「ジェオ」
ザズが部屋に入った。

「って…いない?」
主がいないらしい。
部屋を見回したりキョロついたりしても見つからない。

「たく…どこ行ったんだよ」
ザズはヘアバンドのスイッチを押した。

「おいジェオ、どこだ?」
「あぁ悪い、ちょっとヤボ用でな」
「はあぁ?報告に来てみればなんだよそりゃ」
「ん?何のだ?」
「GTOとラグナ砲、んでもってC30A。どれもオールグリーンだ」
「ん…了解。後はまだあるか?」
「いや特にはないけどさ…」
「そうか。じゃぁな」
「お、おいジェオ!!…なんだよもぅ…」
突然の会話の終了にイラつき始めるザズだった。
その頃ジェオは…

「…ちくしょぅ…どこにあるんだ…?」
こっちはこっちでイラついていた。
部屋をひっくり返すかのようにガサ入れをしている男がいる。
本来は綺麗に整理されていたのだが、今彼が捜し求めているものはどうやらここにないらしい…

「ないのかよ…くそっ!!」
机をドンッと叩いた。色んなものが床に降り注いだ。

「…ハァ」
ジェオはため息と共に手を額に当てた。

「これだけ探しても見つからないとはな…」
やっちまったもんは仕方がない。

「一度戻るしかないってことか…」
と言いながら淡々と散らかった部屋を片付け始めるジェオだった。
誰かに手伝って欲しいのは山々だが、彼は個人的に一人だけで探したかった。となればやっぱ一人で片付けるしかない。

「…部屋を片付ける機械位創れよな…」
それができたら皆買うぞ!!
やはり機械大国オートザムでも主婦やチョンガーを始めとするこの夢の機械は夢のままらしい…
と、いうことで諦めて片付けるしかありませんな。



「タータ」
「ん?何だ?」
いつものようにお茶の時間らしい。

「セフィーロは平和になっいたわよねぇ」
「あぁ。ついこの間までは、な…」
「でもそれが崩れ始めた」
「姉さま…まさか魔法騎士が関係あると思っているのか!?」
不安を隠せない顔。タトラはこの素直な妹に対し、

「あなたも、そう思うのね」
「で、でもっ!!」
「無理も無いわ。あの子達が来てから魔物が急に増え始めたんだもの」
「…」
否定して欲しかったものを、否定してくれなかった。
姉はカップをソーサーに置き、ふわふわとした笑顔ではなく、妹に学ばせる顔になった。

「でも、セフィーロの魔物は不安や不の感情でできるものよ」
「…消えたあの3人か」
「でしょうね。しかも、あの城を創り上げていた人たち。あの城は心で出来ているのだから」
「負担が増えている、か…」
「あの国はチゼータとは違って意思が全てを決めるわ。でもそれは…非常に不安定なものなの」
「分かっている。安定した地盤と気候を持っているチゼータとは違い、何が起きてもおかしくない国…同じ世界だというのに不思議な国だ…」
「だからこそ、今あの国はまた揺らいでいるわ。…原因は分からないけど」
「…」
タータには分かる。タトラは何かを疑っていることに。

「人は…」
姉の言葉がつむぎだされ、ピクリとしてみる。

「歴史を繰り返していくものよ」
「姉上…?」



「ファーレンは長い歴史を誇ります。しかしながら、人類の歴史というものは繰り返し…」
「え〜いもう良いのじゃ!!」
「アスカ様〜」
…いつも通り、てか。

「いきなり童夢に帰ると言って今度はいきなり勉強だなんて妾は嫌じゃぁぁぁぁぁ!!」
「ならば…セフィーロが崩れてしまってもかまわない、ということですかな」
『え?』
思わず食い入る目つき。

「セフィーロの過去を知れば、彼らのしてきた事も分かりましょう。それにより、過ちを二度と繰り返さないということが大切なのです」
「え?ですが…」
サンユンは思う。

「セフィーロは意思の世界ですよ。歴史を紐解いても今の人たちに通用するのでしょうか…」
「あ」
チャンアン、やはり自分の国が基準となる為に。

「心の問題じゃな…じゃが、環境が人を変えるものじゃ」
「原因だったら、あの3人の方がいなくなられた事じゃないのでしょうか」
「そうじゃそうじゃ!!」
「ですがそれだけで国が崩壊の危機を迎えるというのはおかしいとは思いませんかな?」
『え?』
「今のセフィーロは柱がなくなったのですぞ。ならばセフィーロの全国民の意思で支えることは可能ということになります」
「つまり他の人たちが代わりをする…ということですね」
「じゃぁ何故今セフィーロはまた崩壊の危機を迎えておるのじゃ?」
「む…それは…」
結局"世界史の授業"はこうやってなくなってくのね…





「出せそうか?」
「…」
ランティスはあれから、ずっと雲を追っている。
流れを掴み、飛行ルートを今分かる範囲で考える。
モコナの示す方向、雲の流れの促す方向、その誤差の修正…
フェリオは確かに頭は良いが、経験の差がモノをいう。
ランティスは過去にオートザムで軍に所属していた。
そこで彼はゼロから学んだ。オートザムの技術、気象観測、限られた情報による推理…
ノーマルGTOで機動性に勝るチューンドFTOに勝った。相手は悪くはない。むしろ最高の男だった。
だがそれは、抵抗する為に…無駄な抵抗かもしれないと思っても。
自らの手で、何ができるかを、どうすれば悲劇を止められるのかを…
だが止められなかった。自分の非力さを嘆いた。それでも、せめてセフィーロの為に…
それが今や、異世界で活用させるとは思ってもいなかった。
これは挑戦でもある。あのような悲劇を自分達で止められるのか、という挑戦


「…行こう」
下された決断。負わせるリスク。

「ぷぷぅ!!」
すぐさま乗り物を出し、テントをしまった。
全員すぐに乗り、屋根も出る。
こうして、遅い出発がようやく実現した。


地表100mを超えると気流は思い切り牙を剥いてくる。
ランティスはそれを体のセンサーで感じ、目で見、耳で感じ、

「右に5度」
「ぷ〜!!」
航海長も艦長もできる男の指示で舵をとるモコナ。
でも別にハンドルとか付いてるわけじゃなく…モコナの意思だそうで。

「だ、大丈夫なのか!?」
「知らないわよ!!」
「うゎ!!」
煩いギャラリー達。
でも別にランティスは気にしてないがね。
ただひたすら、気流の"隙"を狙い、高度を上げていく。
周りの意見なんざどうでも良い。大切なのは自分がミスをしないこと。
人並み外れた精神力と判断力が、できうる限りの的確な操舟をする。

雷が目に見えたとき、プレーリーは酔うどころじゃなかったとか。

「お、光った…」
「い〜や〜ぁぁぁぁぁぁ!!」
どう見てもただの邪魔なお荷物です。

「核円防除」
『え?』
その瞬間…思い切り視界が白くなったわドーンとなったわ。

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