできひんやろ…しゃぁないから、寝よか」
『…』
反論できなかった。
今日はもう何も出来ない。無力感に包まれてそれぞれの部屋に戻った。




「これでよしっ」
『おぉ〜…』
こっちでは創師の力が如何なく発揮されていた。

「さすがはセカイア一の創師だな」
「ありがと♪」
「じゃぁ寝ようか」
「…こいつもう寝てら…」
『アハハハハ』
もう慣れっこ?





「今日も会えたな」
「フェリオ…あの…」
「なんだ?」
「海さんが…」
風はそこで詰まった。

「あいつに何かあったのか?」
「あ、いえその…」
彼女への罪悪感が出てしまう。
愛してる人と夢で繋がっているかもしれないということが。

「あいつに何かあったら、アスコットが黙っちゃいないだろうな」
「え?確かアスコットさんは…」
「あぁ。あいつも諦めてる。けど、愛しちゃいけないって訳でもないだろ」
「でも…」
「愛し方は色々ある。…俺なら、お前に会えなくてもお前の幸せを祈るとか…な…」
「…!!」
フェリオは照れくさそうに目を逸らした。

「私もです…」
それでも限界がある。
夢で繋がっているのに、目の前にいるのに、触れられない辛さ。



「何かあったのか」
「ランティス…どうして分かるんだ?」
「お前のことだからだ」

「どうしたら…良いのかな…」
「…俺にも分からない」
「そうか…ごめん…」
「…いや」
「そ、そっちはどう?」
光は話を急に変えた。

「…別になにもない」
「…」
さすがに困ってしまう光だった。

「…だが」
「…え?」
「明日神殿に着くだろう」
「あ…魔神の?」
「あぁ」
「そうか…がんばってね」
「だが誰が封印を解くか、今は分からない」
「あそっか」
ちょっと和んでしまう。ちょっと笑ってしまう。
無口無愛想無表情な彼だが、嫌にならなかった。
彼の存在に感謝するしかない光だった。



「ウミ…?」
「…」
アスコットは膝を抱えた彼女に何を感じるのだろう。

「ごめん…何も話す気になれないの…」
「…そう…」
海がここまで沈む理由は、アスコットにはなんとなく分かった。
それは彼にしか共感できないことだった。

近すぎない。でも遠くもないかもしれない、良く言えばバランスの良い位置。悪く言えば微妙な位置。
そんな場所にアスコットは立った。
今日のことはいつも通り見ているだろうと思った。
でも海に起きた状況がそれを印象薄くさせた。

「…ウミ」
声はかける、が、返事は待たない。

「…祈れば良いと思うよ」
「…え?」
「その人が幸せになることを」
アスコットは海の顔を見つめて言った。

「…」
海はその言葉に何も言えず、呆然としてしまった。

「僕は―」
何も出来ない頼れない顔から、少し微笑みになった。

「いつも、ウミの幸せを祈っているから」
「…!?」
「それなら…迷惑じゃ…ないよね」
「ど…うして…?」
「…想いは受け入れられなかったけど…でも、愛してるから」
「―!!」
「でも、アルシオーネのようなことはしたくない…けど…だから、迷惑にならないようにするにはどうすれば良いか…考えたんだ」
「…」
「けど…こんなことなら、生き返らなかった方が良かったのかな…プレセアは」
「え!?」
思わぬ言葉に驚きを隠せなかった。

「そう…思っちゃうことも…あるんだ」
「何言ってるの!?」
「だって…プレセアがいるからウミと導師は…。…だったら」
「馬鹿なこと言わないで!!」
海の声が響き渡る。

「プレセアは大切な仲間よ!!…今でも…変わらないわ」
海は切ない顔をしたが、アスコットもそんな顔をしていた。

「どうしてそんな事が言えるのよ…プレセアはあなたを許したんでしょ!!」
「分かってる!!」
「―!?」
「分かってる…だから…争って欲しくなかったんだ…」
「…あなた、もしかしてプレセアを…!?」
海の問いに彼は首を横に振った。

「ウミへの想いとは違う」
「え?」
「僕がプレセアに抱いてる思いは…違うものなんだ」
「どういうこと…?」
「償いだよ」
「償い…」
ウソでも冗談でもない、真剣な顔。でもそこに感じた何か。

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