食堂に向かう途中…
足早にすれ違おうとする男がいた。

「あ、おはようラファーガ」
「あぁ」
立ち止まる様子もなく、彼は少し険しい表情をしてすれ違った。

「どうしたの!?」
「魔物退治に行く」
「え!?」
「私も行く!!」
「私もよ!!」
「私もですわ!!」
と魔法騎士が戦意を出したが…

廊下中に響き渡る、グ〜ゥゥゥゥ…という音。
思わずラファーガも止まって凝視してしまう。

「あ…」
『おっと』
海と風が光を支える。
ラファーガは少し呆れた様子で、

「…そんな様子でどうやって戦うつもりだ?」
『朝ごはん食べてきま〜す…』
腹が減ってはなんとやら、の実例バージョン。
ショボ〜ン…としながら行く三人だった。
ラファーガは遅れを取り戻すかの如く、走り始めた。


「おぉ、おはようさん」
「あ…おはよう…」
「ごめん、何か作ってあげて」
海の苦笑いに、カルディナは少し微笑み、

「よっしゃ、まかせときぃ」
と袖を…袖ってあったか?
それは今空腹でエンプティーランプの点滅してる光だけに向けたものではない。
もっとも、今はまだメンバーが揃っていないからこそだからだが…

(あ”〜…後どないしよ〜!!)
作りながら心で叫ぶカルディナだった。


『いただきま〜す!!』
ようやくありついた食事。
がっつきたくなるがこれでも女の子。でも早く光は食べた。

「魔物がでたのか?」
「ん?あぁ…ま、しゃぁないやろな…」
カルディナは窓の外を見た。
言いたいことは、光達も実感している。
消えた三人、それだけでも大変なのにいらぬ騒動。
統率が取りにくい状況の中、親友同士にできた溝。
だが、光はそれを振り切るように、

「ごちぞうさまっ!!」
「あちょっと!!」
まだそんなに食欲が戻っていなかったのか海は食べ遅れていた。
風も取り残されてしまう。

「…行くんか」
「うんっ!!」
「ちょ、っちょ!!んぐっ!!」
「海さん、落ち着いてください。光さん、少しお待ち頂けますか?」
「あ、う、うん…」
この時、自分の行動を少し恥じてしまった。
セフィーロの人を守る為、魔物を倒しに行きたかった。実際もう行くところだった。
だが、親友…ずっと一緒に戦ってきた大切な仲間を、そして誰よりも不安を抱えている親友の一人を置いて行くとこだった。
支えたい、と願ったのに…光は拳を握った。

だが、それは海を焦らせる結果となってしまった。
折角魔物退治に行こうとしたのに、それを自分のせいで気分を萎えさせてしまった。
自覚している。光達やセフィーロに大きな迷惑をかけている…
…自分はここにいてはいけない…

二人のやりとり、その仕草…意思の疎通が取れていない事に風は少し不安を覚えた。
普段ならコレぐらいの差も生まれない。だが海に起きた境遇がその差を生む。
恋愛のもつれから、友情の崩壊へ…頭によぎってしまう。
三人の絆にヒビは入らない…そう信じている。でも…

「焦っても、なぁんもええことあらへんよ」
その言葉に、三人はハッとした。
カルディナは笑っていた。

「あんたらなら、絶対大丈夫や」
『え?』
「うちがいうとるんや。間違いないて」





B747-400(通称:ジャンボジェット)に代表される最近の旅客機も、乱気流に襲われれば操縦がかなり辛くなる。つか最悪落ちる。
一応、雷が落ちてもなんとか飛べることにはなってると…思うんだけどどうなんだろう。
さて、じゃぁ黒モコナの出した乗り物はどうだろ…

「ぐわぁ!!」
「目がっ!!」
「くっ…」
落雷により発生する光りは、失明させるには充分だ。
ランティスの魔法により落雷の直撃を避けることはできたが、まさかの副作用が出てしまった。
"核円防除"は魔法や物理攻撃を防ぐことはできるが、それは透明なバリアである。
セフィーロの魔法にはクレフやランティスの得意とする"稲妻招来"だってある。が、あれは所詮マガイモノ。
ホンモノの雷の威力、その脅威…百戦錬磨の連中にとっても予想を超えるものとなった。

視界を失ったことで雲の流れ…つまり気流を捉えることができない。
結果、

「うわっ!!」
「きゃぁ!!」
乗り物は何度もひっくり返り、

「ぐふぁ!!」
「うぐっ!!」
「ぷ…!!」
何度も体を叩きつけられる。もはや操縦できるような状況ではない。

普通の人間ならば。

「くっ…!!」
ランティスは体のセンサーを100%機能させる。
痛みも来るが、まずは姿勢制御をしなければならない。

「モコナ、右に30度傾けろ!!」
「ぷぷ!?ぷ〜!」
「くっ…!!」
モコナを掴み、左腕に抱える。
近くで見てモコナは思う。誰も軽傷者はいない、と。

「ぷ…ぷぷ〜!!」
モコナの念で姿勢制御が行われる。

結果…揺れは激しいが、叩きつけられるような揺れや傾きは収まった。
だが、スクリーンは赤く染まっている。

「ガハっ…!!ハっ…!!ハっ…!!ハっ…!!」
アスコットは肋骨が折れていた。

「ゴフッ!!」
プレーリーは内臓が破壊されたらしく、口と鼻から大量に吐血という事態に。

「がぁ…あぁ…あ…!!」
フェリオに至っては何かの破片が体内に入ったらしく、もがき苦しんでいる。

「傷治…癒体…!!」
ランティスとて、無事では済んでいなかった。
もう自分ではどこがやられたのかを把握できない。
だがそれでも、こんな自分でも一緒にいてくれる仲間の為に。
最後の気力。それは、この絶望的な状況で全てを託す為に。

「…治った…!?ランティス!!」
フェリオは自分を治した男を抱きかかえた。
二人もハッとし、彼を見た。

「ねぇ、生きてるの!?」
「…なんとか…な…」
フェリオの言葉に、安堵する二人+1匹だった。

「どっちに進めば良いんだ?」
「ぷぷぅ!!」
モコナの指す方向は、いきなり雲が切れていた。

「よぅし、行くぜ!!」
『お〜!!』
託された意思は、絶対に無駄にしないという強い意志が、突き進む。

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